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128 ベストが完成する

 私たちはみんなのサイズを測定した。

 そして、みんなから上がって来た形などを考慮して、動き易く使い易いベストを作っている。

 想像と実物では動いた際にその動きを制限する場合もあるし、ポケットの位置とかも着ると思っていたより使いにくいってことがあるからね。


「で、これで良いかな」

「良いですね」

 そして、5人分のベストが完成した。


「じゃ、これを防ぐ方法は……」


 知らなければ魔法陣で防ぐことは不可能に近いが、内容を知っているので対策は立てられる。

 それと、このベストを防げるのなら、今時点では完璧に防げるとも云える。


 三人が考えられる機能は全てベストに入れたし、その対策も魔法陣に詰め込んだよ。

 どっちが勝つかって?

 ただ機能を発動させているだけなら魔法陣だよ。

 ベストの効果を無効にするのだからね。

 ベストは、あくまでも高機能の支援ツールが詰まったモノであるから、使うモノが機能を有効に使えばベストの方が勝つこともあるかなぁ。


「レファピテル。これで良い」

「はい。大丈夫です」

「でも、一年に一回くらいは、魔法陣の内容を見直さないとダメだね」

「そうですね。私たちが攻撃方法や新しい魔法を考える度に更新しますよ」

「二人とも、そんなに必要はないよ。他の国はようやく転移魔法を研究しだしたんだからね」

「確かにアークシュリラが言うとおりですね」


 レファピテルがハルメニア王国に挑んだ際に詳細を教えたことから、ハルメニア王国内でも転移魔法の研究をやりだした。

 なのでハルメニア王国で転移魔法の研究を始めたと、他の国が知るのも時間の問題だね。

 しかし、実際に運用出来る状態にするまでには当分かかるし、一般にも広まるのは随分と先だと思うよ。


 それに私たちと違い、普通だと転移出来る場所の距離も短いらしい。

 これは一般的に知れ渡っている方法で、レファピテルがビブラエスやヴェルゼーア相手に教えて確認したことだよ。

 その後、奥義ではないが、三人で考えた方法を教えたら、転移出来る場所の距離が関係無くなったらしい。

 なので、転移魔法一つでもそうなのだから、姿を消すとか空中に浮くなどは随分と先になりそうだね。


 全員に完成したベストを渡した。

 剣を扱う二人でも、利き手や戦い方が違うので形も違う。

 同じく魔法を使う私とレファピテルも違うし、ビブラエスは当然のこと誰とも似ていない。


 取り入れた機能を全て紙に書いて渡して、各自で使う使わないの判断をしてもらう。

 紙に書いて渡したのは、一度の説明では機能が多すぎて理解出来ないと思ったからね。

 それは、ベストに備わっている機能を使わずにいてケガをする必要は無いし、有ると思って発動させたが実際にはなかったと言う事態を防ぐためだからね。


 基本的にベストに触れて呪文の様に言えば機能は発動するけど、それ以外でも発動する条件も書いて置いたよ。

 たとえば空中浮遊は、崖や建物とかから落ちた時に自動的に発動するとかだね。


 機能を停止する方法も書いて置いた。

 なぜ停止が必要かは、ビブラエスがもし窓から飛び降りたのに、落下したと判断してさっきの空中浮遊が発動して浮いてきたら目もあてられないよね。


 アークシュリラとヴェルゼーアは時間が出来ると、近くの草原に馬で行って模擬戦をしている。

 これは実戦で、ベストの機能で使えるモノや使いどころのチェックをしているのだろうね。

 残りの私たちも機能を試しに使っているよ。


 今日は魔法を放たれた場合の実験と云うので、私は二人に付いていった。

「ナンで馬なの、転移すれば直ぐじゃん」

「馬での移動中に襲われるかも知れないよ」

「襲うって言っても、ただ移動しているだけじゃん」

「転移では、周辺の状況が確認出来ないな」

 二人にとって移動中も大事な視察って処なんだね。


 そう言えば、周辺にある街や村にも転移の魔法陣は設置してあるが、あまり使われていない。

 荷物が多ければ馬車を使っているし、荷物が無くても馬で移動していた。

 それは、移動しながら廻りの状態を観察していたんだね。


 ついでに話せば手紙を送る装置は、それぞれの街や村に一つ設置された。

 大部分が魔法陣と一緒の建物にあるよ。

 そこに届いた手紙などは、それぞれの場所で担当を決めて家々に配っているようだ。


 アリマーズたちは、ファリチスにある転移装置をオーラガニアに設置しようとはしなかった。

 それは、カペランドたちの仕事を奪うと考えたのかも知れない。

 でも私はアリマーズたちに、今すぐに私たちが設置することはないけど、何十年か先に他の人がこれと同じ様なモノを作って設置するかもねとやんわり注意した。

 まぁ四、五年では無理でも、何十年経てば出来るよね。

 品物を送るのに、海賊に襲われる危険を冒してまで、船を使う必要はない。更に船は、悪天候で沈没したり座礁したりすることもある。

 そうなるまでに、慌てない様に対策をして欲しい。

 新しい発見は、仕事を与えることも奪う場合もあるよね。


 ビブラエスも姿を消す機能などを試している。

 今までは気配を消せても姿までは無理だった。

 それに魔法も少々使える様にも成っているので、私は以前にアークシュリラにあげた魔力を増やす薬もプレゼントしたよ。


 これらの機能は、全て魔法陣の本に書いてあったモノの応用で新発見ではない。

 だから、今日にでも気が付く人が出るかも知れないよね。

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