第四十六話 自己紹介、敵が襲来!
「俺は翔琉! 小松翔琉だ! 君、見ない顔だけど転校生か何か?」
小松はシェダルに自己紹介を始めた。
「シェダルだ、ウトピア出身で最近この国に来た、よろしくな!」
「よろしく! ……ふーん、金剛の彼女ねぇ、もしかしてイメチェンで髪を染めたのか?」
「……」
シェダルは愛想良く小松に挨拶をしたが、俺にはこんな風に会話をする資格はない。
「ところで、翔琉はなぜダンジョンに?」
「腕を上げるためさ! この間は俺のせいで班の連携が取れてなかったから、少しでも補強できるようにな!」
シェダルと小松は楽しそうに会話を始める。
一人でここに来たのだろうか? いや、そんなはずはない、きっと……
「ちょっと翔琉! 先行かないでよ!」
「ごめんごめん、こういうところで連携取れてないって言われるんだよな、俺! 気をつけなきゃな!」
翔琉のお妃様がお見えになった。
お妃様……羽田は、授業の時と同じ、弓スキルの姿になっていた。
「おーい! 翔琉! 悠里!」
「遅いよ愁! あんたそれだと翔琉に置いて行かれるよ!」
「鎚持ってて走るの辛いんだよ!」
「……」
班メンバーの残り2人、三沢と岩国も終結した。
ここに俺が一番求めていない、パーティーメンバー一同が、ダンジョンのとある場所で集結するという夢のような展開が起きた。
「おいおい、お前友達いっぱいいるじゃないか!」
「……そんなんじゃねぇよ」
「誰この子!? かわいい~」
羽田はシェダルに近づいて頭を撫でる。
「おいおい、撫でるな、こう見えてお前らより年上だぞ?」
「あ、ごめ~ん、ウチは悠里! よろしく!」
「あ、俺は愁! 三沢愁な!」
「……岩国薫……です」
「私はシェダル! よろしくな!」
一通り自己紹介を終えたようだった、この後時間かかるだろうし、先に行こう。
「待たないか昇! せっかく友達がいるのに、挨拶ぐらいしろ!」
「……だから、そんなんじゃねぇって」
「え!? 金剛くん!? 感じ違くね!? やば!」
「えぇ!? お前金剛か!?」
「……!?」
他3人が驚きの表情を見せる。
あぁまた面倒なことに……。
「じゃ、じゃあシェダルちゃんって……金剛くんの彼女!?」
「えぇ!? マジかよ!? ってことはその格好ってイメチェン!?」
羽田と三沢が異常な盛り上がりを見せる。
「その通り! 私は昇の彼女だ!」
「キャー! マジ!? やば!」
羽田が黄色い声を上げた。
つーかそんな声上げたら……
「……危ない!」
岩国が咄嗟に声を出し、俺たちはモンスターの攻撃を避けた。
目線を向けると、巨大な蜂が毒針を発射し、次の攻撃に備えていた。
「あれは……」
小松は驚愕の表情で、他の連れ3人を守るように立った。