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閑話 少年の過去 中編2

 母親が危篤になり、もう手遅れの状況となった時だった。

母さんは、父の葬式が行われる目前に死んだ。

 母さんの葬式はどうするのか、残された俺はどうするのか、病院の人が話し合っている中、俺は静かに待合室で待っていた、その時だった。

待合室のテレビで速報が入ったのか、テレビのキャスターやスタッフが、大慌てでカンペの準備をしていたのだった。

 普通じゃないと感じた呼び出しを待つ患者やその付き人達、果てはその場を通り過ぎる医者や看護師までもが、普段は聞き流す程度のテレビを凝視していた。

キャスターが慌てながらも準備を終え、原稿を読み上げた。


『速報です! 政府は今日、世界各国で導入されている「スキル」及び「レベル」を登録したものを社会に導入する、通称「スキル社会」を導入することを閣議決定しました、これにより、携帯電話の所持が義務化され、職業などが……』


 一同は騒然としていたのだった。

「病院では静かに」というのは、壁の張り紙を見れば誰でもわかることだったが、この時は、皆そのことを忘れ、「どういうこと?」「スキルって何?」「まるでゲームみたい……」「スマホの所持義務化って今持ってるやつはダメなの?」というような会話をしていた。

また、キャスターはこんなことも言っていた。


『また、ダンジョン探索のための組織を、各地に存在する猟友会を冒険者ギルドという名前に改る形で発足させ、登録などを簡潔にし、武器の所有も簡単にするということも政府は発表しました。』


 病院では治安の悪化を懸念する声、「冒険者って何?」という声、「もしかして一攫千金狙えるんじゃね?」という声など様々だった。

俺はその様子を、ただただ見つめる事しかできなかった。


 しばらくして、学校に向かうと、何もかもが変わっていた。

全員に携帯電話が配られ、担任の教師が変わった。

新たな担任は「スキル社会の導入で、新たに担任になりました。」などと言っていた。

担任は、携帯電話で「ステータスオープン」と唱えるように指示した。

みんな馬鹿馬鹿しいと思いながら唱えると、自分の身分証明が表示されたのだった、所謂ステータス画面というものだった。

俺の表示はこうだった。


------

方丈 昇

NOBORU HOUJO


国籍 日本国

スキル 鍵

レベル1


在籍 国立東都大学付属小学校

------


皆驚いた、もちろん俺もだ。

「スキル 鍵」……この時は何とも思わなかったが、周りの反応から、ある違和感を覚える

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