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144 森林の情聞く聞く

 食事の後片付けも終わって、私たちは火を挟んで話し合っている。

「ここってあんな冒険者ばかりなのかなぁ」

「あんなって」

「貴族の依頼なら集まるモノたちだよ」

「報酬は高かったよ」

「確かに一度の依頼としては高いけど、何度もオークと遊んでいた方が多くなるよ」

 それは一理ある。


「確かに貴族の子供なのに、居なくなった日しか判らないのって不思議だよね」

「本当に幼ければ一人で出歩いたりしないし、大人に成ってもお付きがいたりするよね」


 成長するに従いお付きの人数は増減するが、一人きりと言うことは考えられない。

 貴族の中には庶民に親しまれようと、分かり難い処でお付きが見ている場合もある。


「そうなんだよね。情報を出して無いのか、本当に知らないのかは判んないけどね」


 そう言われれば、おかしなことは他にもある。

 曲がりなりとも貴族だとしたら、兵の数十人は持っている。

 冒険者などに頼らなくても、自分たちでナントか出来るハズだ。

 やはり政治的なことなのかなぁ。

 アークシュリラが振ってきた話だけど、ここでぶった切ったら悪いよね。

 ならば、私たちが捜索をする方向に話が進まない様にすればいい。


「領主とかはどうしているんだろうね」

「全部が胡散臭いよね」

「アークシュリラなら、子供のモノが有れば探索出来るよね」

「出来るよ。あすこに居た冒険者の中にも、同じ様なことが出来そうな魔法使いはナン人も居たよ」

「うん。居たね」


 中央付近で話を聞いていた髭を蓄えた上級レベルっぽいモノたちや、端の方で剣士たちと集まっていた帽子の目立つ中級レベルの感じのモノなど何人もいた。

 あくまでも私の見た目なので、両者とも上級レベルってこともあるよ。当然のこと低レベルってこともね。


「もう、これ以上はその話は止めようよ。これから先は政治的な話になるしね」


 アークシュリラは私に気を使ってくれたのか、または、自分もイヤなので止めたかったかは分からない。

 だが、自分から振っておきながら話題を変える提案をしてきた。

 本人がそれで良ければ良いかぁ。


「そうだね。で、オーガとは戦いたくないの」

「オーガって共通語をしゃべるよね。幾ら強くてもエザノーラで懲りたよ」


 アークシュリラなら楽々勝てると思うけど、悪さをしていない共通語を話すモノとは戦いたくない見たいだ。


「そう、だったら明日は先へ進もうか」

「そうだね。この森は探検したいしね。次の街で情報を聞けたら良いよね」

 柵や塀が有るわけではないので、ここからでも森へ入ることは出来る。

 しかし、ナニも情報を得ていない今は、どの様な危険が有るのか知らないのでその選択はしない。

 他の街や村でも情報が入手出来なかったら、行くしか無いけどね。


 短い時間で代わり番こに見張りをすると、二人だと直ぐに順番がやって来る。

 逆に長くすると一人で起きている時間が長くなる。

 それに人の往来とか気を紛らすモノがないのと、夜中は静かなので非常に長く感じられる。


 やっぱり野宿では落ち着いて眠れない。


 そうこうしていると朝日が差してきて、辺りを明るくする。

 朝食は昨日の残りのウルフ汁とパンを食べている。

 朝に食べる量としては少し多いが、次の街までどのくらい掛かるのかを知らない。

 更に落ち着いて食べられる所も無いかも知れないから、食べられる時に食べて置かないとね。


「アークシュリラは眠れた?」

「少しは。でも、疲れは残っているよ」

「次の街では宿屋に泊まろうよ」

「そうだね。それか洞穴でも良いよ」


 敵と言わず獣も四方八方どこからでも襲って来れるから、やっぱり二人切りだと草原での野宿は良くない。


「じゃ、出発するよ。忘れ物はないよね」

「火も消したからOKだよ」


 私たちは次の街に向かった。


「村は無いね」

「そうだね。全員街に収容しているのかなぁ」

 犯罪をして街中での生活が出来なくなったり、私の様に街中での生活が好きでなかったりする者が街の周囲で暮らし初めて村ができる。

 最初は一人とか一家族とかの少人数だが、子供や孫の代になれば人数も増えるからね。


「犯罪をするモノが居ないの?」

 殺人や放火などの重犯罪でなくて、窃盗などの犯罪が無いとは思えない。


「暮らし易いのかもよ」

「物価が低くて、仕事が豊富に有れば、そうだね」


 これでは街に行くまで情報が入手出来ない。

 相変わらず街道は森の中へ進む道は無い。

 たまに分岐をしても、その道は森と反対側にいっている。


 私たちは数日も野宿をして次の街へたどり着いた。


「本当に村は無かったね」

「そんなに強い魔物が居る訳で無いのにね」

「じゃ、冒険者ギルドに行こうよ。宿屋と森のことも聞こう」

「そうだね。森を一周しても同じだったらしようがないね」


 私たちは冒険者ギルドへ向かった。


「こっちのギルドは冒険者が少ないね」

「お金が欲しいモノは、あっちに行ってるんじゃない」

「そうか、あっちは通りで人が多いと思ったよ」


 受付に行く前に掲示板を眺めるが、特に代わり映えは無い。

 それで受付に行くことにした。


「旅の途中ナンだけど、この街でお薦めの宿屋を教えてくれる」

「でしたら二つ有りますよ。一つが少し高いですが、料理も美味しいと評判の錦の翼亭です。もう一つがそこより料理は幾分落ちますが蛇の羽亭です」


 二つの宿屋の場所を頭にインプットした。


「ありがとう。ついでに聞きたいんだけど、森の中に行く道ってどこかにあるの」

「森って大森林のことですか」

「そう」

「行くのは、やめた方が良いですよ。あすこには人を喰う魔物が沢山います。当ギルドでもたまに周辺部の駆除をしていますから、魔物が街道に来ることはまれですね」


「どんなモノが居るの」

「ジャイアントスパイダーとかですね」

「アークシュリラ。クモの大きいのだって」

「簡抜した所なら巣を見付け易いけど、森林でスパイダーは面倒だね」

「何年も前に、ジャイアントスパイダーを食べるサーペントを見たモノがいます」

「サーペントだよね、ヴァイパーじゃないの」

「良く分かって居ません。何しろ大きい蛇が居ることだけは事実です」


 サーペントは大型の蛇で、ヴァイパーは毒を持った蛇を言うが、毒を持った大型の蛇はどちらかの名前が付いていて、どちらかに統一されてはいない。

 大型の蛇の中には、ドラゴンの様にイロイロなブレスを吐くモノもいるので、まぁ毒だけならカワイイ方である。


「魔物以外は何もないの」

「建物があるとかは聞いたことはありません。しかし、今でも勝手に探検に行く冒険者が居ますので、食べられたモノの装備とかは有りますね」

「判ったよ。ありがとう」


 私たちは冒険者ギルドを後にした。

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