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第三十九話 安息の地、スキルチェンジ!

「……まぁいい、それじゃ、行くか!」

「またそれかよ……」


 シェダルは腰に巻いていたケースから、転移スキルの鍵を取り出した。

頼むから勘弁してくれ、と言うように、俺は下を向いた。


「仕方がないだろう! ダンジョンへ行く手っ取り早い方法はこれだ! それともなんだ? 公共交通機関を使っていくのか?」

「……わかったよ!」


 俺は覚悟を決めた。


『移りたすぎる! 転移スキル!』


 例によって音楽と音声が鳴り、シェダルは転移スキルに変身した。


「酔うなら目を瞑ってろ!」


 シェダルは転移ホールを作った。


「あーわかったよ! って……」


 そして、シェダルは俺を学校に送った時のように、お姫様抱っこをしだした。


「さ、行くぞ!」

「なんでこの体制!? つーかなんで俺が抱えられる方なんだよ!?」

「あぁもう! ごちゃごちゃとうるさい!」


 俺はシェダルのお姫様となり、転移ホールの中へと入った。


「うわぁぁぁぁぁぁ!?」



「それ到着だ!」

「おぇ……」

「おい! ここで吐くな!」


 次は酔い止め薬を叔父さんに貰おう……

俺は足から着地した。

ここは……


「安息の地の神殿か?」


 最初に腕輪を取った聖堂に着いていた。


「うむ! さ、準備をして行こうではないか! 昇!」


 シェダルは転移スキルの鍵を抜いて……普通の鍵を出した。

そして、急に両手で反時計回りに円を作り、腕を十字にしてこう言った。


「スキルチェンジ!」


 ……は?


「なんだその一連の流れは?」

「気合を入れるためだ」

「お、おう……」


 その鍵を自分の腕輪に刺した。


『鍵スキル!』


 音声の後、腕輪からダンスミュージックが流れる。

 静粛に包まれた聖堂内は、突破としてディスコ会場のようになった。

そして、シェダルは、そんな中で鍵を回した。


『スキル解放! 凄すぎる! 鍵スキル!』


 シェダルは自身の体格に合わない銀色のコートを着た姿になった。

そして、左手にドライバーのような槍を装備していた。


「何気にシェダルの鍵スキル初めて見た」

「そういえばそうだった。」

「俺の色違いじゃん」

「そうだろう? かっこいいだろう?」

「まぁ……否定はしないけど」

「さ、お前も変身しろ!」

「あ、あぁ……」


 俺は言われたとおりにやろうとしたその時。


「あぁ~だめだ! お前も気合入れるためにポーズを決めないか!」

「はぁ?」


 あんな恥ずかしいポーズと掛け声を俺もやれと?


「気合を入れなきゃ、この先死ぬぞ!」

「そんな大袈裟な……」

「いいからやれ!」

「わかったよ」


 どんな拘りだよ……まぁ、やってみるか。

 シェダルと被るのもアレだったので、俺は両手で時計回りに円を描き、ガッツポーズみたいなのを決めた。


「ス、スキルチェンジ!」


 実際言うとやはり恥ずかしい。


『鍵スキル!』


『スキル解放! 凄すぎる! 鍵スキル!』


 俺は鍵スキルの姿になった。


「な? 気合入るだろ?」

「……よくわからん」


 こんなんで気合が入るものか? いずれわかるのだろうか?


「さぁ行こう!」

「お、おう!」


 俺たちはダンジョンへ向かうため、走った。




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