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120 エザノーラ退治

 老人は今日も広場にいた。

 アークシュリラと談笑をしているようだ。

 多分、私たちが娘を連れ戻してくることを、話したのだろう。


 話が終わってアークシュリラが私の所へやって来た。

「エルセントは、自分一人で救出に行かないと約束してくれたよ」

「よかったね」

 これでエルセントがケガをするとか、最悪死ぬことになることはない。


「私一人で平気かなぁ」

「アークシュリラがみんなの前で、戦いは一人でも平気と見得を切ったんでしょ」

「そうだけど……だってあの話し合いで、ヴェルゼーアでも三人を切るのが限界とビブラエスが言ったからね」

 確かに相手の強さを示すためにビブラエスは言ったと思うけど、それがアークシュリラの自信につながってしまった。


「でも、私もレファピテルも支援はするよ。だから心配はいらないよ」

「そうだね。心配しても遅いよね。ところでビブラエスたちはまだ帰って来ないの」

「もう時期、帰ると思うよ」

 ビブラエスはエザノーラや娘が居る場所を私たちに教えて、レファピテルと一緒に周囲の街や国がその貴族を支援しない様に頼みに行っている。

 もし、戻って来られなかった場合に、私たちと合流する場所も決めてある。


 翌朝に成っても二人は戻って来なかった。

 それで、私たちはカヌーで集合場所へ向かうことにした。

 西へ行くのは、家を建てた当初に周辺に何があるのかの調査を兼ねて散策をした時以来だ。


「ゼファーブル。ここにこんなに大きな街が有ったんだね」

「そうだね。これじゃ、いくら頑張っても薬は売れないハズだね」

 多分、馬で10日もかからない場所に大きな街が在るのだから、名の知らない所で買う旅人は少ないだろう……イヤ、少なかった。


「あの草原で、巨大な岩の有る処だよね」

「そうだね。もう、来てるかな」

「来てたら良いね」

 私たちは地面の方を見ながら、巨大な岩を探した。


「アークシュリラ。有ったよ」

「本当に巨大だね。これなら普通に飛んでいても見逃すことはなかったね」

 レファピテルとビブラエスが、その岩の傍で手を振っている。


「二人は終わったんだね」

「今回は変に参加をしないで、黙認してくれれば良いからね」

「そうだね。私たちの邪魔をしなければ良いよね」

 私たちは二人と合流した。


「ビブラエス、どうだった」

「周囲の処からも人を連れ去っているらしく、ほとんどの街や国は支援しないと約定をくれたぞ」

「我々に援軍を出すと言ってくれたのには、さすがに驚きましたよ」

「だから心配はいらないぞ。それに受け付ける処もないから、裁判にも成らないだろうな」

「じゃ、わざわざ殺さないでも良いの」

「殺す必要はないが、二度と悪さをしない様にしないとな」

 そんなことが出来たら、とっくに誰かがやっている。

 今まで放置されていることはない。


「まぁ、連れ去られたモノを救出してから考えようよ」

「そうだな」

「そうですよ。今更心配しても遅いですね」


 私たちはその貴族が住む屋敷に行った。

「大きな家だね。ヴェルゼーアの城……イヤ、国王の城と変わらないね」

「私も忍び込む前は同じ気持ちだったよ。でも中にはそんなに人は居ない」

「衛兵は」

「居なかった。中に居たのは三人だけだ。多くても5人だな」

「返して下さいって頼んで見る?」

「それも手だね。三人だとヴェルゼーアでもやっつけられたんでしょ」

「手こずった様ですが、やっつけましたよ」

「ならば、正面から正々堂々と入ろうよ。でも、レファピテル、国王の城でやった様に逃げられない様にして、お願い」


封印(ファジーガーツ)! アークシュリラ、これでもう相手はこの城から逃げられませんよ」

「判ったよ。ありがとう」

 そう言って、玄関を開けた。

 火球(ファイヤーボール)雷撃(ライトニングボルト)を放たない所を見ると、まだ、感情が高ぶって居ないんだね。


「連れ去られた人々を返して欲しいのですが、誰か居ませんか!」

 アークシュリラが玄関ホールで怒鳴った。

 レファピテルとビブラエスは、何事ってキョトンとして居る。


 少しするとオオカミの頭をしたモノ、そうエザノーラが二人やって来た。

「ここがアルニムラ様の屋敷と知って入って来たか?」

「アルニムラって誰? 人攫いのアジトって聞いたけど」

「ナンだと!」

 さすがに脳味噌もオオカミだね。

 直ぐにアークシュリラ目掛けて襲って来た。


「ゼファーブル、支援は?」

「敵は二人しか居ないでしょ。アークシュリラのウォーミングアップにちょうど良い感じだね」

「いらないのですか?」

「必要はないと思うよ。これは直ぐに終わるよ」

 アークシュリラはダガーを手にして、二人のエザノーラ相手に遊んでいた。


「もっと真剣にやってよ。これじゃウォーミングアップにもならないよ」

 エザノーラは怒っている感じだが、いくら怒ったところでアークシュリラの相手ではない。


「体も温まったから、もう終わりにするよ」

 そう言って、鞘に入れたままの脇差しで相手の鳩尾を付いて、意識を失わせた。

 そして、すかさず二人を縛り上げ、私たちの方を見た。


「終わったよ」

「お疲れ」

「全然だよ、ビブラエス」

「……」

 目の前で起きたアークシュリラの戦いに何も言えないようだ。

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