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目立つのはイヤ

 何故かプレゼントされたワンピースを着て高級街をルーシェン様と見て回ることになってしまった。


 ルーシェン様は一応髪の色を変えて変装しているからか注目は集めていない。

 本当に私以外にはキラキラが見えていないのだと納得はした。

 抑え気味でも今日もキラキラが舞っているけども。

 私はと言うとお忍び用の髪型や化粧は却下されててそれなりの仕上がり。


 高級街は庶民街と違って舗装も良いし店舗も洗練されていて綺麗なんだけど活気が違う。

 人通りは多いけれど皆ゆったりと歩いて静か。

 出店がなくって何か物足りない。

 庶民街に馴染み過ぎかな。


「楽しくないかい?」


 可愛い雑貨のお店や宝石店、ドレスショップと目に付いた女の子が喜びそうなお店に連れて行ってもらったけど。

 基本的に興味がないので、可愛いな~綺麗だな~くらいの感想しかない。


 実用的な物や本があれば十分なの。


 デニーのパン屋さんに行く時は高級街を通るけどほぼ素通りなので一軒一軒見ることは初めて。私一人だと入り難い店構えだしね。


 それでもルーシェンさまは私に似合うからと品の良い髪飾りやリボン、キャンディーの入った瓶など女の子向けのプレゼントを買い込んで護衛に預けている。


 

 キラキラを抑え気味で多少変装もしていても美形のルーシェンさまは近くを通り過ぎる若い女性達や妙齢のご婦人、幅広くうっとりとした目線を送られてる。

 ついでに私には「え?お子様?」みたいな怪訝な感じで。


 やっぱり控えめでも目立つ人だな。

 目立つ人といるのイヤ。


 機嫌がどんどん悪化して行く私。

 それを微苦笑で流してくれるのは大人だから?


「君は本当に僕に興味はないんだね。面白いなぁ」

 ニコニコしながらまだ街散歩を続けるらしい。


 何故、10くらい年下の娘と出掛けたいのかさっぱりわからないけど、女性に不自由したことないんだろうなと言うのはわかった。


「さぁ、あそこのカフェに入ろう」


 緑たっぷり置いてあるガーデンテラスのあるお店に入ることになった。


「ここはショコラが評判なんだよ」

「!」


 ショコラはお祖父様のお客様がお土産に持って来てくれたので食べた事はあるけど海外からの輸入品で滅多に手に入らない物なのにカフェに置いてあるの!?


「最近やっと流通量が増えてきてね」


 このお店は最高級店ってことかな?

 ルーシェンさまが色々注文してくれたので、テーブルの上はいっぱいです!


 ショコラのケーキにショコラのクッキー。

 シュガーコートのケーキにマフィンとこんなにいらない。


「少しずつで良いから味を見て」

 ニコニコと進めてくるのでまずはマフィン。


 マフィンはうちでも出てくるしコックさんも良い腕なので遜色ないんだけどこれはショコラソースを練り込んでて。でもちょっと苦い。


 シュガーコートは予想通り甘くて、でも中にビターなショコラソースを挟んであるのでちょうど良いかも?


 ショコラケーキも美味しい。甘くてとろりとしたソースが幸せの香りを口の中に留まらせてくれる。


「美味しい?」

「はい」


 クッキーもサクッとしてて途中ショコラがパキっと混ざってきて。


「デザートはここが一番なんだ。でもね、君が作ったパイはこのショコラを初めて食べた時くらい衝撃的だったよ?」


 え?


「高級街で食べるレベルの物を庶民街で食べられちゃったら変な奴らに目を付けられちゃうよ」


 どうもだいぶやらかしちゃってることは理解した。


「パン屋のご婦人が賢明な人で良かったよ」


 



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