第七十九話 止まらぬ吐き気! 今日は鍋!
「さぁて! 安全運転で到着したぞ、同志諸君!」
「ありがとうございました、剣さん」
「なぁに! 仲間の送り向かいなんてお安い御用さ!」
「……」
案の定、俺は吐きそうになっていた。
「運転、とてもお上手ですね」
シェダルが意味のないお世辞を言う。
剣さんの目線を吐きそうになっている俺から逸らせようとしてくれているのかもしれない。
そう考えるとありがたいと言えるのだが……
「おう! ダンジョンが出現して、そっから免許の法律が変わって、小型車両の免許が16から取れるって聞いたら、取らずにはいられなくてよ! こう見えて運転歴は5年は経ってるぜ!」
……などと言っているが、俺にはそんな経歴は通用せず、吐き気が止まらずにいた。
早くトイレに行かないとやばい!
俺は軽く礼を言って、急いで鍵屋に入った。
そして出すものを出した……。
「はぁ……マジで、揺れる……」
「そこまで揺れてなかっただろう!」
「マジ……次は徒歩で帰ろう……」
個人的に転移スキルより揺れている気がする、冗談抜きで。
「ほら、背中擦ってやる」
「……抱き着かなくていいっての!」
「いいからいいから……」
そしてシェダルの抱き癖発動である。
拷問から解放されたご褒美がこれと考えるならば、まぁいいのかな……
「ただいまー! ……っと、邪魔だったかな?」
叔父さんが仕事から帰ってきたようだった。
俺は咄嗟にシェダルから離れた。
「い、いや! これはその……」
「いいっていいって、仲良しさんだねぇ、2人とも!」
「あ、あぁ……うん」
彼女設定ってことを考えれば、まぁ普通か……普通なのか?
「そういえば、2人とも大丈夫だったかい? なんかモンスターが突然地上に出たとか何とか……」
「この辺りは大丈夫だったみたいですよ! 冒険者有志の方が何とかしてくれたみたいで!」
「そうかい! いやぁ彼らも中々やるもんだねぇ、てっきりヤから始まる自由業みたいな集団だと勝手に思ってたけど……っと、これ以上は職業差別になっちゃうかな?」
叔父さんの言ってることは分かる、俺もそう思ってたから。
「そうそう! お腹空いてるでしょ! そろそろ夕食の時間だし、ご飯にしようか! ちょうど今日白菜が安かったからお鍋にしよう! ちょっと待っててね!」
叔父さんは台所へと足を運んだ。
「なぁ昇、これからの敵、どんどん強くなりそうだ、明日ダンジョンで修行しよう。」
「いや、俺明日学校だよ」
「そうか……では私一人だな……」
「別に俺がいようがいまいが、お前はどうでもいいだろ?」
「どうでもよくなんかない! 一人でずっと鍵屋に閉じこもっていろと言うのか!」
「いや、そこまでは言ってないだろ……」
シェダルはどういうわけか、ガッカリした表情を浮かべた。
150歳で孤独を嫌がるって……まぁ人間で考えればそうなるとは思うけど……
「よし! じゃあ私も学校に行こう!」
「はぁ? お前何言ってんだよ!」
「なぁに、公文書を偽造すれば……」
「それ犯罪だから!」
第三階層に入るだけでは飽き足らず、公文書偽造までする気かよ……
俺は強い言い方で、シェダルを注意した。




