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158 ガシララ王朝について調べる

 私たちは出来上がったカレーを食べながら、状況などを話している。


「レファピテル。ここに家を建てようと思うけど、それともファリチスから転移する方が良い?」

「奥の院が来ることを考えると、ここに建物が有った方が良いですね」

「判ったよ。宿屋の様なレイアウトで作るよ」

「部屋は個室で無くて、大部屋で良いですよ。来るのは高位のモノでは無いでしょうからね」

「レファピテルが文句を言えば、高位のモノも来るでしょ」

「私は、そんな権限は与えられていませんよ」


「そう。ビブラエスに送る前に、他にも石碑は無いか調べる?」

「そうですね。まだ、出て来ることも考えられますよね」

「ゼファーブル。その石碑で魔法陣の効果を高めていると、取り出しても平気なの」

「もう、この状態だから平気だよ。アークシュリラはまだ残っているモノが居ると思うの」

「残ってはいないと思う」


 カレーを食べ終わり、私は念の為にクレーター内に結界などが無いかを調査することにした。

 クレーターの全てを覆う薄い紫色の光を作って、杖を二、三度左右に振ってみる。

 もう機能しているモノはないかなぁ。


発掘(アウスカーボン)!」


 クレーター内から同じ様な四つの石碑が出て来た。

 それらの位置を間違えないように、クレーターの外へ出す。

 出した所は、中心からそのモノが有った延長線上にしたよ。

 最初の石碑も同じ様に出てきた場所の延長上に、置く位置を変えた。


「どうして一カ所にしないの」

「持って行くモノはいないと思うから、建っていた方角を変えない位置に置いたんだよ」

「そうですね。ナニをしているのかが判りませんから、方角などは変えない方が良いですね」


 その全てから拓本をとりレファピテルに写しを渡した。

 レファピテルはビブラエスに手紙を書いて、拓本も一緒に送った様だ。

 私は、石碑を出土した向きも気にして立てたよ。


 そして二人が食事の後片付けをしている間に、私はファリチスに建てた家よりも大きな建物を作りだす。


 壁とかはファリチスにある木でなく、土で作った。

 その土壁を保護するように、木の板をはめていく。

 なので、室内はドコも土壁が見えず、木で覆われているよ。

 宿屋の一階は酒場だが、ここは食堂兼打ち合わせ室として利用するつもりだ。

 私たちの後を引き継いだ、奥の院の人が酒場にしても良いように成っている。

 二階の各部屋は大部屋なので一人だとやたらと広いが、レファピテルが頼んだ通りに作ったよ。


「家はこんな感じで良いかなぁ」

「良いね」「良いですね」

「部屋は好きに使ってね。家具は出ていく際に持っていってね」

「そうですね。拠点と云うより仮住まいですモノね」

「次の人たちも使うから、食堂のテーブルは置いて行っても良いよね」

「そうだね。だったらレファピテル。大テーブルにした方が良い? それとも4人掛け?」

「奥の院にある食堂は大テーブルですが、どちらでも良いでしょう」


「ならば、大テーブルと4人掛けを置いて置こうか」

 私は大きいテーブルと4人掛けを作った。

 レファピテルとアークシュリラも椅子を作りだす。

 これで打ち合わせも出来る。

「これで良いかなぁ」

「良いですよ」


「それじゃ、ヴェルゼーアたちはいつ頃こっちへ来られるの」

「一週間程度です。奥の院の魔法使いがここに来るのは、もっと先になると思いますよ」

「それを待っていることは出来ないよね」

「ガシララ王朝って、ここら辺も領土だったのかなぁ」

「それは判りません。文字だけを使っていたことも考えられますよね」

「ハルメニア王国とかに、ガシララ王朝に関する歴史書は無いの?」

「ありますが、品物が出土する度にそれらは書き換わっていますね」

 ハルメニア王国でも、ガシララ王朝の正式な歴史は伝わっていない様だ。


 そして、私たちは好きな部屋で寝ることにした。

 お互いに仲が悪い訳では無く、魔法で作ったので各部屋の状態を確認するタメだよ。


 翌日も二人はクレーター内で作業をしている。

 昨日の話し合いで、料理は今ここにいる三人が順番で作ることになった。

 そこで今日の担当である私は、おにぎりを作りだす。

 おにぎりは出来たてよりかは、冷めた方が美味しいと私は思う。

 それに作っておけば、好きな時に食べられるからね。

 スープは、具だくさんのキノコ汁を鍋に大量に作ったよ。

 ずっと温めておけないので、食べる人は各自で小さな鍋で温めて貰うことにした。

 家があるので動物たちを気にすることもなく、料理を作っておける。

 本当にありがたい。


 私も時間があるので図書館に行って、ガシララ王朝の歴史を調べることにしたよ。

 歴史と云っても、歴代の王様の名前とかどんなことをしていたかを知りたい訳ではない。

 とにかくガシララ文字を読める様になりたい。

 どこかに、ガシララ文字についての文献があるかも知れないからね。


 石碑に書かれているのが、本当に魔法陣に係わった魔法使いの名前なら5枚もいらないと私は思う。

 それに、もし全てが名前ならば、太陽の昇る方向と沈む方角。そして、それに直角に交わる線上に建てる意味はない。

 その位置に立てなければいけない理由が、きっとあるハズだよね。


 今は文字が読めないので理由は解らないが、文字が読めれば理由も解るかも知れない。

 でも、最初に見付かった石碑は、文字の配置から云って名簿だと思うよ。


 数日が経って、レファピテルやアークシュリラたちは魔力の解析することをやめた。

 それは目当てのモノが判明した訳では無く、精神的にキツクなったからである。

 土の中に残っている魔力を体内に集めて……それも500年も前の魔力を一つ一つ別けていく作業をずっとやっているのだから、まぁ、考えれば当然だね。

 確かに、先日まで閉じ込められていたモノたちの魔力の方が強いとは思うけど、それでも別けないとダメらしい。

 また、ここで戦闘とかをして魔法を一切使って無ければ、魔法陣を作ったモノと閉じ込められていたモノだけで済むが、そんな訳はないよね。


 私の方も図書館でガシララ王朝についての文献を調べたが、収穫は全くなかった。

 ガシララ王朝が有った時に起きた出来事……大まかな歴史は書いてあっても、肝心の使われていた文字と版図については書いてはいない。

 でも、どこで戦闘が有ったとの記述はあるので、おおよその位置は判る。

 でもガシララ王朝は連邦みたいで、国内には幾つもの国が有ったらしい。

 その国はガシララ王朝の一部では有るが、独自に内政や外交もやっている感じがする。

 私がそう思ったのは、同一の文献で同じ地名が国として出て来る時と、王朝の一部として出て来る時があったからだよ。また、人物の方も国王や大臣であったり、執政官であったりもしたからね。

 規模の違いはあるが、それはファリチス周辺の村々で行っている緩やかな共同体みたいだ。


 そんなので王朝を名乗って良いのだろうかなぁ。

 私は歴史家(ヒストーリカ)で無いので、その判断は出来ないけどね。

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