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125 通信装置を渡す&地球って

 私はダルフさんの処へ行く。


「ダルフさん。今度はこれを作ったから使ってね」

「この箱はなんだ」

「この箱に入れられて、相手に危害を与えないモノを瞬時に届ける装置だよ。通信使(オルドナンツ)の代わりかな」

「瞬時なんだろ。通信使(オルドナンツ)ではないな」

 三つを並べて試しに操作した。


「近くにいる箱から出て来るのか」

「そう、もしダルフさんがここで無く、何処かに泊まっていても届くよ」

「それはスゴいな。これを各家……イヤ、個人に持たせるのか」

「運用をどうしようか考えているけどね。各街に一つくらいにして、各家には運んでもらうかとかね」

「そうだな。それなら民間の通信使(オルドナンツ)も職にあぶれないし、各自が持つには結構かさばるな」

「そうなんだよ。仕事が無くなっちゃ可哀想だよね」

「どこにこれがある」

「私たちと……」

 置いてくれた処を教えた。


「今、設置しているところを増やしている訳だな」

「で、試しに幾つ必要? 私たちはあるからね」

「そうだな最初は俺と村長の分だけで良い。必要なら後でお願いする」


 ルルグスには、ヴェルゼーアからその装置を渡してもらった。

 周辺の村とオーラガニアに置くか置かないかの判断は、アリアーズたちに任せる。

 ファリチス間では酒などの液体も直接送るので、装置自体も結構大きいモノに成っている。

 当然の様に白い光も発生しているよ。


「これでドコにいても連絡を受けられるね」

「でも、不思議だな。私がファリチスに居るか、ハルメニア王国に居るかをどうやって判別して居る」

「魔力だよ。わずかでも装置の近くにいる方に届くよ。だから強力な魔力を使った後だとバグることも有るかもね」

「そう言うことですか? 私が使う探知の応用ですね」

「そう、知っている魔法では探知かなぁ」


 杖や私とアークシュリラの力……イヤ、神様の力とはさすがに言えない。

 なのでバグることはない。

 魔法陣を描けば良いので、レファピテルには作り方を教えてある。

 まぁレファピテルでなくても、同じ所に魔法陣を描ければ誰でも作れる。

 今の所、私を含めた三人以外は作り方を知らないので、この装置を一度壊して魔法陣を解読しないとダメだけどね。


 連絡がいつでもつくし、どこに居ても戻ることが出来るので、私とアークシュリラは北方にある山脈の向こう側に行こうとして居る。

 その山脈の山頂は、夏でも白いモノがある。

 カヌーを使えば足元に雪が有ろうと、湖が有ろうがどうなっていても平気だ。


 さすがにこの高さまで来ると寒さがきつい。

 出発前にビブラエスらが、山頂は寒いので防寒対策を確実にやる様に注意を受けた。

 それで私たちは夏なのに防寒服などを引っ張り出した。


「本当にこれを越えて行き来する人っているの」

「道が有るから通ってると思うよ」

 私だって行ったことがないから、本当にここを通るかは判らない。


「上空からだけど、人は全くいないね」

「余り行き来がない道の様だね」


 私たちは半分ほど体が凍って来たが、ナンとか山頂を通り過ぎた。


「早く行こうよ」

「そうだね。ここに、強い魔物が居ても戦いたくないよ」

 私たちはようやく凍えない地点に来た。

「帰りは海を通ろうよ」

 前方には海が見え、その向こうにはまた陸地がある。

 左側でその陸地につながっている様だ。


「そうだね。遠回りになるけどそれが良いね」

 ここからでは確認出来ないが、東側には私が最初にこの地へやって来た港がある。


「ビブラエスが前に言っていた(れん)って、ドコに在るんだろうね」

 そこは海岸線があるだけで街はない。

「大陸の方じゃないの、街も有るからね」

 西の方には、幾つかの街が確認出来た。


「じゃ、そこに行って見ようよ」

「良いよ」

 私たちはカヌーを西の方へ進めて、上空から一番大きな街の傍に着陸した。


「アークシュリラ。良く覚えて置いてね。忘れたらまたあの山を越えないとダメだからね」

「判って居るよ。もう二度とあの山は越えたくはないよ」

 私たちは街の門番にカードを出して、街に入った。


「結構、人が多いね」

「人間以外も居るね」

 そこにはリザードマンなどの亜人なども普通にいる。


「ゼファーブル。フォーだよ」

「フォー?」

「米粉を使った麺だね。食べようよ」


 私たちは代金を払って、屋台の傍にある椅子に座ってそれを食べる。

「温かいね。生き返るよ」

「本当に体の芯まで温まる様だね」

「これがあるなら、ゴイクンとかもあるかな」


 その会話を聞いた様で、店員が言った。

「ゴイクンなら買ってきてやる」

「じゃ、二本ずつお願いね。代金だよ」

 直ぐに店員は姿を消して、ちょっとして皿をもってやって来た。

「これがゴイクンだ。それとタレだ」


 私はアークシュリラをまねてゴイクンを食べた。

「いつもの春巻きと違って、野菜が多いね。それに油で揚げていないんだね」

「生春巻きって呼ぶ人もいるよ」

「アークシュリラは本当にイロイロ知っているね。それは地球での知識なんでしょ」

「そうだけど」

「私がもし転生することがあったら、地球に行きたいな」

「それはやめた方が良いよ」

「食事も美味しいし、楽しそうだよ。ナンで?」

「地球ではね。仕事に就くときは全て試験があるんだよ」

「試験?」

「紙に質問が書いてあってそれに答えるモノや、面接して自分をアピールすることなんかかな」

「それに落ちたら」

「その仕事には就けないよ。不本意な仕事をしながらお金を稼がないといけないよ」

「食べるだけでしょ」

「イヤ、食べ物を買うのはそうだけど、水や電気を使うにもお金が必要だし、それに住んで居るところでもお金を払わないといけないよ」

「自分の家でも?」

「そう、土地もお金を払えば自分のモノに成るけど、それはずっと一族で使う権利を買うみたいなモノだね。結局は、国から借りているだけみたいなもんだよ」

「結構お金が掛かるね」

「他にもイロイロと掛かるよ。それと国によるけど良い学校に行かないとダメって処もあるよ」

「学校?」

「初等や中等などで基本的なことを習って、高等で応用かな。そして研究機関であるその上にもあるよ」

「研究者にでもなるの」

「良い会社……仕事に就くためだよ」

「研究機関に行って研究を続けないんだね」

「人にもよるかな。それぞれにランクがあって低いと行ってもダメとかもあるよ」

「アークシュリラは地球は嫌いなの」

「好きだよ。でも、ここでやりたいことが出来る方が楽しいって、言っているだけだよ」


 地球にはここに無いモノもあるけど、ナニも持ち合わせていないモノには生きにくい世界のような気もする。

 ここではアークシュリラが作った料理はないけど、生きて行くためにお金を稼ぐ必要はない。

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