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17 ドワーフの村へ行く

 アークシュリラが魔物とかと戦う時は、いつも腰にぶら提げている剣を使う。

 ダガーを購入しても、戦闘で好んで使うことはないと思う。

 しかし、どうせ作るのなら、良いモノを使った方が良い。


 刀剣類や武具は、モノの良し悪しで勝負を決することがある。下手にケチって負けたら哀しい。

 もし万が一にでも死ぬことになったら、死ぬに死にきれないよね。

 まぁ最初からオリハルコンやミスリルと言った希少金属で作る必要はないが、作れるならやはりドワーフに作って貰った方が良い。


 そこで私たちは、アークシュリラが使うダガーを購入するタメに、今いるほら穴から北西の方向に進んでいる。

 目指すはドワーフの村であるエマルダである。

 もうかれこれ、一週間は歩いている。


「ゼファーブル。まだ、着かないの?」

 アークシュリラは、今日だけで何度目かの質問をして来た。

「目的地は、あの山の麓って言ったよね。忘れたの」

「ずっと歩いて居るけど、ぜんぜん近付いてないよ」

「そんなことはないよ。少しは近付いているよ」

 ほら穴を出て、2日目の夕方に山が見えたので、私はアークシュリラにあの山が目的地と教えた。

 行き先が判らないと、アークシュリラもモチベーションが維持出来ないと思ったからだよ。

 それから既に4日間歩いている訳だから、あと1日で着くハズだ。


 私たちがしょっちゅう移動しているなら、馬を仲間に加えても良い。

 しかし、私は基本的に暮らすほら穴が決まれば、移動をすることはない。

 それはアークシュリラと一緒に行動をする様になっても、変わることはなかった。

 街で買った商品や生活費を得る為に販売する薬は、アイテム袋に入れれば運搬に馬が必要となることはない。

 そのため買い出しに半日掛かっても、わざわざ馬を購入しようとは思わなかった。


 私もアークシュリラも、乗馬が出来ない訳では決して無いよ。

 たまに街や村で馬を借りると遠乗りとかをして、ストレスをため込まない様にしているからね。

 アークシュリラも遠乗りでストレスを発散させることはしても、馬を入手していつでも乗れる様にしようとは言ってこない。


 太陽が傾いて来たので、私たちは今から野宿する場所を探すことにした。


「ゼファーブル、今回はあすこにしようか?」

 アークシュリラが選んだのは、巨大な岩が有るそばだった。

 岩を背にすれば、三方向だけ気をつければ良い。それに矢とか軽い魔法なら、岩に隠れて防ぐことも出来る。

 アークシュリラは、そう言うことも理解出来る様になってきた。


「良いね。私が火を準備するから、肉とかを用意してね」

「ゼファーブルの方は、まだ野菜は有る? 私の所にはもう無いよ」

「私も無いよ」

「じゃ、煮込みじゃなく、今日は肉焼きだね」

 アークシュリラも慣れたように、塊から焼く肉を切って居る。


 その肉をただ焼くだけだが、今倒して来た感じで肉には血が滴っている。

 両面を充分に焼いて、骨付きのまま頬張る。

 味付けはいつもの塩だが、マズイ訳がない。

 しかし、いくら美味しくても、これが何日も続くと飽きが来る。だから、野菜と一緒に煮込んだり肉だけを茹でたりと、同じ肉でも飽きない様に食感が変わる工夫もしている。


 食事も終わって、明日には着く村の説明などをしていると、遠くで獣の遠吠えが聞こえた。

 そのうなり声はウルフではない。

 低いうなり声はもっと大型の動物だろう。


「ゼファーブル。何の声だろう?」

「聞いたことないね」

「村がある方角からだよね。もっと山奥かも知れないけど……」

「夜に移動することは良くないけど、今日は月も出ているから行こうか?」

「そうだね。今のが、私たちの目的地からで、着いたら魔物に襲われた後だったら悲しいよね」


 私たちはドワーフの村を目指して歩を進めた。

 以前の私なら、自分に火の粉が飛んでこなければ、極力関わらない様にしてたのになぁ……

 こうなったのも、アークシュリラと出会ってからだけど……


 しばらく進むと、山の中腹に火の列が見える。

「アークシュリラ。あれって、多分たいまつだよね」

「たいまつ? ドワーフたちかなぁ?」

「ドワーフだったら、さっきの遠吠えの主と戦ってるのかなぁ」

「ここのドワーフはどうか知らないけど、私の知っているドワーフは夜陰に乗じて逃げる様なことはしないよ。多分、戦っているんじゃないの」


 アークシュリラがどこでドワーフを知ったかは知らないけど、ドワーフだって(かな)わない相手なら逃げる。

 自分が(かな)わない相手に攻撃をするのは、勇敢とは違う。それはただの好戦家や狂戦家だよ。

 ドワーフは勇敢だけど、決して好戦的でも狂戦的でもない。


 私たちは寝ないで歩いたから、翌日の午前中にエマルダに着いた。

 その村の出入り口にある門では、何事もなかったかの様に入国のチェックが行われている。


「昨日の夜に聞こえた遠吠えは、この村でなかったんだね」

「そうだね」


 私たちのチェックも無事に終わり、先ずは宿屋に向かった。

 ダガーがどのくらいで出来上がるか判らないので、とりあえず一週間分の部屋を押さえた。

 それから私たちはアークシュリラのダガーを買いに行く。

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