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19 モランデティスの調査をする

 私たちはダルフさんの鍛冶屋をでて、宿に戻るのにはまだ早いから少し村を散策していた。

 私たちは既に昨日の遠吠えのことを忘れだしていたが、それが何であるかを村人たちの会話から知ることが出来た。

 そして図書館でどんな魔物かを多少調べてから、私たちはギルドへ向かうことにした。


「昨日の遠吠えはモランデティスだってね」

「巨大って言っても3メートルは無いから、ルージュミルパーツより小さいよね」

「どんな攻撃をしてくるかだね。武器は剣か棍棒だと思うけど、類人猿の中には、魔法を使うのも居るからね」

「そうなると、もう巨人って言うレベルだね」

「確かにね」


 私たちはギルドの中に入り、掲示板を眺める。

 モランデティス退治の依頼は掲示されていなかった。

 そこで私たちは受付に居る人に尋ねた。


「モランデティス退治ってないの?」

「モランデティスですか? モランデティスはありませんよ」

「何で、昨日の夜中ずっと遠吠えしてたよね。それにたくさんの人々も往き来してたよね」

「それを、どこで見ていたのですか?」

「街道を歩いて居たら、遠くの山中で火が行ったり来たりしてたよ。だからそう思っただけだよ。直接見てた訳ではないよ」

「そうですか、モランデティスは冒険者ギルドでは扱えないので、詳しくは神殿で神官たちに聞いて下さい」


 モランデティスって神様なのかなぁ。

「判ったよ。ありがとう」


 私たちはギルドを出て神殿に向かった。

「ゼファーブル。モランデティスが神だったら、やっつけることは難しいね」

「殺せないよね。イヤ、傷を負わしてはいけないとなると無理だね」

「そうなると話し合って大人しくさせないとダメナンだよね。でも、昨日のたいまつとかは何だったのかなぁ」

「たいまつが生贄をモランデティスに捧げているにしては、遠吠えが変だよね。まるで怒っている感じだったよね」


 私たちは神殿に着いて、そこに居た神官にモランデティスについて尋ねた。


「昨日モランデティスが吠えて居ましたが、この村では、モランデティスに対してどのような扱いになっていますか」

 アークシュリラは回りくどい言い方で無く、単刀直入に聞いた。


「モランデティスですか? 普通に魔物ですが、どうしてですか?」

「神様として崇めて居る訳ではないのですか?」

「特に崇めて居ることはありません」

「では、なぜギルドで討伐依頼を処理させないのですか?」

「ギルドが出来る前からのルールです」

「他にギルドで扱わない魔物は居ますか?」

「居ません」

「もし、人々に害を成せば、私たちが黙って退治しても構わないのですか?」

「そうですね。しかし、モランデティスはこの村へは来ませんよ」

「分かりました。ありがとうございます」


 神殿を出てアークシュリラが言った。

「ギルドも神殿も何かを隠しているね。でも、殺しても良いって言っていたから、黙ってやっちゃう?」

「それは最終的だね。何で本当のことを教えてくれないかだね」

「そうだね。神様扱いなのでと言ってくれた方が、私たちも素直に納得出来るのにね」

 そうだ。神様扱いの魔物はドラゴンやガーゴイルとかたくさん居る。

 強く無くても、象やキツネとかが神様扱いの国もある。


「もう一度、図書館へ行ってこの地方について調べようか?」

「そうだね。ダガーが出来るまで時間もあるし、調べに行こう」


 私たちは図書館でこの地方の風俗や習慣を調べてみた。しかし、モランデティスや猿を神格化して祀っていると言った記述はなかった。


「ゼファーブル。昨日の火は何だったんだろうね」

「ギルドでは、見てたのかって言われたから、見られたらマズイことナンだよね」

「部外者に見せられないことって、悪魔召喚かなぁ」

「確かにそれだったら、見られたらマズイよね」

「モランデティスに生贄を捧げてたのでは無くて、モランデティスが生贄だったの?」

「何でそんなことをやる必要があるのかなぁ」


 昔から続いている伝統でなくて、つい最近始めたことだと図書館で調べても判らない。

 それに、地道に村人たちに尋ね廻る調査を行うことはやりたくない。

 それは全員が知っていることならいいけど、知って居る人が限定的だとそのモノを見付けるのも手間だ。


 村人全員が知っている訳でもなさそうだけど……いくらここが村と言っても、暮らしている物の数は数人ではない。それにずっと出歩いていることもないからね。

 もし仮に村人全員がそのことを知っていても、村人以外に言ってはならないことなら、私たちに教えてくれるハズもない。

 確かに自白をさせる薬とかはあるけど、それは相手に粉を振り掛けて使う訳ではない。無理矢理飲ますことも出来るが、自分から飲んでもらう必要がある。

 粉状にして何かに混ぜて飲ませることも出来るけど……


「今日の夜もやるのかなぁ? ゼファーブル、どうかなぁ」

「じゃ、今夜行ってみようか。でも、見つかったら面倒になるかも知れないよね」

「そうだね。しかし、村人にナニをやっているかって聞くよりかは早いよね」


 村人に聞かないで、ギルドとかにも潜入しないとなるとやることが限られる。

 私たちは姿が見える敵……対象だと出来る事が多いが、見えないモノが相手だとそれが一気に減る。

 アークシュリラはそのことを全く気にしている雰囲気はないが、本来だと諜報とかは剣で戦わない私の役割かも知れない。

 それは今後の課題かなぁ。

 私とアークシュリラは夜に行動するために、ランタンとかを買って準備をした。

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