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18 ダガーを注文する

 エマルダはドワーフの村と言っても、全ての店が鍛冶屋と言うわけではない。

 八百屋や肉屋も有るし、食事をするところも有る。

 それにここにはギルドだって建っている。

 さすがにドワーフの村なので、当然のこと暮らしているモノはドワーフが多い。

 それ以外は、他の種族が暮らす村と変わりはないよ。


 私が知っている鍛冶屋は、ダルフさんの店だよ。

 私はそこで数年に一度程度、ダガーを調整して貰っている。

 しかし、相手は私を覚えて居ないと思うけどね。

「ゼファーブルのダガーって、ここで作ったの?」

「違うけど、ここの店主は腕が良いから安心していいよ。たまに私のダガーもメンテナンスして貰っているよ」

「そうなの」

「でも、相手は私を覚えてないと思うけどね。後はアークシュリラが店に有る商品を気に入るかだけどね」

「判ったよ。サービスとか期待出来ないと言うことだね」

「ごめんね」


 私たちはダルフさんの店に着いた。

「あの~。ダガーって有りますか?」

 アークシュリラがダルフさんに声を掛ける。


「ダガー? 解体用かそれとも武器か? 武器なら手に持って戦うのか、それとも投擲用か」

「どう違うの?」

「お前さんはそんなことも知らないで、買いに来たのか?」

「知っていたら聞かないよ」

「解体用は細かい作業が出来る様に刃が短いし、それに力を込め易いように握り手の部分も若干だが短い。武器用は刃が長く、剣を受け流す為にその刃も太いぞ。これが武器用で、そっちが解体用だ。そこの箱に有るのが投擲用だな」

 アークシュリラはそれぞれを交互に持って、真剣に確認をしている。


「両方ってのはないの?」

「両方?」

「だからね。刃は解体用の様に短くなくて武器用で、握る部分はこれみたいに長くなく、そしてしっかり握れる太いヤツだよ」

「解体なら解体用が使い易いぞ。お前さんの武器は腰に有るその剣じゃろ」

「そうだけど、小さいのも良いかなって思ったからね。それに解体はこれでも出来るからね」

「それじゃ、まともに魔石すら取り出せないだろう」

「マダーフォンは出来たよ」

 アークシュリラはアイテム袋からマダーフォンの魔石を取り出してダルフさんに渡す。


「キズが一つもないな。わしも耄碌したか、お前さんの剣の腕前を見誤るところじゃったわい。もし、良ければ腰のモノを見せてはくれぬか」

「これ?」

 アークシュリラが剣をさわる。

 ダルフさんが頷いた。


「見るだけなら、別に構わないよ」

 アークシュリラはベルトにある金具をいじってから、剣を外してダルフさんに渡す。

 アークシュリラが片手で外して渡したが、ダルフさんは両手で剣を持っている。

 客の大切な物だから落とさない様にしていると思うけど、もしかすると片手では自分が確認したい箇所をしっかり確認することが出来ないのかも知れない。

 その証拠ではないが、ダルフさんの上腕に大きな力こぶが出来ている。

 結構、力が入っているね。


「とても素晴らしい剣だ。それでこの剣で切ったのはマダーフォンとかの小動物だけか」

 アークシュリラが、言っても良いのと言う感じで私の方を向く。


「違うよ。アークシュリラはルージュミルパーツとかも切ったよね」

「うん。たくさん切ったよ」

「ルージュミルパーツだと! センチピードでなくルージュミルパーツか、本当にか。この剣は刃こぼれ一つしていない。信じられん」

「うん、8匹ぐらいだけど切ったよ」

「8匹だと!」


 ダルフさんは腕に力を入れて、アークシュリラが渡した剣の刃とかを何とか観察している。

「この剣をどこで入手したかなど野暮なことは聞かないが、儂が作るよりそのモノにダガーも作ってもらうことは出来ぬのか」

「ちょっと、それは出来ないかなぁ」

「そうか判った」

 ダルフさんがアークシュリラの言葉をどう受け取ったかは分からないが、そう淋しそうに呟いてからアークシュリラに剣を返す。

 アークシュリラはそれを受け取り、元の様に腰に戻した。

 その際に、マダーフォンの魔石も片付けた。


「ならば儂がお前さんのダガーを作ってやろう。わしは、ダルフという」

「私はアークシュリラだよ。で、いくらなの」

「普通のダガーなら1本で金貨3枚と云いたい所だが、お前さんを気に入ったから金貨2枚で良いぞ」

「それじゃ、悪いからね。それに銀貨5枚付けるよ。私も今回の買い物が最初で最後って訳ではないしね」

「わっはっは! 面白いヤツじゃ。益々気にいったぞ。で、店に並んでいるモノを微調整するのではなく、何日か前に良い鉄が入手出来たから今から打って作ってやる。なので済まないが2日程度待ってくれ。そしたらその剣に勝るとも劣らない素晴らしいのを作っておく」

「判った2日後だね。もしかしたら取りに来るのが遅れるかも知れないけど、絶対に取りに来るから取って置いてね。だから手付けじゃないけど代金の一部を先に払うよ」

 アークシュリラは銀貨5枚を置いて、私と一緒に店を出た。


「あの人は、ゼファーブルを見て驚いてたよ」

「そうかなぁ。ルージュミルパーツって私が言ったからじゃないの」

「違うと思うけどなぁ」

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