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132 ファリチスに戻ってくる

 私たちは街に着いてからヴェルゼーアはアビレオンにイロイロと話していたが、アビレオンが感激のあまりに大地に崩れ落ちてしまったので、今度はラムゼルに聞いてきた。


「それではラムゼル、私たちに手紙を書く気になったかを教えて下さい。これだけは今答えて下さい」

「領主が居る前では可哀想ですよ」

「ここの領主は自分が居る前では、民が自由に話すのを禁じているのですか? そんな人なのですか?」

「違います。領主様はわたしたちのことをいつも思ってくれています」

「手紙の方は」

「冒険者たちが居なく成ってしまいましたので、あなたがたならきっと助けてくれると思って領主様に内緒で書きました」


「領主殿、あなたは街のことを一番に考えてくれる、よい民を持っていますね」

「はい、そうです」


 そして魔石だけをもらって、私たちはファリチスに戻ることにした。

 もちろん手紙を送る箱の説明を二人にして、幾つかをラムゼルに渡したよ。

 それでアビレオンは、取り引きをしているとか知り合いの街や村にも設置を頼んでくれる約束をしてくれた。

 もちろん無償で設置をしても良いが、少々ならアビレオンたちが金額を取っても文句は言わない。

 それは復興に使えばだけどね。


「ヴェルゼーア、アビレオンって知ってたの」

「イヤ、知らん。ナンでだ」

「十年来の友達みたいな感じがしたよ」

「そうか」


 私たちはファリチスに戻って来た。

「今回は相手から出てきてくれたけど、アークシュリラの探知って地中でも平気なの?」

「ピンポイントでは無理だよ。地上でもここら辺って判るくらいだからね。後はどこが一番強く反応しているかって五感を使って判断してるよ。レファピテルも多分同じだよ」

「そうなんだね」

「もし、出て来なかったら地中に行かないジャイアントライノビートルやジャイアントスタッグビートルは見付けられても、地中に潜るジョーヌミルパーツは建物を壊して穴を掘らないと無理だよ」


「それじゃ、私たちも破壊しないといけないんだね。被害が大きくなるね」

「そうなるね。だから街や村がある下は面倒だよ」

「そうか。今回出てきたのはジョーヌミルパーツだったよね。ルージュミルパーツとどっちが強かった」

「ルージュミルパーツかなぁ。魔法も強力だったからね」

 ジョーヌミルパーツは土魔法の系統を使い、粘土壁(クレーウォール)なんかも作るよ。

「魔法は使ってこなかったでしょ」

「ゼファーブルはジャイアントスタッグビートルに集中していたから見てないかも知れないけど、今回も壁などを作って私の攻撃を防いでいたよ」


「そうだったんだね。退治出来て良かったよね」

「でも、どうしてジャイアントライノビートルやジャイアントスタッグビートルは居たんだろうね。餌を追って来たにしては、センチピードじゃなくてミルパーツだったしね。センチピードって数が減っているわけじゃ無いよね」

「減ってはないと思うよ」


「そうだよね。ここら辺にはたくさんいるよね」

 この付近には、確かにセンチピードは多く生息している。

 なので一部で数が減っていると云うことは考えにくい。

 それは人が、見境もなく捕らえている以外に有り得ない。


「それじゃ、アークシュリラは誰かがたくさん捕っていると云うの」

「それは判んないけど、生息していたところで減ったから追って来たと思うよ」

 もし、そうなら止めさせないと第二、第三のモルロンがでる。

 しかし、ジャイアントライノビートルやジャイアントスタッグビートルはそれほど個体数は多くないから、急いで対応する必要もない。

 私たちには、ゆっくり状況を探る時間がある。


「ヴェルゼーアたちにも云っておくよ」

「そうだね。その方が良いよね」

 私たちの勘違いなら良いけど、合っていたら問題だ。

 情報をキャッチするアンテナは多い方が良い。

 アークシュリラと別れて、ヴェルゼーアたちにもこの話をした。


 レファピテルはあの様な魔物が街に居ることを怪訝に思っていたので、私たちの考えに賛成してくれた。

 と言っても、虱潰しにあの周辺を調べるのはさすがに無理だよ。

 たまに飛行して、周囲に怪しいモノがないかを確認している。


 センチピードを大量に捕まえているのが、魔物を飼っていてそれのエサでも、ナニかの薬を作っていたとしても、それ相当の建物があるハズだよね。


 今日も私はモルロンから北側を飛んでいる。

「ゼファーブルと同じで洞窟や洞穴に住んでいるのかもよ」

 私はナンの疑問も感じないで、建物を探していた。

 文化的な生活になれてしまったんだね。


「そうだねアークシュリラ。魔物を飼うなら家よりその方が便利だね」

「どんな巨大な魔物か分からないけど、そこそこの大きさならある程度の広さがあれば飼えるよ」


 そう言われても、もう一度引き返して調査をする気にはなれない。

 私は、このまま飛行を続けた。

 空を飛ぶカヌーにも見慣れたのか、街道を通る人々もそれほど騒がなくなってきた。

 たまに魔法が飛んで来るけど、それほど多くもなくなっているよ。

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