表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

404/408

第三百二十一話 話したい、空気読めない!

「はぁ……将来かぁ……」


 朝飯のトーストを食いながら、俺は将来について考えていた。

 今になってそのことを考えるとはなぁ……シェダルに今日相談しようかと思ったけど本人は酒でダウン……。

 というか、将来何になりたい? って聞かれてもなんて言えばいいんだろう? 公務員とかか?

 公務員って安定してるって言うけど……つまらなそうだよなぁ……。

 ……そういえば。


「皆は……どうなんだろう?」


 ふと、そんなことを考える。

 翔琉は大企業の御曹司だし、悠里と薫は身内の店がある、愁も……まぁあいつは俺と違って定番のスキルだし、就職には困らない筈だ。


「……皆に相談してみようかな?」


 でもなぁ……なんか「将来不安なんだ」って言うと、ちょっと恥ずかしい。

 ……そうだ、叔父さんが退院するまで時間あるし、今までの戦いを振り返ろうとか何とか理由つけて、誘ってみるか!

 そうと決まれば朝食をさっさと食べよう。



「よう、昇!」

「昇くん! おーはー」


 待ち合わせ場所の悠里の実家……「喫茶 はねだ」に入ると、翔琉と悠里が既に席に座ってコーヒーを飲んでいた。

 喫茶はねだは、ちょうど今日再開していた。

 ……前に来た時と比べて入り口が綺麗になっていた、改装もしたみたいだな。


「じゃ、前と同じでカフェオレ?」

「おう、ありがとう」


 悠里はコーヒーを用意しに、厨房へと行った。


「そういえば、愁と薫は?」

「もうじき来るってよ」

「そうか……」

「……」

「……」


 やべぇ、自分で誘っておいてなんだけど、どうやって話を切り出そう……。


「なぁ昇」

「……何?」

「今日はどうしたんだ? いきなり今までの振り返りしようとか言って」


 ……確かにいきなりだよな、やっぱ。

 しゃあない、ここは本当のことを言おう。


「あ、あぁ……実はね……」


 俺が口を開いた、その時


「はい! カフェオレとキリマンジャロ!」

「あ、ありがとう……」


 注文していたコーヒーが来た。

 ベストタイミングだ、全くありがたくない。


「それで? 昇くん何か話そうとしてたけどどしたん? というか振り返るって言ったって、何を振り返るの?」


 俺は再び話を切り出した。


「あぁ……それなんだけど……」

「うーっす! 皆!」

「……こんにちは」


 俺が再び口を開くと、入店を知らせるベルの音が鳴った。

 ふと入口を見てみるよ愁と薫が入ってきていた。


「おう! 愁に薫!」

「いらっしゃい! 愁に薫ちゃん!」

「……」


 なんだ? こいつらグルなのか? 俺が話そうと思ったら毎回乱入してくるんだけど!?

 ……そんな風に思ってしまう。

 2人は入店するや否や、俺と翔琉の向かいの席に座った。


「薫、怪我は大丈夫なの?」

「はい……もうすっかり……治った」

「よかったぁー……俺心配だったんだぜ?」

「愁! ちゃんと薫ちゃんをエスコートした?」

「え、エスコートってなんだよ!?」


 4人が談笑を始める……全く入る隙が無い……。

 どうすりゃいいんだよ……話す隙がねぇ……。

 まぁいいや、ちょうどみんな揃ったし、この隙に……。


「もぉ~愁ったら分からない人!」

「何がだよ!?」

「薫、前より元気そうだね」

「愁さんが……いたから……」

「お、俺!?」

「詳しく教えて!」


 ……ダメだ、話が盛り上がってきてる……ここで切り出したら完全に空気読めない奴だ……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ