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208 面談の仕切り直し

 私はガーゼルにオブゼントらを連れてくると断ってから、砦に転移をすることにした。


「転移!」


 少ししてヴェルゼーアたちが転移をして来る。

 オブゼントが転移を出来てもここは知らないから、レファピテルがやったんだろうね。


「お疲れ。じゃ、直ぐに行くよ」

「判った。ゼファーブル、それじゃ頼む」

「転移!」


 私はガーゼルの待つ応接室へ、全員を転移させた。

 ガーゼルとオブゼントは少しの挨拶をしてから、私たちはガーゼルの案内で今度は会議室へ移った。


「魔法の仕組みは良く判らんが、ヴェルゼーアの言ったとおりで、ここは本当にガーゼルの城だな。その二人の為にも、今ままでの話を最初からした方が良いか」

 相手は年配のガーゼルでなくて、オブゼントが話を仕切る様だった。

 国家のことなので、王であってもエンラント帝国内では一介の領主だから、ガーゼルが主導権を握るより宰相であるオブゼントがやるのが普通だね。

 まぁ私たちの方は、いつものヴェルゼーアだけどもね。


「私たちには不要だが、ガーゼルに聞かせるならしてもいい。ガーゼルもオブゼントに今までの内容を話すなら、やっても構わないぞ」

「それでは、少しガーゼルと話させてくれ」

「ゆっくり、やって良いぞ」


 二人の話は今ままでのコトなどを話している。

 ガーゼルが私たちに言ったとおり、その内容も私たちがどちらに接触しても良い様にしていた感じだね。

 なので話の内容も、ほとんどが意思の確認をしたくらいだった。


「まとまった。我々がこんなことを言うのはおかしいのだが、あなた方なら魔法使いたちを捕まえるコトも可能だと思う。どうか皇帝陛下を元に戻して頂きたい」

 兵士を短時間で捕まえたのを知っているのか、それとも今の転移魔法によるモノかは判らないが、オブゼントは私たちを高く評価しているようだ。

 それに、オブゼントは今もエントラント帝国の宰相なのだから、人を見る目は確かなのかもね。


「もし、それが不可能だったらどうする」

 ヴェルゼーアの答えは、受ける受けないではなかった。

「覚悟は出来ている。我々が皇帝陛下をこの様にした魔法使いを抹殺するだけだ」

「それをすると、お主らは反逆罪にならんのか」

 私たちなら反逆罪にはならないが、絶対に違った罪状が付くよね。

 アークシュリラたちも文句が言いたそうだが、黙って成り行きを見守っている。


「成るだろうな」

「私たちが魔法使いを退治する場合は、そこへ行く必要があるし、剣も使うかも知れない。反逆罪にはならないが、私たちはその事で裁かれるのか」

「通常は皇帝陛下が居る処では剣を帯びるコトは出来ない。なので使用の有無でなく帯剣で死罪だ。魔法使いたちは今や喉舌(こうぜつ)の官なので、そのモノが行う職務を邪魔だてしても死刑だ。しかし、その罪は全て気にする必要はない、我々でナンとかする」

 そのナンとかが、今は一番信用することが出来ない。

 だって、宰相のクライが魔法使いより上なら、内政文書を一つ発行すれば魔法使いたちを排除出来るハズだよ。

 それをしていないんだからね。


「そこは魔法使いどもに捕まるつもりも、負ける気もないから気にはしていない。今日初めて会った私たちを、どうしてそこまで信用する?」

「全員と言わず一部でも兵士を捕らえたのなら、あなた方の様に我々に文章で知らせるのではなく、最初から実力行使をするモノもいる。だから我々はあなた方を最初から信用していた」


「文書を受け取るまで放置しておいて、都合が良いと思わないか? だったら、ナンで今まで放置をしていた」

「放置をしていた訳ではない。魔法使いに対峙するには我々も同志を探していた。それで時間がかかった。国を安寧に導けるのなら死も恐れんぞ」


 国に弓を引く行為なので、誰彼構わず誘う訳にはいかないのは判る。

 それにしても勇ましいコトを言っているが、仲間集めを今まで……こんなに長い期間に亘ってやっていたのでは、さすがに時間が掛かりすぎている。


「そのモノたちで、魔法使いには勝てるのか」

「勝てるかは判らない。でも、負けないと思う」

 転移の魔法すらも知らないモノたちが、勝てるとは到底思えない。

 無駄死にするのがオチだろう。


「仲間に魔法使いはナン人いる?」

「魔法を使えるモノは、我が国にはそれ程いない。なので我々の仲間にはゼロだ」

 皇帝の周囲にいる魔法使いが皇帝を操っていたとして、そんなモノに物理攻撃だけで戦えるモノはいない。

 ヴェルゼーアやアークシュリラですら、魔法使いが相手なら私たちの支援が必要だ。


 待てよ。操っていなくて意識が朦朧としている……イヤ、混沌として判断が出来ない状態なのかも知れない。

 そうだから宰相などが、近づくことを許さないのなら納得出来る。


 だとすると飲ませているのは、不死の薬でなく精神を混沌にするオキトラム辺りだろう。

 これならば飲ます量を間違っても、死ぬコトも精神に異常を及ぼすコトもない。

 それにこの国なら、私がこの大陸へ来たときにもたくさん咲いていたので、入手することも簡単だ。


 オキトラムは、太く直立した茎に楕円形の大きな葉をもち、初夏に薄い青みがかった緑色の小さな花をたくさん房状につけ、落花後に赤い実をつける。

 花がキレイなので広場などの花壇でも見掛けるが、その全てに人などの動物だと意識を混沌とさせる毒がある。

 毒といっても内服しなければ、触れただけでは無害だよ。


 その毒の抽出は、専門的な知識が無くても簡単にできる。

 お茶のように煮出しても良いし、すり潰して丸めても良い。

 なんならそのまま食べさせても、効果は変わらないからね。

 鳥などは耐性があるらしく、その実を食べるモノもいるけどね。

 もしそうなら、私たちが恐れる相手ではない。

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