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118 アンデッド退治などをする

 私たちは、エルドマを通り過ぎて平原に行っていたアンデッドが戻った墓地に着いた。


「死者を冒涜する行為は赦せません。破壊(ツェアシュテールング)!」

 レファピテルが怒った口調で言った。


「それってアンデッド化を解除するんじゃないよね」

「どういう方法でアンデッドを操って居るか判りませんから、解除など面倒ですよ」

 少しずつ空が白みだした。

 レファピテルは墓地の中を歩いて、ナニかを拾っている。

「ビブラエス。レファピテルはナニをしてるの」

「命を弄ぶ様な事態だ。アイツの気が済むようにさせた方がいい」

 少ししてレファピテルが戻ってきた。


「これですね。アンデッドを操って居たのは」

 手のひらには5つの小さな割れた金属があった。


「これで操れるの」

「ええ、方法は生き物たちを使役する幾つかの魔法と同じですね。これを動かしたいアンデッドのそばに置けば済みます」

「でも、破壊(ツェアシュテールング)の魔法が、この墓地ごと破壊しなかったの」

「先ほど神官の魔力が判りましたから、それが関与しているモノを想像して発動させたからです」

「そうなんだ。対象を選べるんだね」

「アークシュリラ。対象も選べますよ」


「次はどうする? ウィシュヴァハを探すか神官を捕まえるかだけど」

「楽なのは神官を捕まえて、ウィシュヴァハが何かと聞くことですね」


「判ったよ。ルルグスにアンデッドは退治したと伝えてからだね」

「そうですね。神官は私から逃れることは、もう不可能ですからね。それで良いですよ」


 私たちは村に行って(おさ)に無事に退治が終わったことを伝えた。

 ルルグスは近くの村へ行っていて不在だったので、そのことの伝言をお願いした。


「レファピテル、神官は家に居るの?」

「大量の魔力を消耗した様で、家に居ますね」

「ついでに捕まえてこようよ」

「良いですよ」


 神官の家に私たちは向かった。

「どうする」

「私たちは、いつもなら眠らしてから縛り上げるけど……」

「それは魔力の無駄使いだ。私がちょっと行ってくる」

 そう言うとビブラエスは玄関の鍵を簡単に開けて、家の中に消えた。

 直ぐにビブラエスが出てきて、私たちを手招きしている。


「居なかったのかなぁ」

「そんな訳は有りませんよ」


 家の前に着いて、私がビブラエスに聞いた。

「居なかったの?」

「えっ、捕まえたから呼んだだけだ」

「もう、終わったの」

「そう言ったつもりだが……」


 私たちは家の中に入っていった。

 寝室のベッドの上に、一人の神官が縛られていた。

 いとも簡単にこれをやり遂げるビブラエスは、絶対敵にしちゃいけないね。


「じゃ、私が自白させるよ」

 ヴェルゼーアたちに見せた時から改良をした自白剤、これを体のどこかに塗れば質問に答えてくれる。

 もう、飲ます必要や注射器で打つこともない。

 私は瓶を神官の腕に逆さにして当てる。

 少しずつ軟膏が落ちてきて、神官の肌に触れた。

 それを確認して、瓶から軟膏がこぼれない様に蓋をしめた。


 その後、神官は自分の知っていることを全て喋った。


「もう、聞くことはないよね」

「ありませんね。ヴェルゼーアが居たらサバラン教のモノは許さないでしょうね」

「じゃ、この人にもやるの? 薬はあるけど……」

 全員が私の方を見ている。

「判ったよ。直接、嗅がすよ」

 そして新たな犠牲者が生産された。


 ここに居ても、もうナニも起こらないので、ファリチスに戻ることにした。


「ウィシュヴァハってお酒ナンですかね。でもアンデッドを操るモノが命の素って怖いですね」

「その液体を掛けると生きている様になるんだろ。だから純粋に酒ではないな」

「神官は確かに酒と云っていたけど……」

「私たちもイロイロとお酒を造って居ますが、そのようなお酒は造っちゃダメですね」


「それを探しているのは、アンデッドの最終形態なんじゃないの」

「そうですね。今は夜間に魂に導かれている状態ですからね」

「人間と同じ様になったら、不老不死と言うことか。あっ、でも、死んでは生き返るから不死ではないな」

「死んで青年とか壮年に若返るなら、同一人物が何年でも居られますね」

「そんなに大切なモノなのか」

「教祖にとって、死が一番怖いらしいですよ」

「ゼファーブルは若返りの薬は作れるの」

「無理だよ。不死もね」

「でも、そう言ったモノって、普通は持ち出し禁止でサバラン聖教国に有るんじゃないの」

「サバラン聖教国にも無いのかもな。アンデッドを操って居たのも、戦うことが目的ではないと言ってたしな」

 エマルダでモランデティスと戦っていたのは、教祖の考えた方法で本当に死体が動くかデータをとっていたら、偶然そこにモランデティスが居たからだそうだ。


「そうですね。教祖が歳を重ねてきて、死なない様に研究させている感じがしますね」

「アンデッドを操る方法では、自分が死んだら操られるってようやく判ったって言うこと?」

「そうなりますね」

「考えが足りないんじゃないの」

「そうですね」

「でも、ゼファーブルが生き返る薬を作れないなら、この世界にはないね」

「生き返る薬はあるよ。魔法でも蘇生系はあるよね」

「そう言うことか。死をキャンセルすることが出来るだけで、もう一度若返って何十年も生きることは出来ないと言うことか」

「そうだよ。でも、子供だと生き返れば何十年も生きられるよ」


「アイツらは、無いモノを探して居るのか?」

「そうなりますね。私たちも探すのですか」

「ないなら探しようがないよ」

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