第六十九話 少女漫画、撃破!
『ゴックンチェンジ! ファイヤー!』
先ほどまでアクションをしていた男女たちが、掛け声とともに銃の引き金を弾き、カラフルな配色の戦士に変身する……この歳でこういうことを言うのもおかしいと思うが、かっこいいと思ってしまった。
6人中4人の銃がそれぞれ、剣とハンマーと弓と杖に変化した……なんか既視感がある。
やばい、嫌なことを思い出しそうになった。
「うおぉ! かっこいいぞ! なぁ昇! そう思うだろ!」
「あ、あぁ……」
またもテンションが上がるシェダル。
一瞬嫌な気分になったが、自然とこちらもそのノリに流されていった。
カラフルな戦士たちは、その圧倒的な力で敵を圧倒する……が。
『ここは拙者に任せるでござる!』
『あたしも!』
『ひっひっひ、お前らも少女漫画になれ! 少女漫画ビーム!』
「い、いかん! お前ら避けろ!」
シェダルの指示は画面の中には聞こえず、金と紫の戦士は少女漫画の登場人物になってしまった。
金の侍口調の戦士の目はデカくなって戦闘不能になり、紫の戦士は敵味方関係なく激突して行った。
まさに絶体絶命、しかし混乱する戦火の中、乱入者が現れる、そうだ、あいつだ。
『大丈夫か!? みんな!』
先ほど、少女漫画を読むシーンで、俺の隣にいるご長寿の腹筋を崩壊させた司令官が助けに来たようだった。
司令官は持っていた鞭で少女漫画怪人を縛り付け、赤い戦士にとどめを刺すように指示を言う
赤い戦士は銃のリボルバー部分を回転させ、必殺技の音声を流す
『ゴブティラ英雄フィニッシュ!』
……やっぱり腕輪と似ている。
引き金を弾き、少女漫画怪人に必殺技が命中し、爆散した。
「うおー! かっこいいぞ! よくやった!」
シェダルのテンションがMAXになったのか、俺の腕を掴んで大喜びしだす。
もはや何も言うまい
『お~い、何やられてるんだよ、それ大きくな~れ!』
「お、おい! お前何をやってるんだ!」
爆風の中から敵の幹部が突然現れて、謎の薬を爆散跡地にばら撒いた。
奇怪な行動にシェダルは困惑の気持ちになったようで、俺の掴む手が震えだす。




