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お題シリーズ4

どうしてこんな歌手に

作者: リィズ・ブランディシュカ





「どうしてこんな歌手になってしまったんだろう」





 私は歌う。


 戦場で歌う。


 戦わないで、人と人は分かりあえる。


 と。


 気持ちを込めて歌う。


 でも、途中で分かった。


 そんな歌は求められていない。


 と。


 国にためにがんばれと、


 家族のためにがんばれと、


 そう歌いなさいと頼まれた。


 ステージの裏で銃を向けられた私は、その力に屈してしまった。





 私のいる国、魔法帝国は劣勢だ。


 科学の力を得て急激に力をつけた機械帝国におされている。


 死んだ人間を弔う儀式に何度参加しただろう。


 死んだ時にあらわれる生き物、天の使いだと言われている白い蝶が舞うのを何度見ただろう。


 私は、人に死んでほしくなくて歌手になったのに。





「国にために」「家族のために」「未来のために」


「武器を手に取ろう」「戦場へいこう」





 拡声魔法で私は歌う。


 遠くまで響くように歌う。


 人を死に追いやる、死の歌姫として。


 こんな歌を歌いたかったわけじゃない。


 幼い頃に憧れた歌手は、戦火に包まれた町でさまよっていた私に、生きろ、生き続けろと訴えかけてくるものだった。


 そうなりたいと、目指していたのに。


「よし、これからの戦いもがんばるぞ!」


「気合が入ったよ。これで敵を一人でも多く倒せそうだ」


「この歌を思い出して、戦場で頑張ります!」


 眼前から銃口の幻が消えない。


 私は、どうしてこんな歌手になってしまったんだろう。



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