表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
188/268

187 塔の探査をする

 山頂で発見した魔法陣を解析したレファピテルが、このままにして置くのは山にとっては良いことではないと言った。


「どうする。他のを止めるか」

「ヴェルゼーア。この状態では、私たちがやるしかないだろう。レファピテルとアークシュリラならどこがここと同じか判るのだから、それ程時間も掛からない」

「判りました。やりましょう」


 レファピテルとアークシュリラは、先ずこの魔法陣にある魔力を把握して、ここと同じ魔力がある仕掛けを探す。


「6つかなぁ」

「そうですね。6箇所ですかね」


 私たちはカヌーでその所へ行った。


「先ずはここですね」

「壊して平気なのか」

「掘り出さないと解析は無理です。今、私たちが出来ることはこれを弱めるくらいです」

「レファピテル一人じゃ大変だよね。弱めるってどうやるの」

「ゼファーブルは劣化(ルックグヮン)低下(アプファル)は使えますか」

低下(アプファル)なら使えるよ」

「山頂の魔法陣の状態から言って、70パーセント低下する様にそれを掛けて下さい」

「70パーセントだね。解ったよ」


低下(アプファル)! これでいい?」

「平気です」


 そして私たちは、6箇所全ての仕掛けを低下させた。


「これで終わったね」

「まだ、有りますよ」

「そうだよ。これを使ってエネルギーを集めている所がね」

 吸収しているだけでは設置した意味はない。

 エネルギーを使うタメに設置したハズだ。


「それって、あの塔か」

「そうだよ。良く判ったね」

 それしか考えられないが、他で使っていて欲しかった。

 と云うか二人は魔力を解析した時に7箇所って判ってるのに、私たちがいつまでもゴーレムを無視しているから6箇所って言ったのかなぁ。


「じゃ、行くか」

「もうゴーレムが居るって判ってるから、行きたくないな」

「エネルギーの供給を減らしたので、もう、たいしたことはないですよ」

「いくらエネルギーが減ってもゴーレムはゴーレムだ。アイツらは動きを止めるまで遅くなることはないんだぞ」

「山のエネルギーだと、マッドゴーレムじゃないよね」


 マッドゴーレムは土でなく、泥で出来たゴーレムである。

 一般的にゴーレムの中では一番弱いと云われているが、体が泥の為に物理攻撃はほとんど効かない。

 なので物理攻撃しか出来ないパーティーだと、土で出来たクレイゴーレムや石で作られたストーンゴーレムの方がやっつけ易いと云う逆転現象が起きるよ。


 蛇足だが、ゴーレムは生き物ではないので手足を切れば別だけども、いくら傷ついても性能が落ちることはないよ。


 私たちはゴーレムの待つ魔導師(ソーサラー)の塔を目指した。


「着きましたね。出入り口から入って行きますか」

 塔には低い位置に窓はない。

 しかし、カヌーを使うか魔法でなら、そこへ行けないコトはない。


「窓は開いてないから、出入り口からの方が楽だな」

「いきなり攻撃をして来るとは思えないが、用心しておくか」

 ヴェルゼーアはそう言って剣を抜いた。

 アークシュリラも抜刀しているし、レファピテルと私も杖を構えている。

 それを見てから、ビブラエスは出入り口扉の鍵穴を専用の工具で開けた。


「じゃ、開くぞ」

「いつでも良いよ」


 ビブラエスが扉を開けた。

 しかし、扉の先にはゴーレムは居なかった。


「ビブラエス、中に入るか」

 罠を調べてからビブラエスは中に進んだ。


「ギルドからは、今は誰も来ていない様ですね」

 それは出入り口の扉に、鍵が掛かっていたコトでも判る。

 ゴーレムが動けば多少の音がするが、ここは物音一つしない。

 私たちが入った室内は、20メートル弱くらいの円形の空間だ。

 左右の壁には上へ行く階段があるだけで、机や椅子などの調度品や壁にも絵画とかもなかった。


「上に行くしかないな」

「そうだね、早く見付ないとね」

「で、倒したらそのままと云う訳にもいかないな」

「ギルドへの報告ですね」

「あぁ、そうだが。それは倒してから考えるか」


 私たちは二階へ上って来た。

 階段は壁沿いにまだ続いているが、その脇に踊り場から続く廊下と云うのか、踊り場の延長されたモノが有ってその先に一つの扉が有る。


「全て扉が無いとありがたかったが、そう言う訳にもいかないな」

 ビブラエスが扉の周囲を調べてから、私たちの方を見た。


「鍵は掛かっていない、開けるぞ」

「頼む」


 そこは10メートル位の正方形の部屋で、中にはソファーがあり応接室の様だ。

 右側の壁には扉が一つあり、正面には一つの風景画が飾られていた。


「応接ですね。あの扉の先が水周りですかね」

「そうだね。水周りが違う階に有ったら面倒だよね」


 風景画やソファーなどを全員で調べたが、怪しい所はなかった。

 そしていつもの様に、ビブラエスが扉を調べてから中に入った。

 そこはレファピテルの言ったとおり、水道や火を熾す魔法陣など水周りの設備が有った。

 そして、食器棚に年代物の食器が並んでいる。

 扉は私たちの入って来た扉とは別に、反対側にもう一つある。

 多分、もう一つの階段に続く部屋が有るのだろう。


「こっちの部屋は、さっきの部屋より狭いね」

「そうだな。それでも6人くらいが座れるソファーがあるな」

「こっちの絵は海だね」

 さっきの部屋に有ったのどかな田園風景とは異なり、荒々しい海の絵が掛けられている。

 ここも怪しい所はなかった。


 案の定、扉の先にはもう一方の階段が有った。

 そうなると次の階辺りで、ゴーレムとご対面になる。

 そうでないと外観では五階建てなので、ゴーレムがいないコトになる。

 でも、ナンでこの塔にゴーレムが居ると判ったのかなぁ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ