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閑話 少年の過去 前編

俺は幼いころから、色んな事をやらされた。

理由は単純明快、「将来のため」

俺の父親は政治家だった……父の名前、「方丈ほうじょう 政宗まさむね」と言えば、当時の人間は「あーあの人ね」と、まるで有名なドラマに出た俳優の名前を聞いたような反応をしていた。

両親はいつも、俺の将来のためだとか何とか言って、色んなことをやらせた。


『お前は将来的に私の後を追うのだ! 何でも余裕にこなせるようになれ!』


それが父さんの口癖だった。

やらされたのは、まず学力を上げるための塾は勿論、スポーツにピアノ……今となっては、スポーツもピアノも作法を多少覚えているだけで、全然身にもならなかった。

そんな感じでも、小さい頃は、仲のいい友達がいた、名前は……もう覚えていない、姿も性別も忘れてしまった。

だが、彼または彼女との思い出は、とても楽しかったと記憶している。

あれは幾つの事だったか……親が突然、その友達の名前を挙げて、こんなことを言った。


『あんな子と遊ぶんじゃありません! あの子は我々とは違う階層の子、あの子と遊んでいると、貴方までそうなってしまいます!』


確かそれを言ったのは母親だった。

俺は意味が分からなかったが、そのままの言葉を俺はその子に言った。


『なんだよそれ……もう遊んでやんない!』


その言葉だけは鮮明に覚えている。

そして聞いた話では、その後、彼または彼女は、遠くへ引っ越したらしい。


何もかもがつまらない……とは言っても、当時は分からなかった。

何かで発散したかった。

家に帰っても勉強や作法の勉強。

外にいても学校や塾に習い事。

だから俺は、そのよくわからない感情を、他と比べたら余暇のある学校の時間で発散した。


『俺はお前ら愚民どもとは違う世界にいるんだ! 俺は父さんの後を継ぎ、いずれはこの国を支配するんだ!』


こういうことを言ってね、今思えば、相当調子に乗っている

他の奴らは、俺に手を出したらどうなるか分からないと思ったのか、何も言わず、何もしなかった。

方丈ほうじょう のぼる」、俺の名前を聞けば、みんなが震えあがった。



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