第四十三話 スライム撃退、グロくない
杖から烈火の如く炎が出てきて、大量のスライムに命中した。
スライムどもはその炎に負け、ことごとく蒸発していった。
ダンジョン内はその炎で中の気温が上がったのか、呪文を終えた俺は全身汗まみれになっていた。
だが、そんなことを気にも留めず、俺は何もないダンジョンの通路をただただ見つめていた。
「勝った……?」
よっしゃあ! 俺は思わずガッツポーズをした。
「うむ! よくやったな!」
「ありが……って!」
気温の上がったダンジョン内、汗をかいたのは俺だけではなかった。
シェダルの魔女っ娘衣装から汗が出ていて……
「お前! 透けてる! 透けてるって!」
「あぁ、そうだな、別に仕方がない」
それはそうだが、目の前に異性がいるということを考えてほしい。
ちょっと……いいなって思ってしまった俺を殴って欲しかった。
「お前! 少しは恥ずかしがれよ!」
「だから言ってるだろう? 別に子どもに見られてもどうとも……」
「俺が恥ずかしいんだよ!」
「ははは! お前また顔が真っ赤だぞ!」
「暑いからだ! うん!」
俺は興奮と恥じらいを隠すのに必死だった。
「全くうるさい奴だ」
シェダルは自分の鍵を外した。
「ほら、これで元通りだ」
シェダルはいつものワンピース姿に戻った。
良かった……汗はすべて消えていた、ちょっと残念という気持ちが残っている自分が情けない。
「鍵を外せば汚れは全て取れる、お前も安息の地で倒したモンスターの血液が全くついてなかっただろう?」
「あぁ、そういえば……」
俺も鍵を外し、元の服装に戻る。
「それより、初めてのダンジョンでの戦闘、どうだったか?」
「なんか、行ける気がする!」
「そうか!」
シェダルはいつものように笑顔を見せた。
やっぱりシェダルの笑顔を見ると、どこか安心する。
「さぁ、このスライムの後始末をするぞ!」
「お、おう!」
動物型のモンスターと違い、無機物系のスライムは処理が楽だし、グロくもないのであまり苦にならない
「集めたけど、これどこに仕舞うんだよ」
「任せろ!」