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114 ヴェルゼーアたちと合流する

 仕掛けられていたモノをアークシュリラが手に取って、気配を感じ取る。


「あれ? これを仕掛けたのはイールグッドだよ」

「えっ! イールグッドなの。ナンでそんなことをしたのだろうね」

「理由は判らないけど、三つとも同じだね」

「私は、ジーガを使っているから、またあのサバラン教の司教(ビショップ)が犯人と思ったよ。だから三日もあればあの家に行って、対応が出来ると思ったけどね」

「イールグッドじゃ、行って尋ねたとしても、絶対にしらを切るね」

「そうだね。今度は手掛かりじゃなくって、証拠を見付けないといけないかなぁ」

「じゃ、ゼファーブル。もう街に行く用事も無くなるから、病気を治しちゃう?」

「どうしようか? 三日で領主は治るけど……でも、その期間ではイールグッドの処には行けないし、イールグッドが仕掛けた証拠も見つからないよね」

「そうだね。この布袋しか無かったからね」

 私たちはどうするのが一番良いかを相談している。


「イールグッドが自分で考えてこれを設置したのなら、有った所で証拠を見付けないといけないよね。誰かに依頼されたのなら、家に忍び込んで証拠を探す必要が有るよね」

「そうなるね。仕掛けてあった処には、これ以外はナニも無かったよ」


「でも、イールグッドがやったなら、その意味はナンだろうね」

「私は、イファーセル国から遠ければ、場所がドコでもよかったと思うよ。戦争をする為に、魔法使いがイファーセル国周辺に居なくなれば良いとね」

 確かに戦争を始めて魔法使いに邪魔をされたら困るけど、それだけで……


「アークシュリラ。これってイファーセル国でなくて、サバラン聖教国がイールグッドに依頼したんじゃないの?」

「それも考えられるけど、イールグッドはガーゼル辺境伯からの返書の時に神父たちと戦って居たから、ないと思うよ」

「先ずは病気を治してからだね」

 三日間も待っているのが無駄と判断をして、私たちはサルーザの家に行った。


「サルーザ、どう」

「どうって? なんも変わらないよ」

「少し強い薬にするから、これからは私がやるよ」

 私は小麦粉を固めた錠剤を取り出して、両親に与えた。

 そして杖を患者の頭の上に置いて、治癒と回復の魔法を掛けた。

 少し待って脈を診てから、二人から離れる。

「これで大丈夫だよ。街の人々も治療して来るね」

 私たちは街全体を覆う様に治癒と回復の魔法を掛けた。


「アークシュリラ。これで終わりかなぁ」

「ここに居る人はね」

「そうだね。(おさ)に薬を渡して、私たちはイールグッドの所へ行こうか」

「もう時期ヴェルゼーアたちが来るよね。忍び込むならビブラエスが居た方が良いよね」

 ヴェルゼーアと合流すると馬で行くことになる。

 そうすると時間が係るので、まだ国を出ていないことに賭けて、ヴェルゼーアの処へ私たちは戻ることにした。


 (おさ)に薬を渡して、今この時点で徘徊しているためにここに居ないモノにも、薬を飲ませて治療をして貰う様に頼んだ。

 もちろん治療薬は無料で多少多めに渡したよ。


「あなたたちは、我々を救ってくれました。ほんのお礼です。カードを出して下さい」

 私たちのカードに無期限で渡河する代金を無料にする印を入れてくれた。

 それに待遇も最上級になるらしい。

 でも、私たちにはカヌーが有るので、使うことはないと思うよ。


 そしてヴェルゼーアの処へ急いだ。

 思った通りに、まだ国にいた。


「ビブラエス。二人は?」

「引き継ぎをしてる。ヴェルゼーアは城の説明で、レファピテルは甘藷などだ。私はこう言う場面では役に立たんからな」

「それで私たちは今度は、イファーセル国に行くことにしたから」

「イファーセル国に行ってナニをする」

 ビブラエスに詳細を話した。


「イファーセル国の内部は、私でも手こずるからゼファーブルたちでは難しいと思うぞ。数日で行けるから少し待っていろ」

「じゃ、三人分のカヌーだよ。馬より便利だからね」

「あの空を飛ぶヤツだな」

「そう。操作は慣れるしかないけどね」

「有り難く貰っておくよ」


 ビブラエスにカヌーを渡した3日後に、ヴェルゼーアたちと一緒にイファーセル国へ向かった。


 最初のうちはおっかなびっくり飛行していた三人だが、今では宙返りなども出来る様になった。

 それによって同じ様な姿勢で長時間運転していても、余り苦にならなくなった感じがする。


「ヴェルゼーアは、随分と無理をしたんじゃないの」

「多少だ。でも、疫病が人為的だったら許せないな」

 エバマ大河で疫病が流行ると、北方の国とハルメニア王国の行き来が出来なくなる。

 それが長期に亘ると、人はもちろんのこと、必要な物資も届かなくなって死活問題になるよね。


 馬で二カ月程度の距離を、カヌーで急いだから10日で移動する事ができた。

 それでもカヌーのまま街の中にある広場へは着陸する事はしない。

 門番から見えない少し離れた位置に着陸して、門まで歩いてセイフネルの街に入った。


 取り敢えず三人にイールグッドの顔を知って貰う為に、デリエナ通信社が建っている所へ向かう。

 運良くイールグッドが出掛ける時だった様で、遠巻きに顔を見ることができた。

「今、馬車に乗ったのがイールグッドだよ」

「判った」

 ビブラエスが答えた。

 私としてはビブラエスが判れば良い。


「これからどうするの?」

 アークシュリラが聞いて来た。

「そうだな。ビブラエスに少しあすこに潜入して捜索をして貰うか」

「そうですね。このまま大勢でうろついて居ると、見付かりますね。何処か拠点を設けましょう」

「じゃ、宿を取るか」

 私たちは適当な宿を取って、ここを拠点とした。


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