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122 みんなが戻って来た

 数週間後にアルニムラがルーデルンを連れてやって来た。


「遠かったでしょ。食事も与えてくれた様だね」

「はい。街では宿屋にも泊まりました」

 ルーデルンが笑顔で答えた。

 エルセントが広場の隅で、ここに来て良いモノか思案していた。


「謝って来て」

 アルニムラは素直にエルセントの所にルーデルンを連れて行って、頭を下げた。


 そしてアルニムラは戻って来た。

「ここまでの宿代ともろもろの経費として金貨10枚だよ。それと、あんたらはお酒は飲めるんでしょ」

「飲める」

「じゃ、付いて来て」

 私はアリマーズたちに断って、アルニムラを酒蔵に連れて行った。

 そこで大量のお酒を渡した。

 もちろん代金は、私たちで支払ったよ。


「今までワシらは格好が気になってそれが出来なかったが、今回、各街に行って話し合えば良いことが判った。それにコボルトだったか、犬の頭をした亜人も街では虐げられることもなく生活していた」

「そうだよ。話さなければ伝わらないよ」

「また、買い物に来る」

「もし、ちょくちょく来るなら、あんたらが仕入れて街に売りに行っても良いよ。でも、こっちも作れる本数にも限りが有るから、それも相談だね」

「判った。先ずは自分たちで飲んでから、街の人たちと相談してみる」

「そうして、どの街でも同じ様なのを造っているハズだからね」

 アルニムラは帰って行った。


「ゼファーブル。あの魔法は本当に死ぬまで消えないのか」

「そんな魔法はないよ。とっくにアルニムラの中では消えているよ。但し、あの時に感じた恐怖心はずっと心に残っているよ。ビブラエスだって怖かった思い出は一つ二つあるでしょ」

「そう言うことか」

「だから出来たら定期的にお酒を買いに来て、アークシュリラに完敗したことや人と話す必要性を思い出して欲しいの」


「そうなると酒造りが忙しくなるな。ウィスキーもハルメニア王国内で人気らしいからな」

「ハルメニア王国は蒸留所が有るんだから、甘藷の蒸留酒だけでなく自分たちで造ってよ」

「ヴェルゼーアに伝えておくよ」

「そうですよ。ハルメニア王国なら船であの近くに運べますよ」

「確かに」

「近く?」

「カヌーで来たときに見てないのか。あのアルニムラの城から馬で一日の距離に海が有っただろ」

「岩を探していたから見てないよ」

「そうするとここって大陸じゃないよね、大きな島なの」

「アークシュリラ、違うぞ。その海は湾だ。ここは海に突き出た大きな半島だな」



 ルーデルンが戻って来たのでエルセントが広場にいることは減ったと云いたいが、食堂で日々演奏をしている。

 お客さんの人気も高いから、料理屋の人々も喜んでいる。

 まぁ、問題があればアリマーズたちが対応してくれるハズだ。

 それにお酒をアルニムラにあげた時に、オーラガニアから移住したいモノがいたら呼んでも良いんだよとも言ってある。

 私がとやかく言う立場ではないが、そろそろ本格的に野菜などを作っても良いと思う。

 それに宿屋も欲しい。


 西の方はレファピテルが港に成りそうな所に、数軒の家を建てるらしい。

 それで、ビブラエスと日々土地などを調べに行っている。

 こっちは生産拠点でなく、ハルメニア王国で作ったモノの中継基地だから、農業はする必要がない。

 その上、倉庫など最低限の設備があればことが足りる。


 もしここが機能しだしたら、大陸方面にも商売が出来るから、半島の先端に有るファリチスより便利だね。


「レファピテル。西の街の件だけど、あすこにハルメニア王国の拠点を作られるとファリチスが困ったことにならない」

「その点もアリマーズに相談して、作ることにしましたから大丈夫です。なのであすこはハルメニア王国の飛び地でなく、実際にはファリチスの飛び地ですよ」

「それなら良いけどね」


 レファピテルもビブラエスもファリチスのことを考えてくれている。

 私が心配をすることではないね。

 しかし、東西の端に有ったら私たちでも大変なのだから、アリアーズたちには行き来が辛い。

 やはりカヌーを渡すべきだ。

 魔力で相手の居所が判るのだから、運転するものを限定出来るかも知れないね。

 レファピテルに相談したいけど、忙しいからアークシュリラだね。


 私はアークシュリラの居そうな場所を探した。

 岸壁で釣りはしていなかったし、裏で素振りもしていない。

 ドコに居るのかなぁ。

 あっ、いた。

「アークシュリラ、ちょっと良い」

 アークシュリラは水車小屋のそばで、小魚を見ていた。


「どうしたの」

 私は西方に拠点を作っていることと、そこへの行き来にカヌーが必要なことなどの説明をした。


「話は判ったけど、私は、どうして魔力で使ったモノが特定出来るかは知らないよ」

「原理は私も判らないけど、アークシュリラとやれば出来ると思うんだよ。だってレファピテルでもこの性能のモノは作れなかったからね」

「でも、作って上げないと馬で行くことになるよね。移動するだけで疲れちゃうね」

「そう。それに問題が起こっても往復しないとダメだから、到着した時には事態が変わっているよね」

「それじゃ。行った意味がないね」


 私とアークシュリラは、運転出来るモノを限定する方法を見つけることにした。

 最初からカヌーでは試さずに、宝箱など特定のモノが触ると開くモノとかを研究しているよ。


 こんなことは、素人に毛が生えた程度の私たちに、一朝一夕で判明できる訳がない。

 その間に西方の拠点も整備が整っていった。

 もちろん私も魔法で護岸工事や建物の建設をしたよ。

 レファピテルも私たちの研究に参加をしてくれている。

 ファリチスもエルセントとルーデルンの二人が新たに新居を建てた。

 それと前後して、オーラガニアなどから移住したいモノがやって来て、結構な人数が住みだした。

 まだ総勢で50人に満たないが、もう立派な街に成っている。

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