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129 変な手紙

 私とヴェルゼーア、そしてアークシュリラはベストの機能を試しているいつもの場所に着いた。

「ゼファーブル。軽くナニかを放ってくれ」

 ヴェルゼーアがそう言うので、私は土、水や火の弾丸などを放つが、二人にダメージを与えた有効弾はなかった。


「本当に平気だな」

「ナニを発動させたの?」

「魔法防御だよ」

「成りたての魔法使い相手なら平気ってことだね。じゃ、中級者くらいの威力でいくよ」

 今度は風、氷などの刃が二人を襲い、少々ダメージを受ける。

 しかし、直ぐに傷は治っている。


「これを着ていれば魔法は平気と云うことか」

「今までに私たちが会ったことのある、魔物の攻撃を想定しているからね。剣と言うか牙とかもね」

「判ったよ」

「でも、着る人の力が備わっていないとダメだよ」

「着る人の力?」


「そう、私が着ているモノは同じでも、二人の様に瞬時に当たりどころを変えられないからね」

 二人は私が放った魔法が、同じ処や変なところに当たらない様にしていた。


「ヴェルゼーア、自分が日々鍛錬してきた能力は、機能化していないんだよ。イヤ今は出来なかったよ」

「アークシュリラ。それでは、私も諜報のモノたちがやる様なことは出来るけど、ビブラエスと同等にはなれないのか」

「そうだよ。誰でも着ればヴェルゼーアと同じに成ったら大変だよ」

「それもそうだな。でも、各自で様々な訓練をして、みんなに言っても同じ状態に成らないのだな」

「ヴェルゼーアと私なら、能力が近いから同じ様になるよ。ゼファーブルでは無理だよ」


 ナンだか例えにトゲがあるなぁ。

 でも、ヴェルゼーアが勘違いして無ければいい。


 何か月かが過ぎたころ、一通の手紙が届いた。

 それは箱でなく、ポストに届いた。

 そうなると、この付近の村や街ではない。

 最近は私が行ったことのない街や村にも、手紙を送る箱は口伝えに広まっている。

 それで、あの箱はいろいろな街や村に設置されているからね。


 中を見ると、差出人の名前と住んでいる所、そして助けて欲しいとだけ書いてある。

 これだけでは病気なのか、事件……戦いなのか問題解決なのかが判らない。

 戦いならアークシュリラだけで足りると思うけど、問題解決ならみんなが居た方が良い。

 とりあえず、私はアークシュリラの所へ向かった。


 アークシュリラも、向こうからやってくる。

「ゼファーブル。変な手紙が届いたけど、どうしよう」

「私も手紙が来て、アークシュリラの所へ行く途中だよ」

 互いに届いた手紙を見ると、同じ文面が書いてあった。


「ヴェルゼーアたちの所にも来ているかなぁ」

「ナンで私たちの所へ来たのだろうね。こんな街に行ったことが無いのにね」

 ビブラエスが通りかかった。


「二人揃って、そんな顔をしている。どうした事件か」

「ビブラエスの所には手紙が来なかった?」

「手紙? 箱には変なモノは届いて居なかったが」

「箱ではなく、ポストだよ」

「ポストは最近、毎日は見ていないからなぁ」

 ビブラエスたちは、ハルメニア王国内に箱や魔法陣を設置した。

 それで普段のやり取りは、箱に来るだけに成っているようだ。


「見てくる」

「一緒に行くよ」

 道すがら来た手紙を見せた。


「これでは、ナニを助けるのかが判らんな」

「でしょ。だから相談してたの」


 ビブラエスの家に着いて、ビブラエスが自分のポストを確認した。

 何通かの手紙が届いていた。


「有ったぞ。これだな」

 封も切らずに言った。

「判るの」

「同じ紙を使っているし、それに差出人もラムゼルで同じだ」

 ちょっと見ただけで、それらを記憶出来る能力に脱帽だね。


「その人って知っているの」

「良く知らんが、お前たちも会って居るぞ」

「私は自慢じゃないけど、一度聞いた名前は忘れないよ」

「ラムゼルはエザノーラに連れて行かれて、あの屋敷にいたモノの一人だ。だから、お互いに挨拶はしてないし、お前は一人ひとりを確認もしていないから知らなくて当然だ」

「じゃ、ビブラエスにも届いているってことは、レファピテルにも来てるよね」

「そうだな、あの時にいなかった、ヴェルゼーア以外の全員に送ったと考えるのが普通だな」

「そんな緊急事態なの」

「今回の様に、四通も出せば誰かが気付くからな。私たちは手紙を送る可能性がある所にはあの箱を設置したから、レファピテルもポストを見ていない可能性がある」


 私たちはレファピテルの所へ行って、事情を説明した。

 やっぱりレファピテルもポストは確認していなかった。


「行くしかないよね」

「そうだな。ヴェルゼーアはどうする」

「あの時はいなかったけど、置いて行ったら可哀想だよ。それに戻って来たときに私には愚痴をこぼすくらいだけど、二人に対してはものすごく怒ると思うよ」

「そうですね。後々大変な事になると想像出来ますから、連れて行きましょう」


 私たちはヴェルゼーアに声をかけて、ラムゼルの居るモルロンにカヌーで向かった。

 モルロンにはビブラエス以外は行ったことが無かったので転移が出来ない、だから馬より早いカヌーを使ったよ。


「やはり全世界と言わないですが、この半島にある街や村には全て箱は設置して欲しいですね」

「そうだな。この手紙もナン日もかかって私たちの所へ届いたのだからな」

「もう、終わってるってことは無いよね」

「それは、終わってないことを祈るしか、私たちに出来ることはないな」

「所でアルニムラって何者なのだ」

「それはですね――」

 レファピテルやビブラエスが、ヴェルゼーアにアルニムラ事件の詳細を教えた。

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