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136 作戦決行

 翌日に成って、私たちは売り手を観察しているが、薬は一向に売れていない。


「売れて無いですね」

「レファピテルが一つ買って上げたら」

「お金が勿体ないよ。明日に成れば売るほど手に入るよ」

「そうですよ、ゼファーブル。あの家には在庫が有るのですからね」


「でも、可哀想だな。あれを全て買い取るのだよな」

「ヴェルゼーア、どうした。お前らしかぬことを言って」

「そうだな。あのモノたちがいくら子供であっても、そして組織から抜けられないとしても、これは偽の薬を作るって犯罪だったな」


 今度は買い手の方を見に行く。


「こっちはスゴい人ですね」

「センチピードを倒すのは、冒険者なら出来て当然だ」

「あのモノは馬車で売りに来ましたよ」

 これではいくらいても刈り尽くされる。

 買い手の方も商品をチェックしている様だが、冒険者の圧に負けてチェックしている意味をなしてはいない。


 馬車の荷台がいっぱいに成ると、小屋に行っているのだろう。

 どこかに出発している。


「雰囲気は判った」


 私たちは歩いて、その場を離れた。


薬師(ファーマシスト)にゼファーブルの薬を飲ますのは違うな」

「今回のことで学習出来れば良いのですが」

「金にがめついヤツは、簡単には変わらん」

「ビブラエス。そうだけど、お金が必要な理由ってあるよね。自分のタメか家族のタメかとね」

「アークシュリラ、一人一人に聞くのか」

「ゼファーブルの魔法で確認出来るよ」


 きっと思考読解デンクンレーザファスタンダスのことを言っているのだろう。


「レファピテルは思考読解デンクンレーザファスタンダスを使える?」

「少しでしたら、使えます。さすがにここに集められた薬師(ファーマシスト)全員には、一度には無理ですね」


「ゼファーブル。それを使えば確認出来るのか」

「出来るよ。お金が必要な理由はって思って、相手の体に触れればね」

「私たちがケッゼンの家から戻る間に出来たら選別してくれ」

「家族のタメだったら良いの」

「違う。生活が苦しく仕方ない場合は、許しても良いだろう」

「ヴェルゼーア。働かないで生活が苦しい場合もあるよね」

「そうなると、一生懸命に働いているが、生活が苦しい場合だけですね」

「判ったよ」


 さすがに薬作りは見に行けなかった。

 ビブラエスが見張りは全員揃っていると言うので、逃げない様に監視して代金を受け取ったら寝てもらう。

 ケッゼンは家に入ったらでいい。

 薬師(ファーマシスト)は、順次眠らせる。


 夜に成って、三人はケッゼンの家へ向かった。

 カヌーなら直ぐの距離だ。


 売り手の一人一人が、家の中のモノにお金を渡しているのが窓越しに見える。

 薬師(ファーマシスト)は一人の監視に連れられて、小屋の中に入れられた。

 監視は鍵を掛けて逃げない様にした。


 別の監視が出てきて馬に乗った。

「レファピテルここをお願いね。私はあのモノを追うよ」

 そう言って馬を追う。


 薬作りの小屋に入って、一人一人に報酬を渡して扉に鍵を掛けた。

 続いて買い手の小屋でも同じことをしていた。

 毎日報酬を渡していれば、踏ん切りが付かずに簡単には逃げないね。

 小屋の外から鍵を掛けられたから、もう、薬師(ファーマシスト)は逃げられない。

 私は監視を追ってレファピテルの所へ戻る。


「じゃ、レファピテル。眠らせて良いよ」

眠り(スリープ)!」

 監視は酒を飲んでいたのか、全員が机に覆い被さって寝てしまった。


「じゃ、売り手の方もやってね。鍵は開けられるよね」

「えぇ、この家に入れときます。ゼファーブルはあっちですね」

 私たちは別れて作業に取り掛かった。


 私は薬作りと買い手の小屋が建っている範囲を対象に、魔法を発動させた。

眠り(スリープ)!」

 これで眠らせることができた。

解錠(アンロック)!」

 扉も解錠した。じゃ、移動だね。


操り(マニプラチオン)!」

 よし、出てきた。

 このまま、あの家に行けば良い。


 私が着くとレファピテルの方は既に終わっている。

「じゃ、もう一度眠らせてから掛けるよ。聞く際に姿を消してね。もし起きても良いからね」


眠り(スリープ)! 思考読解デンクンレーザファスタンダス!」


「では、行きましょう」


 私たちは姿を消して中に入って、一人ずつ薬師(ファーマシスト)を調べて行く。


 遊ぶ金が欲しかったなどは簡単で良いが、親や配偶者が働かないでと言うのは、働かない理由も確認しないといけない。

 中には、判断に困って、一人に私とレファピテルで確認したモノもいた。

「各小屋から連れてくる際に自分の報酬は持って来てもらいましたので、OKじゃ無いモノの分と今日の売り上げをこのモノたちで分けましょう」

「大金になるよ」

「そうですね、じゃ少し多めに持たせましょう」

「そうだね」

 いくらお金が必要と言っても、急に大金を持つとおかしくなるかも知れない。イヤ、おかしくなったモノをたくさん知って居る。

 このモノたちがそうなるとは限らないが、そうなったら私たちでは対処出来ない。


「OKなのは、あっちの小屋に行って貰おうよ」

「そうですね。私が連れて行き、戸締まりもしておきます」

「お願いね」

 ここで働いた報酬にちょっと加えて持たせた。


 レファピテルが声をかけた。

「ケッゼンが来る頃ですね」

「外で待ってようよ」

 少しして馬車の音がして、家の前で一台の馬車が停まった。


 ヤバい、ここに停めるの? その位置じゃ、窓越しに中の様子が見える。

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