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173 泉の改良が終わって

 先ずは召喚をするために魔法陣を描きだしてから、ヴェルデムベゼラを呼んだ。


「レファピテルか、どうした」

「メコリオスがこの様に肉体が滅んでも魂が残っていましたので、失礼かと思いましたが呼ばせて頂きました」

「そうか、手間を掛けさせたな」

 ヴェルデムベゼラはそう言うとメコリオスを捕らえた。


 メコリオスは良く消えずに、素直にヴェルデムベゼラに捕まったなぁ。

 私だったら絶対に消えて、全ての泉で作業が終わるのを見届けるよ。


「あの~、大変申し上げ難いことですが、私たちをこの用紙に書かれた所へ連れて行って頂くことは、出来ませんか」

「どれ、見せてみろ」

 ヴェルデムベゼラはレファピテルから用紙を受け取り、それを見てから言った。


「ナゼ、ここに行きたい」

 レファピテルはヴェルデムベゼラに訳を話した。


「そう言うことか。本来はメコリオスが生前にやったコトだから、吾の範疇ではない。しかし、このまま放置すると水を飲んだり、触れたりしたために死ぬモノが出ると言うレファピテルの意見はもっともだな」

「では、連れて行って頂けますか」

「それは出来ぬ。しかし、ここと同じ様に泉の水を飲んだり、触れたりしても死なない様に吾がして置く。そして、レファピテルたちがどんなに時間が掛かっても、自分の力でこのリストに有る処に行って魔法陣とかを改修すれば良いぞ」

「それでも良いです。お願いします」

「見も知らないモノのためにそんなコトをするなんぞ、お主たちは本当に心優しいモノたちだな」

「私たちは、そんなコトはありませんよ」

 レファピテルがヴェルデムベゼラにそう答えると、ビブラエスが割り込んで言った。


「待ってくれ、ヴェルデムベゼラ。メコリオスの泉だと数年のウチに内臓がやられて必ず死ぬが、これだと死ぬことはないので泉を管理するモノが出て来る可能性がある。メコリオスのやりたかった、全ての人々にも蘇生をさせてやりたいと言う思いが無駄になる」

「その考えは正しいだろうな。ビブラエス、お前たちがこれからこの場所に行って、いくら魔法陣を設置したとしてもそれは変わらんぞ」

「それは私にも判る。そんなモノが近くに有るのならば、自分の国にして管理をする。更に教会なども放って置かないと思う。そこでヴェルデムベゼラの眷族……イヤ関係者でも良いから、そのモノにこれを守らせることは出来ないか。そうすれば死ぬべきモノが泉の水で蘇生することも無くなる。無茶なコトを言っているのは判るが、ヴェルデムベゼラよ、頼む」

「ビブラエスよ、変わったな。お前が吾や他のモノのコトを考えるとはな。確かに死すべきモノがこの水を飲んで、死なないのはマズいのは事実だ。更にレファピテルの魔法陣では、死すべきでないモノに泉の水を与えようとしても、水を汲みに来たモノが泉に辿り着けないコトもあるな。判った。このリストに有る全ての泉に吾の配下を配置して、水を与えるかの判断をさせるコトにする。これで良いか」

「ありがとうございます」

 ビブラエスはそう言った。


 確かにビブラエスは変わった。それはビブラエスだけではなく、レファピテルもヴェルゼーアも変わっている。

 出会った当初は自分たちが追われていて、明日をも知れない状況だったから仕方ない。

 それでも昔からヴェルゼーアの剣術やレファピテルの魔法とか、ビブラエスの諜報の技術は他のモノより優れていたので、下手な追跡者が来ても返り討ちに遭っていたようだけどね。

 そんな彼女たちも普通に生活が出来る様に成って、性格も少しずつだけど変わっているのは判る。


 私も昔だったら、こんな旅は絶対にしていない。

 だって、旅の目的が闇の神や光と時の神たちがやったコトを調べるとか、昔に存在したと云われているガシララ王朝のコトだからね。

 それらがどう言う結果になろうとも、自分が生きていく上で全く影響がない。

 そんなコトのタメに時間を割くなど、アークシュリラと出会うまでの私には考えられなかったコトだよ。


 私が考え事をしていると、ヴェルデムベゼラはなにやら唱えてから言った。

「レファピテルとビブラエスの云うことは、これで済んだぞ」

「ありがとうございます」

 ヴェルデムベゼラは消えた。


 私があれほど掛かったモノを、少しの呪文で短時間にやってしまうヴェルデムベゼラってやっぱり凄いと感じた。

 これってエリロヘルスたちも出来るのかを知りたい。

 もし出来るなら、同等であるレファピテルも出来るコトになるよね。

 そもそも全ての神々って同じ力なのかなぁ。

 絶対にヴェルデムベゼラの方が上の様な気がする。


 そんなコトを私が思っていると、今度はヴェルゼーアが言った。

「レファピテル、良く話をまとめてくれた。それも私たちにとって最高の状況にな。それにビブラエスも頑張ったな」

「本当にこのリストにある泉に、私たちがわざわざ行かないで済んだよね」

 運任せでなくてヴェルデムベゼラの配下のモノが管理をすれば、強欲なモノたちから泉を守れる。

 ヴェルデムベゼラたちも、お金の有無や力関係に関わらずに泉の水を与えられる。

 これがどちらに取っても、良い状況なんだろうね。


「じゃ、外に出てからまた進むか」

「そうだね。ここにはメコリオスが作った泉以外に、ナニも無かったよね」

 ここに来た意味は、そんな不思議なモノだと神々が作ったと思ったからだよ。

 しかし結果は、私と同じ錬金術師(アルケミスト)が、人々のタメにと作ったモノだった。

 まだまだ、この世界には人々が作った不思議なモノが有るのかも知れない。

 しかし、それを最初から除外したら、神々によって消し去られた真実は見付けられないよね。

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