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地味で目立たない次女ですが何故かキラキラしい人に懐かれて困ってます。  作者: 紫楼


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束の間の

 伯父がしばらく父母と姉のことで慌ただしく領地や王宮に行ったり来たり。


 父母は案の定荒れ狂って領民に迷惑をかけて陳情と言うか苦情が殺到してる。


 人里離れた場所に行ったはずなのになぜそんなに人と関われてるのかしらと思えば。


 暮らしに慣れさせるため、家事を教えるため一月の契約で付き添った使用人が早々にリタイヤしちゃってグランデ領の屋敷にいる家令に泣きながら謝罪をしにきたそう。

 

 なので二人は食べるものも用意できず、掃除も出来ずに近隣に脅し集り。

 まぁ学ぶわけないし、使用人がいて当たり前の暮らしだったから無理だよね。


 屋敷まではかなり遠い場所にいるから馬車代も無ければ長距離歩くこともしない二人なので家令の元までは行けてないよう。


 命令しかできない父、仕える従者がいなきゃ何も出来ないって気がついたかな?

 豪遊と自慢しかしない母、お金の有り難みと無駄話に付き合ってくれる友人の得難さは理解できたかな?


 と言うか二人ともキャンディー姉様と大差ない性格だったのね。


「どうやら罰が甘すぎたようだ」


 真っ黒オーラを出すお祖父様は執事に書簡を渡した。何書いたんだろう?


「シャロンは気にしなくていい。使用人を大事に出来んのだから最初から自ら働いてもらうべきだった」


 あらら。お祖父様の逆鱗に触れたみたい。





 ナナが気晴らしに街に出てみては?って言ってくれたので早速着替えて。庶民街まで行った。


 またも久しぶりになっちゃって。


 お店に出てる野菜や果物も季節の変わりを教えてくれる。


「久しぶりだね!」

「おばちゃん、元気だった?」


 立派なお芋があったので一緒にかぼちゃも買ったらおまけでレンコンをくれた。


「ありがと!」


 ちょっと重いけどパン屋まであと少し。楽しくって駆け出そうとしたらフッと腕の中のものが軽くなった。


「前が見えないのに危ないよ」


 キラキラが!ルーシェンさま、ストーカーか何かなの?


 荷物をさりげなく持ってくれて、ありがとうと言うべきなんだけどびっくりが勝っちゃうよ。


「パン屋さんに行くのかい?」

「はい」


 誤魔化しても仕方ないので肯定して一緒に歩く。

 王弟って暇なのかしら?


「あ、来たのか!?」


 店番をしていたデニーが笑顔で迎えてくれる。

 お店の中は甘いパンの香りいっぱいで一気に心が安らぐ。最高に幸せな香り。


「久しぶりだな、その野菜何するんだ?」


 デニーがルーシェンさまから野菜を受け取ってテーブルに置いてくれる。


「濾してパンに包んだら美味しいと思って」

「いもとかぼちゃとレンコンを?」


 デニーが不思議そうにかぼちゃを持ち上げる。


「レンコンはおまけでもらったの。置いていくね」


「あらありがとうねぇ」


 奥からパン釜のお世話をしてたおばちゃんが出てきた。


「おばちゃん、お久しぶり」

「ああ、元気そうで良かったよ。そちらの美人さんもね」


 おばちゃんにバフッと抱きついて受け止めてもらう。


 おばちゃんもルーシェンさまも苦笑しながら私を見てるよ。


「で、それをどうするって?」

 おばちゃんがかぼちゃを持ち上げて聞いてくれる。


「細かくして蒸してから潰して濾してパンに包みたいの」


 あんぱんみたいなのね。蒸しパンでもなんでも美味しいだろうけど、野菜屋で見たら食べたくなっちゃって。

 私はあまり煮物のかぼちゃは好きじゃないけどペーストにしてパンやパイにしたら美味しいと思ったの。


「デニー、切ってやんな」

「わかった」


 裏に入っちゃった。そういえばかぼちゃ硬いから大変だよ。ごめんね。デニー。


「ルーシェンさま、お仕事とか良いんですか?」

 お店に置いてある椅子に腰を落ち着けちゃった。キラキラした光はお店中に飛び回ってふわふわとパンを眺めてるみたいに動いてる。


「今日は急きょシャロン嬢の護衛係だね。せっかう会いに行ったらさっき出たって言われちゃったからね」


 先ぶれなくくるからじゃない。


 お店入ってきたお客さんがルーシェンさまを見てギョッと一瞬飛んだりするものの、私を見つけていつものパンって買っていってくれる。

 ちょこちょこ若い女の人がお友達と来ちゃうのは話題になっちゃったんだろうな。


 遠巻きに頬を染めながらパンを買っていってくれる。


「色男がいると売り上げ上がって有難いねぇ」


 しばらくしてデニーが蒸し終わったって伝えてくれたので、私も中に入って潰すのを手伝う。


 濾すのはパン用の粉振いの壊れかけを使わせてもらってヘラを使ってペースト状にした。


 ロールパン用の生地を使って良いって言ってもらったのでデニーとかぼちゃあんと芋あんを丸めて入れていく。


「蒸しただけなのにで甘くて良いな」

 デニーはあんをちょっと味見してニカっと笑う。


 パン釜に生地を入れてあとは待つだけ。


「シャロン、今度はいつ来れる?約束のお出掛けしよう!」


 デニーがいつものおおらかな笑顔で私を包んでくれる。


 いつか結婚したら会えなくなる。今正直に言っちゃったらもうこんな笑顔を向けてもらえない。

 私は卑怯で卑屈だ。

 この優しい時間を手放したくなくて。


「しばらくは自由にこれると思う」


 デニーの優しさに甘えて。

 思い出を作りたいと思った。


「そうか。じゃお昼前に来れた日に出かけよう」


 




----------

間が空いてしまってごめんなさい。

私の頭の中からほとんどのキャラが逃亡しちゃって。

他の作品も今必死に戻ってきてもらってます。


なんとかシャロンが幸せな結末になるように頑張ります。


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