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152 封印の情報を探す

 そのモノ――背丈が私たちと同じくらいの一体がナニやら唱えると、出てきた穴に上空から一本のイカヅチが落ちた。

 そのイカヅチは、自分たちが出てきた穴を含めた一帯を巨大なクレーターに一瞬で変えた。

 私が全力で放つのには劣るモノの、一発でこれほどの威力はスゴいよね。

 街や村だと一瞬で消え去ってしまうだろう。

 イヤ、幾つかの街や村にも多大な被害を与えそうだ。

 そしてそのモノたちは私たちに気付くこともなく、それぞれが違った方向へ飛んでいった。


「ゼファーブル、今のは悪魔か魔族だよね。多分なんだけど、私は悪魔だと思うよ」

「私には顔がよく見えなかったけど、あの羽と魔力から言って強力な悪魔だと思うけどね」

「戦って勝てるかなぁ」

「あいつらの戦闘力は、ドラゴンの比では無いよ」

「それは判っているよ。今は人数が少ないけど、あのモノたちは時間が経てば臣下を集めるよね。そうなったら大変だよ」

「そうだけど、私の灯り(ライト)は簡単に解除されたから、どこまでアークシュリラを支援出来るか判んないよ」

「そうだよね。剣術だけなら互角とは云わないまでも、そこそこ戦えると思うけどね。全てありだと今の私じゃ無理だね」


「出てきた穴はあんな感じにされたから、再封印をすることも難しいよ」

「新しい封印を作って、もう一度閉じ込めるしか方法は無いよね。誰かに作れたのなら、ゼファーブルなら作れるよね」

「頑張るよ。封印をした時の資料とかを探さないと、試行錯誤をやっている時間は無いよね」

「悪魔のエネルギーって、この星に住むモノたちの悪い心だと聞いたことがあるよ」


「それって私も聞いたことがあるよ。悪魔は人心掌握をしてあらゆる生き物に邪な心を植え付けるから、ヴェルゼーアたちにも一報を入れとく?」

「まだ、私たちにはあのモノの固有の名称は判らないから悪魔が現れたとだけになるけど、連絡を入れておいた方が良いよね」

「彼女たちに私たちの支援は無理でも、複数の悪魔が復活したと知って居るのは大切だよね」


 私とアークシュリラの連名で、ヴェルゼーアに複数の悪魔が復活したことを報告した。

 そしてオーラガニアやハルメニア王国など、ヴェルゼーアたちが必要と思う人々に教えて用心して欲しいとも伝えた。


「ゼファーブル、報告は終わったね。じゃ、先に行こう」

「一番大きな国か歴史のある国へ行こう。どう言う感じに封印をしたかが解れば良いけどね。細かく無くてもヒントは欲しいよ」

「あと、悪魔と相対する光の神殿にも寄れたら寄ろうよ」


 私たちには、大陸のどこに大きな国や歴史のある国が有るのかが判らない。

 それなので、馬でゆっくり行く訳にはいかないから、私たちはカヌーで周りを確認しながら進んだ。

 地上に国境線がある訳では無いが、王都や首府なら目立つ建物がある。

 城が無くても首府だと街の規模自体が他より大きいので、上空からでもそれは発見出来る。

 イヤ、地上から見るより上空からの方が断然良い。


 随分と飛行しているが、余り大きな街は無かった。

 そこで私たちは何度か地上に降りて、冒険者ギルドや商業ギルドにも出向いて情報を集めている。

 魔法使いギルドが有ればそこへも行ったし、旅人のウワサでも良いので酒場にも行った。

 その甲斐もあり、幾つかの国家や街とかの情報を得ることが出来た。


「この河の先にある国が古いらしいね」

「セファニラだっけ」

「それは王城のある街の名だね。国名はデアニア王国だよ」

「あれだね」

 王城が見えた。

 その街自体も、とても大きい。


「大きいね。図書館も充実していれば良いけどね」

「直ぐに封印をした方法が判ったら、今度はあいつらがどこに居るか調べないとダメだよね」

 悪魔が現れたとは、どこの街でも聞いたことは無い。

 私たちが聞かなかったから、話さなかったと言うことも考えられるが、ウワサの一つぐらいは耳に入って来てもいいと思うけどね。

 悪魔たちはまだ悪さをしていないので、誰も知らないのかも知れない。


「今は何処かでパワーを貯めているのかもよ」

「それか臣下を集めているのかもね」

 悪魔がどのくらいの期間、閉じ込められていたのかはまだ調査をしていない。

 しかし、それは10年とかの短い期間では無く、もっと長い年月の間閉じ込められていたハズだ。

 だから悪魔も封印から抜け出したばかりで、衰えた力が復活していないのかも知れない。

 私としては、もうしばらく大人しくしていて欲しいけどね。


 個人的に悪魔を封印したのではなくて、誰かの依頼で封印したのならば短い期間しか封印が出来ていないと言うことはない。

 もし、そうならば、それは仕掛けた封印が不完全だったと言うことだ。

 それに封印に関わったモノが生きているか、国家なら封印したら終わりで無く封印の状態を確認するくらいは行うだろう。


 私たちはセファニラに入り、先ずは冒険者ギルドで情報収集をする。

 冒険者ギルドの中は騒然としているが、そこに居るモノたちは慌てている様子はない。

 この賑わいが平常どおりなのだろう。

 私たちは、イツもの通り掲示板で各種の依頼を確認してから受付に行った。


「このギルドって、この地方の歴史や伝承についての本を読むことは出来るの?」

「二階に図書室が有りますので、そこにある書物なら自由に読むことは出来ます」

「判ったよ。それとセファニラに来たのは初めてなので、良い宿屋を紹介して欲しいんだけど出来る」

「ここの宿屋は、どこも良い処ですよ。お金に余裕があるのでしたら、中央街に建っている白亜亭がお薦めですね。普通でしたら銀翼亭か紅龍亭ですかね」

「ありがとう」


 私たちは受付から離れた。


「先に宿屋に行くか、本を読むかだけど……どうする」

「ゼファーブル。先に宿屋を決めようよ。名前が格好いいから、私は紅龍亭が良いね」

「じゃ、紅龍亭に行こうか」


 紅龍亭の場所は冒険者ギルドから一番近くにあるから、部屋を取ってここに戻って来ても良い。

 白亜亭は貴族階級も宿泊するのか、中央街でも上流エリアに面していて二番目に遠い。

 一番遠い銀翼亭は、冒険者ギルドからは上流エリアを挟んで向こう側にある。しかし、商業ギルドがその傍にあるらしい。


 私たちは紅龍亭に着いて、部屋を一週間ばかり借りた。

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