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200 鶏小屋を作る

 イルナルとロステムルに、私とレファピテルが魔法のコトを少し説明した。


「それで、次は何を作る」

「池だな」

「池は必要なのですか」

 イルナルが尋ねてくる。

「必要だ。クーリツァは泳がないとダメになるんだ」

「そうなんですね」


 ビブラエスが棒で池を地面に描いたのを、イルナルとロステムルが魔法で掘った。

 もう慣れたのかなぁ。

「子供が落ちても大丈夫なように、深さは70センチメートルだな」

「池の周りにも柵を作りますから、1メートルにしたらどうでしよう」

「レファピテル、それで良いぞ」


「レファピテル。水はどうしよう」

「これは二人には無理でしょうから、私が行います」

 レファピテルはそう言って今掘った所の中に入って、中心付近を杖で数度突っついた。

 そうすると幾つかの水が湧き出してきた。


「溜まるまでに、さっさと次を作りましょう」


「一回鶏小屋を作るけど、直ぐに壊すから二人で作ってね」

「わざわざ壊さなくても良いですよ」

 ロステムルが言う。

「今後壊れたらどうするの? 自分たちで直せなければダメだよ」

「そうでした」


 私が小さめの鳥小屋を作った。

「これをあの線の大きさで作ってね」

 二人は何とか鳥小屋を完成させた。

「良い感じだよ。じゃ内部だね」

 鳥小屋の中に移ってから、池に面している壁を一部壊してもらった。

 これで池へ行けるが、段差はいらない。

「ここは滑らかにして、水飲み場や餌入れも作ろうか」

「はい」

 こっちは止まれば判るし、修理もやりやすいので、水飲み場の水は二人に水を沸き出させて、餌入れや水を溜めるモノも作ってもらった。


 そして、池の周囲には子供たちが誤って落ちない様に、新しく柵を作った。

 更に天井の部分も、イタチなどの鳥を襲う生き物が侵入しない様にしてある。

 この柵のおかげで、クーリツァは小屋から池に行けるが、陸に上がれる処は小屋しかない。


 最後にビブラエスがクーリツァをアイテム袋からだした。

 終わりかな。

 見ているだけと思っていた二人は、自分たちの魔法でどんどん変わっていく景色に嬉しそうだった。


「飼い方はどうするのですか」

 イルナルが尋ねた。

「ここに水、こっちに餌を入れてあげてね。餌は3センチメートルくらいに切った肉や野菜などナンでも良いよ」

「食事の残りでも良いのですか」

「それでも良いが、油で炒めたモノはやめた方が良いな。コイツらは、料理をしないからな。一番の好物は、ミミズやアリとかの小さな昆虫だ。それらは勝手に入って来るから心配はいらない」

「考えればそうですね」


「後は小屋の掃除だね。本来は、汚くなる前に移動するけど、ここでは移動出来ないから綺麗にしてあげてね」

「そこは牛小屋と同じで、毎日やります」

 ロステムルが応えた。


「それとタマゴは三週間くらいで孵化するから、増やさないなら早めに食べることだ。それに10日もすると、食べるのに勇気がいる状態になるぞ。もしナニも知らずに、15日前後のモノを割ったらトラウマものだな」

「判りました。気を付けます」

 ロステムルが応えた。


 クーリツァとかベンネやヘンブンも魔物でなく普通の生き物だから、タマゴの中で一気に成長することはない。孵化するまでの間、少しずつ成長して行く。

 あとで知ったコトだけど、クーリツァはメスだけ飼っていても、その中からオスに変異するモノがいるそうだ。それは泳げる所が近くにないと、必ず起こるらしい。

 片やベンネやヘンブンはメスだけを飼えば、タマゴは絶対に孵化するコトはないことも判った。


 私はアイテム袋からビンを取り出した。

「後は最初に言った薬だね。これは乾燥してるけど、この草って生えている?」

「この草って雑草ですよね。ここなら何処にでも生えていますよ。それに刈り取ったのもあります」

 地面を見ると、本当に生えている。

「これですよね」

 その一つをロステムルが抜いて、私に渡して来た。

「そう、これ。スーブァヴェラと言う草だよ。これを日光で良く乾燥させて、お茶の様に飲ませば良いよ。普段から飲んでも大丈夫だけどね」

「飲めない場合はどうしますか」

「ロステムル、その場で寝転がって」

 ロステムルは訳の判らないままその場に寝転がる。

 私はその横に行く。


「先ず粉々にしてから、頭をこうして粉々の状態のモノを口に入れてね。今はやらないよ。この状態で少しずつ水を流すと喉の奥にいくから、こうだね」

 ロステムルの頭を私が急激に元に戻すと、ロステムルが飛び跳ねて起き上がった。

「ちょっと! やらないと言いましたよね」

 ロステムルが少し怒って言った。


「ごめん。私は薬や水はやらないと言ったつもりだったんだけど……」

「よく判りましたが、最初から粉々にしておいたらダメですか」

 イルナルはそう言った。

「別に構わないけど、私の場合は処方する前に見せるコトがあるからね」

「そうなんですね」

 帰りに鳥小屋を見ると、既に池で泳いでいるモノもいた。


「もうタマゴを産んでるね」

「本当ですね」

 それを見て、レファピテルがタマゴが割れない様に保管するトレイを2枚作って、イルナルとロステムルの二人に渡す。

「これを魔法で作れますか」

 二人は何度も失敗しながら、ようやく1つずつ作りあげた。

 レファピテルが失敗する度に、ここでもダメな点を丁寧に指導をしていたよ。

 これで壊れても、自分たちで作れるね。


「レファピテル。ついでにタマゴを孵化しない様に出来る」

「命を消すことです」

「出来るんだね。売り出して事件にならない様にしようよ」

「そうですね」

 二人にタマゴが孵化しない様にする魔法を教えた。

 これはタマゴでやっても出来ているか判らないので、私が土で簡単なホムンクルスを作り出し、それを消してもらう。

 これはレファピテルが言って来たことだが、ホムンクルスで無くても良いとあとで判ったよ。


 少しの間だが私たちが指導したことで、イルナルとロステムルが使う魔法のレベルは向上した。

 ここでは教わる人がいないから、魔法は自己流になるのでそれは致し方ない。

 レファピテルが魔法の本、私が錬金術の本をイルナルとロステムルに渡した。

「初歩的なものだけど、知っているのと知らないのじゃ雲泥の差が出るから、時間を作って読んでね」

 初歩的と言ったが、中級者が読んでもきっと勉強になるモノだよ。

 本と言っても市販されて居るモノでなく、私たちが知ったことをまとめたメモ集を抜粋して本の形にしたモノだけどね。

「ありがとうございます」「一生懸命に勉強をします」

 イルナルとロステムルが言った。

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