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地味で目立たない次女ですが何故かキラキラしい人に懐かれて困ってます。  作者: 紫楼


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11/16

 妹がやって来たあと、しばらくは平穏だった。

 それまで通り、私は庶民街に行ったりし本を読んで過ごしたり。ただ思いついた事とかを書き散らすのは控えるようになった。知らない所で大きな事が動いているのが怖くなったから。


 たまにマギーおばさんにお願いして作るパンとかは砂糖を極力控えて、庶民街のお店で気軽に手に入るような材料で考えることにして。

「やらかさないシャロンはらしくないぞ」

って、デニーに心配されつつ、自分としては控えめに過ごしてるの。


 ルーシェンさまは相変わらず頻繁にお花や小物を贈ってくれたり、伯父様たちとお茶をしにグランデ家にやってくるけど、キラキラ具合が相変わらずでなるべく出会さないようにしてる。

 地味っ子には煌びやかな人が側に居るのが落ち着かな過ぎる。


 でも、王家主催の夜会に参加するようにってお祖父様に言われてしまって。

 デビュタントとグランデ家の人間になったお披露目も兼ねて・・・とか言われちゃって。


 どんどん平民ライフが遠のくよ。


 お祖父様か伯父様のエスコートでって思ったのに何故かルーシェンさまに確定していて、ドレス一式用意されちゃってた。


 外堀を埋めていくって言うの、やられてたのは後で気がついて大人って汚いってしばらくやさぐれたよ。


 夜会当日、やっぱり光が舞ってるルーシェンさまが迎えに来て、お祖父様と伯父様も一緒に会場入りした。


 私のドレスは好みのシンプルラインだけど、刺繍が細かくレースも重ねられててかなりの高級品。

 白地にルーシェンさまの金色の髪とロイヤルブルーを意識した刺繍にサファイアやブルーダイヤをふんだんに使ったアクセサリー。

 いくら世事に弱い私でもこれはわかる。

 他人の目から見たら婚約者って認識されるやつ。


 すれ違う女性から二度見三度見されたり、眉を顰められたり、くちびるを歪められたり。

 王弟さまは当たり前に有名人で、かなり目立っちゃって私はすでに精神が限界だよ。


 ルーシェンさまは初めて会ったフランメ家のパーティの時より、衣装の仕立てが豪華で誰がどう見ても美麗なの。

 キラキラ具合も半端ない。控えめにするんじゃなかったの?


 引き立て役よろしくな地味っ子は壁に行きたいけど、ご夫人たちに人気者のお祖父様と伯父様もかなり目線を集めてて逃げようが無い。


 ルーシェンさまやお祖父様たちに挨拶に来る人たちになんとか笑顔で対応してたら。



「あー!!シャロン!!」


 大きな声が聞こえてそちらを見るとキャンディー姉様がズンズンと小走りでこちらにやって来た。

 相変わらずリボンに原色で胸元がガッツリ開いてて目に優しくない。


 ここで私は他の女性の衣装に初めて意識が入った。

 お姉様みたいな人もいるけど、もう少し目に優しく露出も控えめで色合いも色とりどりあるけど原色はほぼいない。

 多くはリボンは多用せず、生地のボリュームとレースの合わせ方で美しさを競ってる感じで着ている人に似合った感じに思う。

 お姉様の格好はやっぱりちょっとダメな方だと思った。


 伯父様が少し頭が痛い感じで顔を引き攣らせている。伯父様も研究で篭ってるタイプだから表情が多少出ちゃうんだね。きっと。


「シャロン!勝手にいなくなったと思ったら格好良い人と来てるなんってずるいわ」

 

 ルーシェンさまをジロジロと眺めて。


「あんたみたいに目立たない子より私の方がお似合いだから私が貰うわね」


 って、ルーシェンさまの腕を引き寄せて胸を押し付けるように絡める。


 お祖父様と伯父様が能面のようにスンと表情を消してて。


 さっきまでキッラキラとルーシェンさまの周りで光っていた子達?がバッと離れて遠巻きで止まって浮いてる。


「・・・君は愉快な子だね」


 お姉様は褒められたと思って満面の笑みでルーシェンさまを見てから私に、

「そのネックレスもよこしなさい。今までたくさんあげたんだからそれくらいい良いわよね」

って言い出した。


 周りの人たちも状況に気がついて少しずつザワザワとしている。


「離してくれないかな?君が誰かも知らないのに貰うとか言われても困るよ?」


 柔らかく微笑んでいるのに空気はどんどん冷えているような気がする。

 お姉様は「え?」ってなりながらも腕を外さない。


「シャロンの姉のキャンディー・フランメですわ」

 カーテシーもせずそのまま名乗る。

 作法も何も無いあまりな姉にびっくりした。引きこもりの世間知らずな私よりあちこちパーティに出たりしていた姉が、こんな行動をとるほど礼儀知らずだなんて。


 ルーシェンさまは基本的に王家主催や高位貴族の催しにしか参加しないって言ってたのでお姉様が顔を知らなかったとしても、明らかに豪華な衣装に王家のお顔立ちの方相手にいきなり抱きついて、貰うだなんだということもかなりおかしい。


「シャロン嬢にはご姉妹はいないと聞いてるよ」

「なんですって?」

「彼女は、シャロン・グランデ侯爵家令嬢で、僕はアルフレッド・ルーシェン。一応大公を名乗っているよ?」


 さすがに少しは理解したのかやっとルーシェンさまの腕を外してる後退った。



 姉がなぜモテてないのかを理解したよ。


 お祖父様と伯父様が苦い顔で「もうダメだな」って呟いた。




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