第四十九話 腹が立つ! あとは任せる!
「……そいつの処理、任せた」
俺はメガルホーネットの死体を指差して言った。
早いとこ、この場から消えたい、イライラする。
「いいのか? お前も受け取れよ! 一般人でも第一第二で倒した奴をギルドに持って行けば報奨金貰えるんだろ? 山分けしようぜ!」
「いらねぇっての! とどめを刺したのはお前らなんだからやるよ」
「そうか? なんか申し訳ねぇよ」
「……」
あぁマジでイライラする、するとシェダルが会話に入った。
こいつと話さないだけでもマシだ。
「昇の言う通りだ、こいつはお前らがとどめを刺したから受け取ってやれ」
「シェダルちゃんも? じゃあお言葉に甘えて……」
「昇! いいよな?」
なぜ俺に振るんだ、あぁもう!
「だからいいっての!」
俺はそう言って、四人に背を向けた。
「おい! 昇! 待たないか!」
シェダルが俺の隣に並んだ。
今は、誰の話も聞きたくなかった。
「金剛! 授業の時も頼んだぜ! 一緒に頑張ろう!」
「シェダルちゃん! 今度メッセやろう!」
「金剛! 助かったぜ! お前すげぇじゃん!」
「……」
四人中3人が俺に対して何かを言ったようだが、既に俺は聞こえないフリをした。
「……金剛さん……無詠唱で……魔法を? すごい……」
「さ、みんな! 処理やるよ!」
「翔琉~、ウチ無理なんだってこういうの~」
「おい……悠里……抱き着くなって……」
◇
そのまま第二階層奥へ進み、ちょうど真ん中の辺りに到着した。
「おい昇! せっかく友達が助太刀してくれたのにその態度は何だ!」
「だから友達じゃねぇっての、たまたま授業で一緒なだけだ」
「だが、あいつらが介入してくれなかったら、今頃やられてたかもしれないんだぞ! いくら弱まっていたとはいえ、急に起き上がって襲い掛かるかもしれなかったのに!」
「……」
確かに、あそこで鍵を入れ替えるよりかは、あいつらがやってくれた方が確実だった。
シェダルの言う通り、弱っているとはいえ、すぐにでも起き上がるかもしれないからだ。
俺が気に食わないのは、せっかく今までの俺とは違うところを最後まで見せようとしたのに、水を差しやがったことだ。
……くだらない見栄を張ってしまった、これではあの時の暴言と変わらないじゃないか、またあいつらの恨みを買ってしまったのだろうか?
「まぁいい、昇、ここまででレベルはどうなった?」
「……確認してみよう、ステータスオーブン!」
気持ちを切り替え、アプリを開いた。
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金剛 昇
NOBORU KONGO
国籍 日本国
スキル 鍵
レベル19
在籍 県立祇園高等学校
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「順調に上がっているな」
シェダルは俺のスマホを覗き込んでそう言った。
15から19まで上がり、先ほどの戦闘で水を差されてしまったものの、俺の心は嬉しさでいっぱいになった。
いつかあいつらを見返して、そんでもって今まで馬鹿にしてきた奴らにも目にもの見せてやる。
そんな風に考えていると、何やらモンスターの陰が見えた。




