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166 ヴェルデムベゼラを呼ぶ

 私たちは食事が済んでヴェルデムベゼラを呼ぶことにした。

 レファピテルがコインを空中に投げると、それは空高くまで上がって行って消えた。

 コインが消えたその部分の空が次第に黒くなって来て、その黒くなった部分は一人の人の形に変わっていく。

 そして辺りを見渡して私たちを見付けると、そのモノはゆっくりと地上に降りてくる。


「吾はヴェルデムベゼラ。お主が吾を呼んだのか」

「そうです、私が呼びました。エンギルからエリロヘルスによって掛けられた魔法を解除することが出来なかったら、あなたを呼ぶように言われました。それで解除しましたが、本当に解除が出来ているか心配で……」

「そうか」


 ヴェルデムベゼラは、私たち全員を見渡してから続けて言った。

「出来ている。光に関する魔法は全て解除されているな」

「ありがとうございます」

「これで良いか」

「は……ぃ」「ちょっと聞きたいことがあるけど良い」

「なんだ」

「私はゼファーブル。レファピテルの杖がこんな感じに成ったけど、これは闇の神々を崇拝したからなの」

「どれ、見せてみろ」

 レファピテルが自分の杖をヴェルデムベゼラの手に乗せて、その杖から手を離すとヴェルデムベゼラの手にあったその杖は消えて、レファピテルの反対側の手に握られていた。


「吾はその杖に嫌われたか。レファピテル、持ったままで良いから吾に見せてみろ」

 レファピテルは自分の杖を掲げて、ヴェルデムベゼラに見せた。

「これで良いですか」

「少し回転させてくれ」

「はい」


「この杖はお主を主人と認めた様だな。どこで入手したかは知らぬが、これはアスクレピオスの杖じゃな」

「この杖は、名のある杖なのですか」

「あぁ、そうだ」

「だとすると私の杖も、まだ蛇の数が増えたり、あの杖の様に羽が生えたりするのですか」

「この杖は、あの様にはならない。しかし、杖は持ち主の魔力により今後も成長をする。あの杖は錬金術師(アルケミスト)が持つ杖じゃ、お主の持つ杖は魔力も強いから、魔法使いが使う杖と言うことだな」

「そうなのですか」


「もう、良いか」

 ヴェルデムベゼラは帰ろうとしているが、折角呼んだのだからと私が尋ねた。

「それと、私の杖は休むことがあるけど、ナンなの」

「杖が休むだと」

「そう、この羽をつぼめて休むんだよ」

「それは前の持ち主から、お主を主人と認めたことじゃ。形も変わっただろう」

「再び羽を広げたときに、こんな感じで大きく立派に成ったよ」

「お主の魔力に相応しく成ったのだ。もう、休むことはないが、レファピテルの杖と同じ様に成長はするぞ」

「ありがとうございます」「ありがとうね」

 レファピテルがたまにこずいて来るが、全く気にしない。

 そして、ヴェルデムベゼラは消えていった。


「やっぱりレファピテルは凄いよ。エリロヘルスの魔法を解除したんだからね」

「おだててもダメですよ」

 レファピテルはそう言うと、自分の杖を見つめた。


「じゃ、エリロヘルスの処へ行くか」

「私たちがあのやたらと眩しい神殿に行くよりか、箱だけ転移させれば良いよね」

「そうですね。でも、急に箱が届くと訝ると思いますので、ヴェルゼーアが手紙でも書いて同封しましょう」

「判ったよ」

 みんなは衣を脱いで箱に入れた。

 ヴェルゼーアは最後に自分が着て居た衣を脱いで、その上にエリロヘルスに借りたモノは全て返すと書いた紙を入れた。

 そしてレファピテルが、箱をエリロヘルスの神殿へ転移させた。


「一応終わったな。これからどうする」

「私は闇の神々について調べないといけませんね。崇拝をするにも闇の神々については、名前くらいしか知りませんからね」

「私たちは、大陸の旅をこのまま続けていたいな。ゼファーブル、そうだよね」

「うん。そうだね」

「私は闇の神々と光や時の神について調べるつもりだ。今の知識では、どっちが悪いとは言えないからな。ヴェルゼーアはどうする」

「私もビブラエスと同じだ。このまま魔族……闇の神々を退治して良いモノなのかが、判らなくなった。エンギルの話だと光と時の神々の方が悪い様な気もする。神話になるが、調べて自分なりに納得がいかないとダメだな」


「だったら、デアニア王国の王都であるセファニラに行こうよ。図書館には本が沢山あったからね」

「そうだね。みんなが知りたい内容の書物も、きっとあると思うよ」

「そうか。では、先ずはそこへ行こう。そこで調べてみて、なければ次に行けば良いからな」

「そうですね。ハルメニア王国内では、その様な本は少ないですからね」


「ところで、ヴェルゼーアたちは馬って持っているの?」

「持ってない」

「取ってきてよ。旅をしているとカヌーでの移動だけで無く、たまにのんびりと馬で行きたくもなるよ」

「そうか」

「そうですね。行ったことのない所へ行くのですから、馬で走りたくも成りそうですね」

「判った。取ってくる」

「待ってるよ」

 3人は転移して、馬を取ってきた。


 私たちはカヌーでセファニラに向かった。


「セファニラでの宿屋だけど、貴族も泊まる白亜亭か、貴族は泊まんない銀翼亭と紅竜亭の3つが良いらしいけどどれにする」

「銀翼亭と紅竜亭は普通なのか」

「普通って言っていたよ」

「銀翼亭は商業ギルドが傍にあって、近くにある商店街は大きいよ。紅竜亭は冒険者ギルドや図書館が傍にあるよ」

「それなら、紅竜亭だな」

「そうだな」


 しばらく飛んで行くと、セファニラにある王城が見えて来た。

「あの城が有るところがセファニラだよ」

「この距離で見えると言うことは、かなりでかい城だな」

「あの城は大きくなくて、高いだけだよ。だから城と言うより塔に近いかもね」

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