第四十五話 陽キャに遭遇、設定を共有
「お前……金剛か?」
「……」
騎士の姿をした小松だ、なぜこんなところにいるんだ?
……そういえば今朝、メッセージ来てたわ。
しかし、金髪や服装で俺かどうかが分からないようだった。
ここは誤魔化そう。
「金剛? 誰ですかそれ?」
「あ、すみません、同級生と似ていたもので」
「そうですか、ダンジョンは危ないのでお気をつけて、ではこれで!」
小松をスルーして奥へ進もうとした、その時だった。
「おい昇! せっかく同じダンジョンを探索している同志だぞ! その態度は何だ!」
「げっ……」
「昇? 確か金剛の下の名前って……」
馬鹿! お前空気読めよ!
「お前やっぱ金剛か! 感じが違うから誰かと思ったよ!」
「……」
小松はノリ良く話しかけてきた。
「お前髪なんかいつ染めたんだよ? その服装も……というか金剛! 今日連絡しただろ!? ダンジョンで予行演習しようって」
「……お前には関係ないだろ」
あぁ嫌だ。
こいつと話すのも嫌だが何より……
『……お前らここで死んどけ!!』
咄嗟に出てしまったあの言葉、絶対あれの恨みが残ってる筈だ。
「知り合いか? だとしても相当感じが悪いぞ、昇!」
シェダルは横から俺に対して言う。
……感じが悪いのは仕方のないことだ。
そう言い聞かせた。
「金剛、この子はお前の……彼女?」
「……は?」
「そうだ!」
「おい!」
シェダルが元気一杯に返事をした。
おい! 叔父さんだけじゃなくて、こいつにまで付き合ってる設定を適応させんのかよ!
俺はシェダルの肩を掴んで、小松に背を向け、小声で話した。
「なんでこんな奴にまで彼女設定を押し通すんだよ?」
「そっちの方が違和感ないだろ? 親戚設定では見た目が違い過ぎるし、友達設定だと2人っきりである理由が薄い」
「いや、友達設定のほうがいいだろうが!」
「統一性を持たせた方がいいだろう!」
「そこはバラバラでいいよ!」
小声でボソボソと話す俺たちに違和感を持ったのか、小松は俺たちの前に出て、話しかけてきた。
「なぁ、さっきから何話してんだ?」
「うわぁ!?」
俺は目の前に現れた陽キャにビビってしまった。