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第六十五話 選挙の前、国会前

『私はただいま、国会前にいます! 現在こちらでは、選挙前の影響でしょうか? スキル社会反対派によるデモ活動が行われています!』


 朝起きて、テレビを付けると、そんなニュースがやっていた。


「ありゃりゃ、大変だねぇ」


 叔父さんはまるで他人事のように言う。

 叔父さんは有権者なんだから、こういう出来事って結構重要だと思うんだが……


「みんな元気でいいなぁ、このくらい活気があった方がいい」


 シェダルは呑気な事を言って、朝食の味噌汁を優雅に啜っている。

これ活気って言えるか?


『無届集会を行っている貴殿らに、麹町警察署から、今一度警告する! 今すぐ解散しなさい!』


 テレビの映像では、機動隊が国会前を警護していて、電線工事で使うような車から、警官隊の一人が拡声器で警告を出していた。

 その中でも、キャスターはリポートを続けていた。


『警官隊が反対派の鎮圧を行っていますが、こちらを見ますと、反対派の妨害をしに来たであろう、スキル社会賛成派が、今にも突撃しようとしています! 国会前は今! 三つ巴の状態です!』


カメラが賛成派の方へ向く、案の定、警官に止められている。

賛成か反対か、俺の答えは勿論後者だ。

彼らの唱えている陰謀、監視社会にウトピアの傀儡、本当にあるのだろうか?


『この融合、明らかにおかしい、先にも言ったがこれは普通ではない現象だ、何か陰謀があるのかもしれない。』


 シェダルもあんなことを言っていた、だが冷静に考えると、監視社会とかは、流石に考えすぎではないだろうか?

 国は情報を把握して、何のメリットがある? 管理しやすくなるだけと言えば聞こえはいいが……なんか難しいことになってきたな。


『今、国会は! 混乱状態に……きゃぁ!?』


 キャスターの持っていたマイクを、活動家の男が無理矢理奪い取った。

男は何かの争奪戦の真っ最中のような顔つきをしていた。


『いいですか! 皆さん! 私の言っていることをよく聞いてください! 今の日本は明らかにおかしいです! 携帯電話の所持義務化は明らかに我々を監視して、我々を同調圧力の波に引きずり込もうとしています! みなさん! 同調圧力に巻き込まれるのはやめましょう! そして! 携帯電話を捨てましょう! スキル社会はゴミです! クソです! ですから……どわぁ!?』


 男は強制的に舞台から叩き落された。

 同調圧力……か。

 そんな事、考えたこともなかったけど、小学校の頃に俺の事を馬鹿にした奴らも、中高で陰口を言っている奴らも、「鍵スキルは無能で、いずれは犯罪者になる」みたいな風潮を共通認識みたいにしているのだろうか?

 とは言っても、彼らの言い分には、何か引っかかることがある、それは何だろう? 駅前で聞いていた時とは何か違う違和感、これは一体?

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