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205 エンラント帝国の使節

 更に数日が過ぎたころ、エントラント帝国軍から私たちの所へ数名のモノたちがやって来た。

 相手も私たちをどうしたら良いか、判断がつかなかったのかなぁ。

 まぁセグールに対して文章を出した後で、砦を築いたからさすがに味方とは思って居ないよね。

 どっちにしても手詰まりの状態だったから、これで糸口も見つけられれば良いけどね。


 私たちは砦がある崖の下で話し合うコトにした。

 崖も砦を築いた後で、湖と同じ高さだったモノを守り易く攻められにくい様に、少しずつ改良したモノだよ。

 それに、中を見られたら私たちの人数がバレるから、絶対に砦の近くには連れて行かないよ。


「私はセレスと言い、この軍を仕切っている。あなた方は味方とも思えないが、我々を通してはくれないか」

「行き先によるな。セグール方面だとそれはできない相談だ」

「セグールから頼まれたのか? それとも金か?」

「イヤ、どちらでもない。エントラント帝国が昔の様に戻ってくれるコトを、私たちは望んでいるだけだ」

「そうか、それは戻ることはないぞ。全ての土地や民を支配下にするコトを、我が皇帝陛下は望んでいる」

「全てだと」

「そうだ。この星にあるモノ全てが皇帝陛下のモノになり、人々はその庇護下で平和に暮らすのだ」

「この半島ですら何年もかかって、統一すら出来ていないのにそんなことは不可能だ」

「我々なら無理だが、皇帝陛下は既に不死の体を手に入れたのだからな」

「不死の体だと」

「そうだ。皇帝陛下には無限の時間がある。そうだから何十、何百年かかっても達成する」


 ヴェルゼーアから念話が届く。

《ゼファーブル。不死は可能なのか》

《論理的には可能だよ》

《論理的にと言うことは、技術的には出来ないのだな》

《研究していて、誰かが見付けてもおかしくはないけど、不死と不老は違うよ》

 不死は体の老化を防げれば可能である。しかし、体内を巡るエネルギーのコントロールがどうしても制御出来ない。

 もし、不死の体に成ったとしても、不老と成るわけではない。

 それにナゼだか、意識や精神を保った状態のまま、魔法で蘇生させるには回数制限がある。


《そうか、ありがとう》

 ヴェルゼーアはエントラント帝国の皇帝が、セレスの言う通り不死の体を入手できたと受け取ったのか、まだ不死の体には成ってはいないと判断したのか、どっちだろう。


「そうか、さっきも言ったとおりセグールはもちろん、南や西へ進むことも許可することは出来ないな」

「戦いになるぞ」

「攻めてくるなら仕方ない。しかし、軍隊を引き揚げるなら、背後からは襲わない。それは約束しよう」


 セレスはそれに回答をせずに話を切り上げて、自分たちの軍へ戻って行った。


「隊長は分かったけど、護衛も強そうだったよね」

「そうだな。貧弱なモノたちだと私たちに舐められると思ったのかもな」

「それでどうするの、絶対に大人しく国へ帰るとは思えないよ」

 相手も私たちの戦闘力を推し量っているハズだから、弱いと感じたら私たちを無視して行動をする。

 仮に面倒な相手と判断したら、この砦を攻めてくる。


「そうだな、勝てない相手と思ってくれたなら軍隊を引くが、そうでなければ今までの方針とおり軍隊を進めるコトになるな」

「もうナン日もの間、この地で足止めを食っているから、直ぐに動くかなぁ」

「そうだね。動く前に捕まえた方が良いかもね」


「ビブラエスにエントラント帝国の皇帝が、不死の体に成ったのかって確認した方が良くない」

「そうですね。不死の体で無ければ、私のゴーレムやゼファーブルのホムンクルスなどで守って時間稼ぎをしていれば良いですが、不死の体に成っているとそうはいきませんよ」

 それはそうだ。相手が無限の時間があるのに、私たちは有限では話にならない。

 いろいろと悩んで時間をかけるのは良くない。


「判った。聞いて見る」

 ヴェルゼーアはそう言って、一人目を閉じた。


 しばらくして目を開けて言った。

「ビブラエスは、皇帝は確かに魔法使いなどにその研究をさせているが、まだその状態ではないと言っていたぞ」

「ビブラエスが調査したのでしたら、まだ皇帝が不死の体に成っていないと言うことですね。でも、目処が付きそうでこの様なコトをしているのでしょうか」

「目処が立たないから、やり出したと思うよ」

 不死の体になることの目処が付いているなら、急いで軍隊を派遣する必要はない。

 皇帝だけでなく仲間も不死の体にすれば、政府の首脳は今後一切変わることはない。

 そうすれば、不足する兵士などだけを補充すれば良いからね。

 イヤ、自分たちが死ぬことがなくなれば、わざわざ兵士などに頼らないで自分たちの手で統一をした方が、人々は皇帝を英雄視してくれると感じる。


 でも、不死にした仲間が裏切ったら面倒なコトに成るから、不死の体にはしないかもね。


「そうだな。ビブラエスはエントラント帝国にこのまま居てもらい、私たちであの軍団をナンとかしよう」

「そうですね。先にビブラエスには全員を捕らえたと言って置いても良いですね」

「でも、どうやって捕らえるの?」

「数が多いので面倒だけど、一度眠らしてから思考読解デンクンレーザファスタンダスかなぁ」

「それだと時間が凄くかかりますね。隊長の顔は判ってますから、情報を得るのなら隊長だけで良いのではないですか」


「違うよ。誰を捕らえたかを知らせる必要があるよね。全員がギルドカードを持っていれば良いけど、持っていないコトもあるし、どこに保管しているかを調べるなら思考読解デンクンレーザファスタンダスの方が早いと思ったんだよ」

「そうだな。全員を捕まえたよりかは、誰々の身柄を拘束していると伝えた方が良いな」

「確かに眠らせれば食事を与える必要はないですが、交渉中に数回掛ける必要がでますね」

「眠らせれば一人辺りのスペースはそんなに必要はない。やっぱり、逃げないように建物を作るか」


「あっ、私たちが使っているアイテム袋の中に入れておいた馬って、食べ物を与え無くても平気だよね。全ての兵士をアイテム袋でなく、異空間に閉じ込めれば食事を与える必要は無くなるよね。レファピテルとゼファーブルはそんなことが出来る?」

「魔方陣を四方八方に描いて、それで囲めば出来ますね」

「レファピテル。でも、それなら異空間で無くても、封印と同じ原理で出来ると思うけど」

「ゼファーブル。それでも出来ますね」


 私たちは全兵士を眠らしてから、全員の名前を調べるコトにした。

 最初は四人で別々にやっていたけど、少ししてから私とレファピテルが思考読解デンクンレーザファスタンダスで名前を聞き出して、アークシュリラとヴェルゼーアがそれをメモした方が早く済むと判ったよ。

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