第五十九話 バイクが立つ、マッコーシュ
あれからどのくらい走ったであろうか?
その後もシェダルは、俺を爆走させ、モンスターを轢いては、生き残っていた奴に弓や剣で追撃をし、回収を繰り返した。
「俺を爆走させる」なんて生涯使わないような表現、こんな状況でしか使えない。
そして、更なる強敵が目の前に現れた。
その見た目は、ザリガニとカブトガニを足して2で割ったような、甲殻類のモンスターだった。
「マッコーシュだな」
『おいおい、あんな硬そうな見た目の奴、倒せるのか?』
「倒せるさ、お前なら」
『俺なら?』
「さ、行ってこい!」
『行ってこい? っておい!』
シェダルがバイクから降りたことが、感触で分かった。
ここでお前が降りたら行くにも行けねぇじゃねぇか!
「えーっと確か、これだな!」
シェダルはそんなことを言って、俺の背中の辺りを押した。
『え? お前何を? っておわ!?』
突如、目線が上がり、俺は……立ち上がった。
『うお!? 俺、立ったぁ!? ってうお!? 顔が自由に動く!』
手足を見ると、車輪がスタンプのようになっていて、両手をよく見ると、ミニガンのようになっていた。
体は金色の、剣スキルよりも硬そうな装甲を身にまとっていた。
『ってまた金色かよ!』
「だからかっこいいだろう!」
シェダルの金銀好きは周知の事実だと思われるが、さっきまでシェダルは金色のバイク(俺)でダンジョン内を爆走してたってことか? 敵にバレバレだと思うが……
「今のお前は、バイクの装甲を身にまとった戦士……名付けるなら、バイクマン!」
『だからまんまじゃねぇか!』
「まぁ名前は置いておいて、私が失敗作を失敗作のままにすると思うか? ちゃんと自在に動けるようなモードを用意してあるのさ! ……とは言っても、現状第三者が必要なのは変わってないがな、まだまだ改良が必要だ」
『……まぁ、自由に動くならこっちのもんだ!』
「自信がついたようだな! さぁ行け!」
『おう!』
俺は体を動かした……って重!? 動きづら!?
『おい! これじゃあカタツムリよりも遅いじゃねぇか!』
「あぁ、言い忘れた、自在に動けるとは言っても重すぎるから、遠距離攻撃に特化したんだった」
『遠距離攻撃って、相手は甲殻類だぞ!? っておわ!?』
ベラベラと話している間に、甲殻類のモンスター……マッコーシュが襲い掛かる