第三十七話 君のレベル、何レベル?
「なぁ、出掛けるってどこに?」
俺は食べ終わった後、廊下を歩きながら、シェダルに質問した。
「ダンジョンに決まっているであろう」
「はぁ?」
シェダルは、さも当たり前かのようにそう言った。
「まずはレベル上げだ、数字を上げなきゃ、仕方がない。」
確かにそうだが……もっと他で善行詰むなり……って言っても、腕輪があるならダンジョンの方が手っ取り早いか。
そんな事を考えていると、携帯に通知音が鳴る、パーティのメッセージ欄だった。
それには、こんなことが書いてあった。
『今日、ダンジョンに行ける人いる? せっかくだから予行演習やろう!』
小松だった、今最も目にしたくない名前を見て、俺は携帯の電源を消した。
俺は部屋に戻ろうとした。
シェダルは「どうせすぐ行くんだから、私も」などと言って部屋に入ってきた。
……異性の部屋に堂々と入るってどうなんだ?
シェダルは俺のベッドの上に座り込み、俺はその対面にある椅子に座った。
「……ちなみにお前のレベルは?」
「うーん、ざっと500かな」
「ご、ごひゃ……」
凄すぎる、これもウトピアでマルチに活躍していた所以だろうか?
「ちなみに昇は? いくつなんだ?」
「……」
はい! レベル1でございます! なんて言えるわけがないだろう。
「おい! 早く答えないか! お前のレベルは!」
「……言いたくない」
「どうして?」
「……言ったら笑うからだ」
「笑わないから言ってみろ!」
「……」
ダジャレで笑うような奴が、俺のレベルを聞いて笑わないわけがない。
何としてでも口を閉ざすんだ。
「ふーん、そうか、ならば仕方がない」
「……?」
「そーれ! こちょこちょ~」
「うわぁ!? はっはっはっはっ!!」
突然シェダルは俺の首元と脇に指を突っ込みくすぐり始めた。
不意打ちとは卑怯な……
「さぁ言え! お前のレベルは!?」
「はっはっはっは!! わかった!! 言うから!! これ以上はやめてくれ!! はっはっはっはっは!!」
「本当かぁ?」
「本当だ! はっはっは!!」
シェダルはくすぐりをやめた、この隙に……
「あ! 逃げるな!」
「!?」
シェダルの得意技、俺の手首を掴むが炸裂した。
「まだくすぐりが足りないよだな、次は笑い死ぬまでやってやるぞぉ~?」
「ああもう! わかったよ! レベル1だ!!」
「……へ?」
観念した俺は、自分が一番口にしたくない一桁の数字を暴露した。
シェダルは困惑した様子だった。
昨夜の風呂場の年齢公開の時とは逆の立場だ。
「俺のレベルは1だよ! さぁ! 笑いたけりゃ笑え!」
「……」
「なんだよ? ……って!?」
シェダルは急に俺に抱き着いてきた。
え!? 何!? この子情緒不安定なの!?