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203 ホムンクルスやゴーレムを作る

 それから数日後にエントラント帝国軍のモノが数人でやって来たが、そのモノは直ぐに自分たちの軍へ引き返して行った。


「文句を言うわけでもなく、帰って行ったね」

「急に湖が出来たと知って見に来たら、こんな砦まであるから帰ったのかもね」

「旗を4種類も掲げているから、驚いたのかなぁ」


「ちょっと、カヌーで見て来るか」

「私たち全員で行くのなら、レファピテルにゴーレムを作ってもらって、この砦を守らせようよ」

「相手がここを奪うと、前線基地になるから確かに面倒だな。レファピテル、作ってくれ」

「守るだけなら私のゴーレムでも良いですが、万が一相手が南へ侵攻した場合などを考えると、ゼファーブルのホムンクルスの方が良いですね」

「判ったよ。幾つ作るの」

「それはどのくらいの強さだ」

「私も強さは良く判らないけど、結構、頑丈だと思うよ。なんせあの塔に居た魔導師(ソーサラー)が考えた方法だからね」

「試しにそれを二体作ってくれ、私とアークシュリラで確かめる。レファピテルも二体ばかし作ってくれ」


「二人とも、どうせ作るのなら、一番頑丈で強いのを作ってよ」

「判ったよ」「判りました」

 私は持てる力をフル動員して、二体のホムンクルスを作り上げる。

 そばでレファピテルもゴーレムを作っている。

 ホムンクルスはゴーレムと違い自発的に行動させるには、魂を入れる必要がある。しかし、今は魂の在庫など無いから、ホムンクルス風ゴーレムだけどね。


「出来ましたよ」「出来たよ」

 私のは杖の力に頼りきりだったけど……ナンとかレファピテルとほぼ同時に完成させた。

 素材を錬金釜とかで正式に作ったら、レファピテルより絶対に時間は掛かるんだけどなぁ。

 そう言うレファピテルも、杖の力を駆使していた様に感じる。


「動かして良い?」「動かしますよ」

「良いよ」「そのモノたちは、武器は無いのか」

「私は余分な武器を持って無いからね」「私も無いですよ」

「じゃ、これを使え」

 ヴェルゼーアがアイテム袋から、四本の剣を渡して来た。

 私はそのうちの二本を受け取り、杖の羽の部分で横たわるホムンクルスを撫でた。

 ホムンクルスはゆっくりと起き上がった。

「お前たちに剣を与えるので、じゃ、あのモノたちと戦って良いよ」


 私のホムンクルスは、それぞれアークシュリラとヴェルゼーアに向かって行き対峙した。

 レファピテルのゴーレムもゆっくりだが、二人に対峙している。


 それを見てレファピテルが言った。

「でも良く考えたら、ゴーレムとホムンクルスが一度では可哀想ですね」

「どちらか一体にする?」

「良いよ。どうせ人形でしょ」

「そうだな」


「あなたたち、あのモノたちを殺さない程度に懲らしめてあげなさい!」

 確かに人形だが、人形と言うのは許せない。

 私のホムンクルスはヴェルゼーアとの間合いが近かったので、先ずヴェルゼーアから攻撃をしだした。

 レファピテルのゴーレムは土で作ったソイルゴーレムなので、ホムンクルスほど素早くは動けない。


「レファピテルのゴーレムは、こないだ戦ったアシエゴーレムと変わんない強度なんだけど、土だからソイルゴーレムだよね」

「素材は土ですが良く練ってますから、ソイルゴーレムでなくクレイゴーレムですね。アークシュリラ、参ったと言えば攻撃をやめさせてあげますよ」

「誰が云うものか!」


 ゴーレムとホムンクルスは互いに攻撃の連携こそしないが、ホムンクルスは二人の攻撃を上手くかわして攻撃をしている。

 クレイゴーレムの方は二人の攻撃を躱すことはないが、頑丈なので剣が数回当たったくらいでは致命傷になっていない。

 ヴェルゼーアやアークシュリラも、ホムンクルスやクレイゴーレムでは簡単には攻撃を受けてくれない。


 何度も剣のぶつかる音が響く。

 二人は一生懸命に戦っているが、とても楽しんでもいる様だ。


「レファピテルのゴーレムは魔法は使えないよね」

「そういった魔石や魔方陣は入れてませんから、今回は使えませんが……もしかしてゼファーブルの方は使えるのですか」

「ホムンクルスだから、当然のことで使えるよ。でも、あの二人は魔法を全く気にしてないから、ホムンクルスが使えば直ぐに終わるね。そんなに強力な魔法は使えないけど、助ける準備をしてね」


 ヴェルゼーアとアークシュリラがクレイゴーレムに切り込んだと同時に、二体のホムンクルスが火柱(ファイヤーゾイレ)を使い二人と二体を火に包んだ。


 急いで私が二人を火柱から救出して、体にまつわる火を消す。

消火(ポザラトシェイネ)!」

 レファピテルが治癒魔法をかける。

治癒(ハイルング)!」

 重症と感じたのか、通常使うキュアじゃなくハイルングを掛けた。


「ゼファーブル! 魔法は反則だよ!」

「反則ってなんで? ホムンクルスなんだから、魔法を使うのは当然でしょ。アークシュリラは魔法使いが相手でも、魔法は反則って言うの?」

「言わないよ。でも……」

「強さは充分に判った。この四体がいれば砦を奪われることはないな」


 この間もホムンクルスの火柱は、クレイゴーレムを包んでいる。

 私たちがゴーレムたちを鎮火させた時には、クレイゴーレムは上手く焼き上がってポースレンゴーレムの様になっていた。


「レファピテル、ごめん。焼き上がっちゃったね」

「そうですね。これでは体内に魔方陣を仕込めませんね」

「レファピテルなら、面倒だけど体内に描けるでしょ」

「それは、出来ますけど……」

 レファピテルは、ポツリとつぶやいた。


 私たちはポースレンゴーレムとホムンクルスを砦に残して、カヌーでエントラント帝国軍の居る所のはるか上空を進んでいる。


「ここなら見付かっても、平気だよね」

「アークシュリラ、そうですね。もし魔法を放たれても、これほどの距離があれば当たる前に対処できますね」

「それにしても、よくこんだけの人を良く集めたよね」

「ここから一発くらい魔法を放ちたいけど、無理矢理に連れられて来られた人々じゃ、それも出来ないよね」

「ゼファーブル。私たちから攻撃をするのは、ビブラエスが戻ってからだ」


 上空から見ると、沢山の固まりが出来ている。

 それが軍団ごとなのか、併合した住民ごとにまとまって居るのかは判らない。

 後者なら、まだ統制が取れていないのかも知れない。


「魔法を使うモノは、この中にどのくらい居るのでしょうか」

「強制的に連れて来たから、個人の能力は把握して無いのかもな」

「そうだね。例えばあの中にヴェルゼーアがいても隊長にはしないだろうし、ゼファーブルやレファピテルも武器を与えられているってコトだよね」

「そうですね。個人の能力を知ることは、難しいですよ。とくにビブラエスの様な魔法に依存しない能力を把握するのは、短期間では無理でしょう」

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