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100 杖が成長した

 翌日になったが、私の杖は羽を丸めて休憩をしている様だ。

 一応、今日も羽を撫でてあげるけど、それ以上のことはしないで置く。


 ここに戻って来た時に貰ったミスリル貨を手に取って見るが、これがミスリルなのかなぁと云う感覚しかない。

 手にしただけだと他の通貨と変わり映えはしない。

 それはどの通貨でも100パーセントの純粋な金属でないからだよ。

 混ぜる量は国によって異なることはない。どの硬貨でも5割と決められているよ。

 だからこのミスリル貨も半分しかミスリルは使われていない。


 貨幣のデザインは、国によって元首の顔だったり、建造物だったりと様々な図柄に変わるけどね。

 もちろん山や谷とか川などの景色の貨幣もある。

 これはオーラガニアのモノだから、船が描かれている。


 アイテム袋から貨幣を数枚取って見ると、それには顔が描かれているモノが多い。

 名前の記載がないので、これが実在した人物か空想の人物かは判らない。

 しかし、もし私の肖像で作ることに成っても、首から下がないのは嫌だなぁ。

 それに自分の国だけでなく、行ったこともない国や敵国でも使われるんだよね。


 それから一週間がたったが、今日も杖は羽を丸めたままの姿をしている。

 だが以前より羽が大きく成っている気がする。


 翌日の朝、私が杖を見るとついに大きな羽を広げていた。

 今までの羽も存在感があったが、大きくなったことで更に立派に感じる。

 持った感じは以前よりもしっくりと手に馴染むし、若干だが重たくも長くも成っている。


 早速、昨日までこつこつと作業をしていた調合の残りに、杖をかざすと瞬時に調合の作業が終わった。

 大きく成長したから、早く成っている様だね。

 更に便利に成ったと云うことだね。

 まさか杖が休憩モードに入らない様に、適度に休ませないといけないのかなぁ。

 それともたまに羽とか蛇は成長するのかなぁ。


 ここいらにいる魔物は以前からやっつけることが出来たので、杖の性能を確認するために攻撃魔法を放って威力が上がったかを試せない。

 全力で放つ様なことは、アークシュリラでないが事件になってしまいそうだ。


 一番興味のある弓に変えて射てみると、以前より強く引かないといけなくなった。

 今の私では6割程度しか引けていないから、弓の持っている実力を出し切ることが出来ていない。

 筋力を維持するのではなく、これからは筋力を向上させる筋トレを頑張らないといけなくなったね。


 それに弓にしたら以前だったら弓の籐頭で小さな刻印の様になってしまった羽は、今回は翼を広げたままでアル。

 そのために矢をつがえたままでも、方向転換がやりやすく成っている。

 更に片方の羽が私の目の前で目標物を捉えるから、更に狙いも付けやすくもなった。

 今後は飛ぶ相手が来ても、互角以上に戦えるかもね。

 それまでの間に私も頑張って、弓の威力を100パーセントに限りなく近い値で出せる様にしておかないといけないね。


 通常の戦闘ではアタッカーであるアークシュリラやヴェルゼーアは、高度差がある敵には為す術がないのだからね。

 でも、あの2人も直ぐには無理でも、ナニかしらの対策は考えているだろう。


 私が新しい杖の性能をあれこれ試していると、ヴェルゼーアがやって来た。

「ゼファーブル。忙しい所、済まない」

「どうしたの?」

「今回の討伐に行って思ったのだが、私は村長などもザスティーニたちがやるべきと思うがどうだろうか」

「私もそうするべきだと思うよ。私達はもうお店もやっていないから、どう言った問題があるか判らないよね」

「そうなんだ。住んでいるから外からやって来る問題は判るが、内部の問題は全く判らん」

「そうだね。最近に成って家庭菜園の様なモノをザスティーニたちが作りだしてたね。あれって、自給自足とは行かないまでも、少しでもここで育てた野菜を料理とかに使いたいと言うことかもね」


 ファリチスでは農作業は一切していないから、必要な分を近くの村から運んで貰っている。

 私とアークシュリラの2人で別々にお店を運営していたから、最初は畑を耕す時間がなかった。

 イヤ、耕す時間はあったけど、その気持ちがなかった。

 ゼファーブルたちが来ても、畑仕事を開始しないで周辺の村から使う分を買っていた。


 周辺の村も悪いモノをワザと送っている訳ではないが、葉物野菜は弱ってしまっていたし、モノによっては痛んで全く使えないモノもあった。

 上の方で痛んでいるモノがあったら相手も代金は取らないが、箱の底だと見逃してしまうこともある。

 さすがにジャガイモとかは、全部を確認することは出来ないからね。


 そんなことはあったが、ザスティーニらも生活に困って野菜を作っている訳ではない。

 それは、送って貰った野菜とかは、ほぼ無料で配布していたからね。

 人数が多くなって時間にゆとりが出来たから、そう言ったこともやり出したと思う。

 私たちが時間を作っては、遠征しにいっているのと同じ様なモノだ。


「来週にでも、ザスティーニに伝えて見るよ。アークシュリラは文句は言わないと思うが、確認だけはして置いてくれ。それでダメってことだったら教えてくれ」

「判ったよ」


 直ぐにアークシュリラに確認したら、『どうして今まで、村のことを決める打ち合わせにすら呼んでないか不思議だったよ』と云われた。

 アークシュリラもそう感じていたんだね。


 一週間後に、ファリチスの(おさ)もザスティーニたちに任せるとヴェルゼーアから伝えた。

 そして、今後はナニか問題があった時は私たちで決めないで、集会所のポストにその内容を書いて入れておくことになったよ。

 それ以外のルールは、追い追い決めて行くようだ。

 まあ、急に言われても困るよね。


 そこで一カ月後までに(おさ)をやりたいモノが居たら、やはりポストにそのことを書いて置くようにと成った。

 ザスティーニはオーラガニアから来た人々のまとめ役だったから、立候補しないでもザスティーニだろうなぁ。

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