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Over Sky  作者: 片翼
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第1話 【本当の英雄 〜オーヴァチュア〜】

初執筆、初投稿です。

2018年 北海道で発生した「胆振東部地震」の影響で北海道全域が大規模な停電に見舞われました、自分はその停電を体験して 街灯一つ灯されていない暗闇の中、無限に広がる夜空の中に、大きく存在する天の川を見て この話を思いつきました、 戦闘描写などもあります、少し少年漫画風かも。 まだ1話ですがせめて3行でも読んでくれるだけで嬉しいです。

あの日、僕たちの空は"奪われた"。



2040年 東京 世界一のAI企業「Over Sky」は衰退の一途を辿る日本の政治を掌握、新しい法律「空を見上げることを禁じる法案」を発布し、空を見上げた人間を最新のAIに選別させ始める。

Over Skyに対抗するべく 空を愛する者達はレジスタンスを結成し、戦いの中に身を投じていくのであった。


「人はなぜ、空を見上げ無くなったのだろうか。」



「当たり前を普遍的な物して享受し、有難いとも思わない、人の心はこれほどまでに廃れてしまった」


「この空も、いずれは 誰のものでもなくなる。」


「ならばこの空は 誰のものなのだろうか」


「この空が青いのは果たして当たり前なのか」




〜日本…? ???〜




柔らかく、暖かな日差しが、老婆と少年の小さな手にちょっかいをかける。

無限に広がる雲一つない晴天、ある夏の事。

広く、吸い込まれてしまいそうなほど雄大な平原の真ん中には、大きな廃墟のような遺跡が無数に点在し、そしてその中心には立派な神社 "御祟神社"があった

そこに居るのは、不思議な力を持つ老婆と 子供達、少年は、老婆に手を握られている。


「もう怪我治っちゃったみたい…!

ありがとう!あ!今日も聞かせてよあの話!いいでしょおばあちゃん?」


元気な声で老婆にそう言うと、少年は元気いっぱいな両手を空に広げる

すると、そこに1人の少女が現れ、少年の手を引く


「もう、またそのおばあちゃんの話を聞きにきたの?もういい加減そんな作り話に心を躍らせる余裕なんてないんだよ? 学校だってあるし…」


そう言われると少年は苦渋の表情で老婆の方を見る


「いいんだよ、そうやって楽しめるのは子供のうちなんだから」


老婆が口を開くと


「だよね!おばあちゃん! おれはおばあちゃんの楽しいお話信じるよ!」


そう言われると 老婆は悲しそうな表情を顔いっぱいに浮かべ


「信じてくれるのはボクだけだよ…ほほほ」


そう言うと 老婆はゆっくりと語り始めた。



2040年 東京

世界一のAI企業「Over Sky」のAIテクノロジーにより人類の生活はより一層便利なものへと進化を遂げた、その反面、AIにはAIの仕事、人間の為の公共事業は増え、完全なる調和と言うのが一見してわかってしまう、まさにAI新時代。


「なあ、きいた? あのニュース」

「ああ、あれでしょ…あの、Over Skyがどうとか言う…」


都内有数の高校の制服を着た2人が和気藹々と話している


「やっぱり歩はニュースに疎いな!

10年前にできた新しい法律、「空禁法」あるだろ? Over Skyはその為のロボットを全世界へ完全に配備が完了したんだってさ!」

「へー…」


ハキハキと喋るのはその高校に通う 3年生の神偉颯太かむいふうた黒髪の好青年 そしてもう1人、彼こそがこの作品の主人公 パッとしない喋り方の同じく3年生 空城歩くうじょうあゆむパッとしない黒髪のマッシュ風なヘアスタイルで、少しだけ暗い雰囲気を醸し出していた。


「てことはここ10年空見上げてもダメとか言われて…見上げてもどうにもならなかったけど…それが何か関係あるのか?」

気怠そうにそう言うと、颯太は大きな口をあける

「バカ!!大ありなんだよ!今政治家達は慌ててるところだぞ! もしAIの選別で空を見上げてるところが発覚したらその時点で…」


すると、前から2人の男女が歩いてくる


「ゲームオーバー そいつは一生刑務所行きだ… 」


ドスの効いた声、そしてその大きな体で歩達に石を投げるのは彼らと同い年の寺阪昇太てらさかしょうた金髪の所謂不良男子。


「ま! オレ様はそんなくだらない子供騙しは信じねぇけどな!」

「うん…だね。」


隣で小さな体を彼の大きな体に委ねながら、か細い声で肯定する女性は昇太と仲良い同い年の藤宮明里、2人は付き合ってるように毎日一緒に行動していた。


「また一緒に居るよ、君たち付き合ってるの?」


歩がすかさずそう言うと


「ンだと?!テメェ絶対にボコボコにしてやるよォ…!」


明里と颯太は驚いた表情でそれを見るが、同時に呆れた顔でも2人を見ていた、まるで見慣れた演劇を見るかのような目で。


「パッとしないお前らにおちょくられる筋合いはねェ、おら、帰るぞ。」


そう言うと明里の方を向き、


「あはは、そうだよね」


彼女はその後ろをついていった

立つことができないほど打ちのめされた歩は慣れたようにふらつきながらも立ち上がった


「大丈夫か? 歩。」

「なんとかね…なんとか…。」


雲の隙間から少量の日の光が差す、夕暮れ時の路地裏、渋谷のスクランブル交差点には今日も、数えきれないほどの人間が忙しなく右へ左へと動いている。 機械音を鳴らしながら、ロボットの隊列が交差点へと差し掛かる


「新型だ…」


街ゆく人々がそれを見てそう呟いていく


歩もそれを見つめていると、その影にこの世のものとは思えないほどの美しさ、東京とは異様な雰囲気を放ちながら走り去る少女の姿が


「…?!」

「どうした?歩」


颯太は咄嗟にそう尋ねると


「なに、"あれ"」


少女の姿を確認できたのも束の間、一瞬見ただけでは、確実に人と認識するのに、脳の処理能力の限界を感じるその美しい姿に見惚れ、気付けば歩はそれ目掛けて走り出していた


「──歩ッ?!」


追うように颯太も後に続き、交差点に飛び出すと


「違反者ヲ発見」


パトランプが回転し、轟音のサイレンと共にロボット達が歩いていた小さな男の子を取り囲む、その異様な光景は、今まで下を向いていた歩行者達の興味を全て奪っていった。

その子の隣にいた母親は携帯から目を離し、息子に目を向けると


「やめてください!!息子は空なんて見てませんから!! 本当です!!」

「違反者ヲ発見」

「違反者ヲ発見」


近場を巡回していたOver Skyのロボット達が続々と集まってくる

改めてその異様な光景に、通行人達は釘付けになる


「助けて!誰か!!!!!!!」


夕暮れが加速し、辺りも暗くなってきたタイミングでの出来事だった、 夕陽が焦燥感と共にロボットの無機質な体を酷く照らす


「…?」


少年は状況すらも理解できずにただ母親を見ていた


「歩!あれ…」

「…?」


その事件を目の当たりにした2人と、他の通行人と同様に野次馬として集まる


「違反者ヲ拘束」

「違反者ヲ拘束」


その音だけがざわめきの中でなんどもこだまする


「助けないと…」

「何バカなこと言ってるんだよ!」


ロボットが少年を拘束しようとしたその時、歩は落ちていたビニール傘を拾い、全力でロボットの顔部分を強打する


「?!」


その刹那、颯太は唖然としていた


「攻撃サレマシタ」

「公務執行妨害ダ」


アラートが鳴ると、歩は少年とその母親の前に立ちあがる


「どう言う予行演習だァ?!」


野次馬の中から大きくそう叫んだのは昇太だった


「…えちょ…歩もアイツ(昇太)

も何やってんだよ…」


呆れた颯太がその場を去ろうとすると


「歩テメェ…何カッコつけてんだよ!!!!!!! 」

「カッコつけて…ないよ。」


交差点の中心 ただでさえ異質な雰囲気の中で言い合いになる2人


「そうだ…そうだ…」


昇太の隣にいる明里は恒例かのように小声で便乗を続けている


「第一本当に空見ただけで捕まるンか?! オイ!!!!答えろよロボット風情が!」


そう言った瞬間、昇太は堂々と空を見上げた


「あ、見上げちゃった」


いつもの癖で明里も見上げてしまうと


「違反者ヲ発見」

「違反者ヲ発見」

「違反者ヲ発見」


機械のアームが変形し、銃口を出現させる


「はぁ?!」


咄嗟に手をあげる2人、だが時既に遅く

スタンガンを打ち込まれてしまう。

何かを察したのか、颯太は歩の方に駆け寄り


「これ結構まずいぞ!!逃げないと!」

「逃げられないよ…僕は……誰かを救わないと…!僕は英雄になりたいんだ!」


すごい大きな声でそう返すと


「何言ってんだよ歩!いまは命の方が…t」


それは同時に颯太、歩とその親子にも打ち込まれてしまう。

通行人たちは、うわっと声を上げてその状況を動画などに納めていた


〜18年前 とある病室〜


「この子の名前は 歩 誰かを進んで助けられるような、英雄を目指して、一歩ずつ勇敢に歩いてほしくて、そう言う名前をつけるの」


「へー、じゃあこの子は…きっと凄い子になるぞ〜!」



「お母さん?」


「あれ、この時何があったんだっけ…あんまり…覚えてないや。」



「歩? あなたは困ってる人がいたら 必ず助けなさい 見返りなんて求めちゃダメ。」



歩は夢の中で 宇宙空間をただ、永遠と浮かんでいる感覚に身を委ねる

それは確実に夢なのだが、やけに居心地が良く、まるで暖かい。

だが、人生と同じように、夢にもいずれ終わりは訪れる。



〜北海道 某所 巨大な刑務所〜

「…!」


「起きたか…歩」

「ここは…? ふ、颯太?」


閉鎖的な狭い部屋に2人、颯太と歩は閉じ込められていた

鉄格子の外に見える光景は、部屋と呼ぶには大いに広く、とても解放的な空間の壁にびっしりとこの部屋と同じような牢屋が広がっていた、部屋の中心では、街と同型のロボットが右往左往している


「なんなんだ…?」


歩はゆっくりと口を開き


「見るからに…刑務所だな… もうこんな人数が収容されてるらしい。」


「これだけの人数…空を見上げただけで…?そもそも僕…空見上げてない気がする…」

「こんなの不当逮捕だ!」

「うん…」


pixivなどにも【Over Sky】7話まで投稿してます、そちらもお願いします!↓

https://www.pixiv.net/users/58858524

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