第八話 バックアップ、フラッシュバック
……俺も黙ってみてられない、剣を構え、攻撃参加しようとしたその時だった。
「金剛! 隙を作るからお前は逃げろ!」
小松はゴブリンと戦いながらそう言い放った。
「岩国さん、さっきの氷魔法もう一回使える!?」
「……やってみる」
「じゃあウチが通路作る!」
他3人も俺を逃がす作戦に乗ったらしい。
……何故だ?
俺が使えないから逃がそうってのか? この状況下で?
……ふざけるなよ。
「おい金剛!」
小松の制止の声が聞こえたが、そんなことはどうだっていい。
俺だって戦える、まともなダメージを与えられないかもしれないが、この場をなんとかできる筈……できる筈なんだ!
「ちょっと金剛! あんたは逃げるのが先でしょ!?」
「そうだよ! ここは俺らが何とかするから、お前は自分の命を大切にしろ!」
「先生……そう言ってた!」
こいつら……俺を馬鹿にしているのか? 馬鹿にしているんだ。
どいつもこいつも……
「……お前らここで死んどけ!!」
「おい金剛!」
「そっち逆!」
腹が立つ、こいつらの言うことなんて、聞いたって仕方がない。
『やっぱ鍵スキルは使えねぇな!』
『レベル1は足手纏いなんだよ!』
『クソの役にも立たないわね!』
『使えない人……』
きっと夢での出来事は、これを予言していたのかもしれない。
そう思って、俺は走り始めた。