表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

62/408

第五十三話 俺は子ども、再び眠ろう!

「あのさ! シェダル!」

「なんだ?」

「抱き着いたり、一緒に風呂入ったり……いい加減、俺の事子どもみたいにするなよ」

「何故だ?」

「その……」


……うん、ダメだ、理由を説明しようにも、いざ口で言うと恥ずかしい。

シェダルは曲がりなりにも俺より10倍も長く生きてるわけで、戦闘能力も圧倒的に高い、言ったら何をされるか……からかわれるだけかもしれないが。

それに、言葉では否定しても、心は求めているという矛盾が壁になっていて、うまいこと言えない。


「ははは! 恥ずかしくて、これ以上やられると、理性が持たなくて襲い掛かるかもしれないってか!」

「ば、馬鹿! そんなんじゃねぇよ!」

「ははは! 顔にそう書いてあるぞ!」


 分かってんならやるんじゃねぇよ!

 そう言い返したかった。


「大丈夫だ、お前はそんな事をするような人間じゃない」

「……どうしてそう言い切れるんだよ? 会ってまだ一日ちょっとしか経ってないのに」

「私の父の言葉を借りると……『目を見れば分かる』」

「……」


感情論じゃないか、全く……。


「お前は私を襲う勇気なんて無さそうだし、仮にそうなっても、抵抗する力ならお前より上だ!」

「……そうだけど」


事実は事実だ。


「それにだ! 私は子どもには興味はないからな! ははは! お前は私の息子みたいなものだ!」

「息子ねぇ……」


 なんか、今まで何を考えていたのだろう。

 理性とかなんとか、欲望に忠実すぎるだろ、俺。

 目覚めて早々、変なことを考える俺を、できる事なら殴ってほしい。


「あの……申し訳ない」

「なぜお前が謝る?」

「……色々と」

「色々とは?」


 シェダルは未だにニヤニヤとしているようだった、話し方がそれっぽい。

 俺はシェダルを突き放そうとした。


「いい加減放せよ!」

「お前まだ目覚めたばかりだろう! まだ横になってろ!」

「寝るなら一人で寝てるから!」

「おーよしよし、ママが近くにいてやるから安心しろ」


こいつ……放す気がねぇ……


「つーか思うんだが、密着するんだよ毎回!」

「人間は相手の体温を感じると落ち着くんだろう?」

「……あーわかったよ!」

「よしよし、いい子だなー」

「……」


 からかっているのか、はたまた俺の事を思って言っているのか。

 この際どちらでもいいか。

 俺は自分の気持ちに正直になり、そのまま再び眠りについた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ