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第三話 悪夢、取り巻く

 部屋に入り、俺はベッドに横たわった。

 叔父さんの剣か、実物の剣を見たのはあまりないが、奮発して買ったのはわかった。

 

『あのねぇ、これは集団行動の模擬みたいなもんでしょ?』

『スキルとかレベルとか関係ないだろ?』

『お前はもう俺らの仲間なんだから、一緒に頑張ろう! な?』


 あんな綺麗事ばかりぬかす奴らと一緒とはな。

 ……仲間、か

 果たして俺は役に立つであろうか?

 意識が薄れていき、周りが真っ暗になった。



 真っ暗な洞窟、俺は走っていた、暗闇を。

 何故走っているのだろうか? だが走らなければならない気がした。

 ようやっと人影が見えた、いったい誰だ?

 近づくと姿が明らかになった。

 小松に羽田、三沢に岩国だ。

 なぜこいつらが? でも今はそんなことどうでもいい、とにかくこの暗闇から抜け出すにはこいつらが必要だ、俺一人ではなにもできない。

 ようやっと見つけた! ……そう言おうとした時だった


「やっぱ鍵スキルは使えねぇな!」


 小松が言った。


「レベル1は足手纏いなんだよ!」


 三沢が言った。


「クソの役にも立たないわね!」


 羽田が言った。


「使えない人……」


岩国が言った。


 鍵スキル、レベル1、役に立たない、使えない。

 俺のコンプレックスを直球に言った偽善者4人は、奥へ奥へと進んでいった。

 何故この状況でこんなことが言えるのか意味が分からなかった、暗闇から抜け出さないといけないのに。

 俺は必死に追いかけた。

 何でもいい、助けてほしかった。

 鍵スキルでレベル1で役立たずで使えない俺を。

 待ってくれ! と必死に叫んだ、足が壊れるくらい走った、置いてかないでくれ! と叫んだ、周りが見えなくなるくらい追いかけた。

 だが奴らは待ってくれなかった、結局奴らも他の連中と同じで、俺のことを下に見ていたんだ、なら最初からそう言って欲しかった、俺を拒絶して孤立させればよかったのに。

 俺の叫びに聞く耳を持たずに奥へ進んだ偽善者達は、暗闇へ消えた。

 すると暗闇で何かに躓いた、小石なのか段差なのかはわからなかった。

 起き上がろうと上を向いた、早く追いかけないと、と思った。

 見上げると、この世のものとは思えない化け物が俺に牙をむいた。

 助けてくれ! 誰でもいい! 何でもする! 死んでくれというなら死んでやる! だから今は助けてくれ!

 その叫びが暗闇の中に響き、俺は意識を失った。



「昇くん! 昇くん!」


 部屋のノック音と、叔父さんの声で目が覚めた。


「昇くん、大丈夫?」


 叔父さんはゆっくりドアを開けて俺を見つめた。


「なんだ、夢か……」

「夢?」

「なんでもないよ、叔父さん」


 なんて夢だ、だが現実にも起こりそうな……そんな予感がした。


「そう? ならいいけど……ハヤシライスできてるよ」

「ハヤシライス?」

「夕飯だよ夕飯! 起きたばっかりだから後にするかい?」

「……今行くよ」

「そうかい? じゃあ、準備しておくからね」


 叔父さんはドアを閉めた、階段を駆け下りる音が響く。

 どうやら疲れているようだ、飯食って風呂入って早めに寝よう。


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