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134 ヴェルゼーアが新しい剣を作る

 ダルフさんにこのまま使い続ければ剣が折れると云われ、新しい剣を作ることを薦められたヴェルゼーアは一人で考えていた。


 そして、ヴェルゼーアがアークシュリラの方を見て頷いた。

 ナニか決めた様だ。


「私の剣は折れそうだったのに、アークシュリラの方はダガーだけとはな。これが実力の差か」

「違うよ、この剣は――」

 アークシュリラも感情が高ぶっていたのか、ヴェルゼーアに話すタイミングを計っていたのか、剣を神様から貰ったこと、そして異世界からの転生者だと全て明かした。


 ヴェルゼーアは混乱して居る様だが、持ち前のメンタルでイツモの様に言った。

「判った。この事は二人にも言わないよ」

「お願いね」


 ダルフさんが作業を終えて戻って来た。

「メンテナンスは終了だ」

 アークシュリラはダガーを受け取り、イツモの場所に装着した。

 それをみてから、ヴェルゼーアが言った。

「私の剣も造って欲しい」

「良いだろう。良い腕を持ったモノの剣を造れて、ワシも嬉しいぞ」


 ヴェルゼーアの手や腕の寸法を測ってから、剣を構えさせたり、素振りをさせたりしていた。


「判ったからもういいぞ、それで今と同じ両刃の剣で良いのだな。材質は鉄でなく、鋼とミスリルで良いだろう」

「形が同じなら、材質は任せる」

「十日ばかりかかる。それまでの間の代品だ」

「そうか……借りておく」

 その後、握りの皮とかも決めて、ヴェルゼーアも手付金として二割を払った。


 ダルフさんの店を後にした。

「二人がこの店を気に入っているのが判った。それに店主も二人を信じている感じだな」

「信頼し合えなきゃ、腰のモノのメンテナンスはさせられないよ」

「そうだな」


 それからも、あっちこっちへと出歩いていたが、私たちはナニも発見出来ずにいた。


「ゼファーブル。今日、私の剣が出来上がるが、一緒に行くか」

「ナンも見つからないから行くよ」

 また三人でダルフさんの店に行った。


「ヴェルゼーア。これだが、どうだ」

「うん、良い感じだ。それに手にも馴染む」

「そうか。このまま腕を伸ばせ」

「やはり、お主のクセじゃな」

 そう言うと、ダルフさんはヴェルゼーアから剣を預かり少しいじった。


「今度はどうだ」

「さっきでも良かったが、まるで自分の手の様だな」

「そう言ってくれると、打った甲斐がある」

「で、借りていた剣だ。調べてくれ」

「使ったか」

「イヤ、戦う必要がなかったから切ってはない。素振りをしたくらいだ。でも、こんな上物を客に貸してるのか」

「そうではない。お主に何時もの代品を貸しても仕方ない。腕のあるモノにはそれなりのモノが必要だ。一般に云われている、腕が有るのだからどんな品でも良いと云うのは誤りだ。そう言ったモノでも使うことは出来るが、剣もそのモノも本来の力は出ないぞ。腕が無いのに上物を求めるのは言語道断だ」

「肝に銘じておくよ」

 残りの代金をヴェルゼーアが払った。


「所でゼファーブル」

「ナニ」

「センチピードは、あの疫病に効くのか」

「どうして」


 私は頭の中で、疫病に使った材料とセンチピードの効能などを比較した。

 治すことは無理だが、センチピードだけじゃなく数種類の薬草を使えば一時的に良くなる……イヤ発病を抑えられるね。

 全く効かない訳ではないなぁ。


「ある魔法使いがセンチピードを高額で買い取っていて、疫病の薬を作っているらしい。ワシらにはお前さんからもらった薬があるから必要無いが、街の冒険者などがセンチピードを捕まえて金に変えている」


「センチピードでは疫病を治すことは無理だよ。材料もセンチピードだけじゃなければ、一時的に良くなっているって感じるかも知れないけどね」

「そうか、でも、楽して稼ぎたいモノを止めるのはワシらでは無理だな。それに薬はもの凄く高いらしい」


 薬の代金の一部を、新たに入手するセンチピードの代金に充てているのだろう。

 もし、これがセンチピードがいなくなった原因なら、モルロンが襲われたのは私のせいじゃないか。

 私には、その魔法使いを懲らしめる必要があるね。


「ありがとう。偽薬を作るなって注意しにいくよ。それと一カ月くらい経てば疫病も終わると思うよ」

 もう、ビンの中には病原菌の液体がなかったから、後は誰かが治癒魔法を掛けてあげれば治る。


「そうか、それはありがたい」

 三人でダルフさんの店を後にしたて、広場に行って状況を説明した。


「そう言うことか、ゼファーブルの顔が変わったから変に思ったぞ」

「ごめん」

「で、魔法使いを懲らしめに行くんでしょ」

「行くけど、魔法使いだと準備が必要だよ」

「それって相手のことを調べるってこと」

「そう、人数とかどんな魔法を使うかだね」

「相手のバックに、誰がいるかは良いのか」

「知っても貴族以上だったら面倒だよ」

「イヤ、そいつらも懲らしめようとは言わん。介入しないか知るべきだ」

「なら、調査はビブラエスに任せるから、ヴェルゼーアから伝えてね」

「任せろ、この疫病の原因は私たちだ。そうなるとモルロンの街を壊した責任も私たちにあると言うことだ。アビレオンやラムゼルはただの犠牲者で、これを早期に解決しないと更なる犠牲者がでる」


 ヴェルゼーアの正義感に火がついた感じがする。

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