第四十四話 納めたすぎる、先へ進む
「任せろ!」
シェダルは箱が描かれている鍵を取り出した。
「その鍵は?」
「収納スキルだ!」
「収納スキル? 聞いたことないな」
「ユニークスキルの一つだな!」
またユニークスキルか、しかしピンポイントだな、鍵スキルもピンポイントだが。
『収納スキル!』
「スキルチェンジ!」
『スキル解放! 納めたすぎる! 収納スキル!』
シェダルは鍵を腕輪に嵌めて、収納スキルの姿になった。
白いポロシャツに、茶色いオーバーオール……まるで某世界一有名な配管工の色違いのような姿になり、レンジャー隊員が使うような巨大なリュックを背負っていた。
ていうか「納めたすぎる」ってなんだよ、どんだけ納めたいんだよ。
そんなツッコミを心の中でしているうちに、シェダルは集めたスライムの欠片をリュックに入れた。
「その中どうなってんの?」
「この中は異次元空間だ、転移スキルのホールの中みたいに思ってくれればいい。」
「なんでも入りそうだな」
「そうでもない、限りはあるさ」
異次元だからなんでも入りそうな気もするけどな、そうでもないのかな?
シェダルは収納スキルの鍵を外して、ケースに戻した。
「それじゃ、先へ急ごう、時間は待ってくれないぞ!」
シェダルは再び鍵スキルの鍵を取り出した。
どうでもいいが、鍵スキルの鍵ってよくわからないけど、語呂がいいな。
俺も再び、鍵スキルの鍵……なんかめんどくさいから基本の鍵とかのほうがいいかな? まぁいいや、鍵を刺して変身する。
『『スキル解放! 凄すぎる! 鍵スキル!』』
「さぁ、行こう!」
「おう!」
俺たちは奥へ進んだ。
◇
そろそろ第二階層の入り口だろうか?
結構進んだような気がするが、まだまだ見えない。
「なぁ、ここ本当に第二階層の入り口の近くなのか?」
「ダンジョンとは言っても広いからな、目安程度に考えてくれ」
「えぇ……」
そこはっきりしろよ……
そう言おうとした時、目の前に見覚えのある顔が現れた。
……あいつは。
「やべぇ……」
「何がやばいんだ?」
「いや、何でもない!」
「それは何かあるやつではないか! さぁ! 言え!」
曖昧な言い方をしてしまったせいか、シェダルは好奇心を発揮しだした。
すると、こちらに気づいたのか、「見覚えのある顔」がこちらに近づいてきた。
「お前……金剛か?」