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第八十一話 注意喚起、お静かに!

「昨日未明、一般人がモンスターに変身するという事件が発生した! 警察から、変身アイテムを第三者が渡してきた可能性がある、という情報が入っている! くれぐれも、怪しい物は受け取らないように!」


 担任が、生徒全員に対してそう叫んだ。

教室内は、明日は我が身なのでは? という会話を繰り広げていた。


「静かに! 勿論、君たちが怪しい物を受け取るような人物ではないというのは、先生も分かっている! だが、人は常に間違うもの、繰り返し伝えるが、絶対に人から怪しい物を受け取らないように! 以上!」


 繰り返し大声で伝えて、担任は職員室へと向かった。


「大丈夫かなぁ」

「モンスターに変身するなんて怖い……」

「あの映像捏造じゃないかって話もあるらしいぜ?」

「でもあんな映像、絶対CGじゃないでしょ……明らかに変身してたし……」


 皆、モンスター化に心配の声が上がっていた。

確かに俺も心配だ、身内……俺は叔父さんしかいないが、そういう人が変身してしまうのではないかと考えると、不安になる。

そんな事を考えつつも、俺は教室を移動するために席を立った……


「よ! 金剛!」

「……」


 ……立った瞬間、小松と以下3人が俺に近づいてきた。


「なんだよ?」

「いや、この間は本当にありがとうな!」

「……話はそれだけか?」

「あぁごめんごめん、実は昼に今度のダンジョン探索の段取りを決めようと思ってさ、もし良かったら……」

「……」


 こいつら、俺の事恨んでないのか?

どうして俺なんかに声を掛ける? 教室の一部の人間が、俺を見てヒソヒソと話しているのに。


「この間のお前、凄かったぜ! 俺たちもしかしたら、ダンジョン探索の授業の成績が学年トップかもしれないぜ!」

「あんたはもっと頑張りなさい、愁! ごめんね、金剛くん、私たちじゃ足手纏いかな?」

「……金剛くん、私に魔法教えて」


 凄かった? 違う、腕輪が凄かっただけだ

……俺は何も凄くない。

 足手纏い? この間は俺がそうだった。

……こいつらがそういうことを言う筋合いなんて、これっぽっちもない。

 魔法を教える? 俺はただ腕輪の力を使っただけだ

……教えることができるのは、シェダルであって俺じゃない。


でも……


『金剛も! ありがとな!』

『金剛! いつのまにこんなことできたのか!?』

『金剛! 授業の時も頼んだぜ! 一緒に頑張ろう!』

『金剛! 助かったぜ! お前すげぇじゃん!』


ああいうことも言われて、嬉しいと思ってしまった、ようやっと認めてくれたと思ってしまった自分がいる。

しかし俺は……


『……お前らここで死んどけ!!』


 あんなことを言ってしまった。

言った言葉は取り消せなかった。

こいつらは絶対、そのことを根に持っている。

……俺はここにいるのが辛くなってきて、その場を後にした。


「あ、おい金剛!」


 小松の制止の声が聞こえたが、俺は聞こえないフリをした。


「って、ウチらも授業!」

「そうだった! 翔琉! 急ごうぜ!」

「……金剛くん」

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