第三百十七話 祝賀会、皆で乾杯
しばらくすると、奥からスーツ姿の剣さんと同じく正装に身を包んだ他パーティメンバー3人がやってきた。
「よお! 同志諸君!」
「この度は本当におめでとう」
俺とシェダルは、徐に剣さんと春香さんに握手をした。
「いやはや、やはり俺の見込んだ通りだったな!」
「本当に、昇くんの年齢でここまで行けるのは凄いよ!」
「いや……シェダルがいなかったらここまで来れなかったですよ」
これは事実だ、ここまで来れたのも、シェダルのおかげだ。
「さ、祝賀会と行こうぜ! とは言っても俺たちだけのこじんまりとしたものだけどな!」
俺たちは4人に誘導され、エレベーターへと乗った。
◇
「さぁ! 存分に食べてくれよな!」
「あ、ありがとうございます」
俺たちはビルの最上階にある大会議室に誘導された。
デカいテーブルの上に座布団サイズのケーキが置かれ、その周りに寿司やフライドチキンにポテト、そして高そうな果物の盛り合わせがあった。
テーブルの隣にはジュースやお酒の箱がある……。
……折角準備してくれたので失礼かもしれないが、庶民が考える贅沢みたいだな……まぁこれで高級料理とか出されたらそれはそれで躊躇するけど……。
「いやぁ、本当は所属している冒険者全員呼んで、そんでもって高級料亭の料理人を呼ぼうかと思ったんだが、このご時世で皆出払っててな、料理人呼ぶにしても寂しいと思ったもんで……その……申し訳ねぇ!」
冒険者全員呼ぶ気だったの!? いやいやそりゃ大袈裟だろ……。
ならこの程度で十分だわ……。
「いやいやいいですよ! 寧ろこのくらいがちょうどいいですよ」
「そうかぁ? 謙遜しなくてもいいんだぜ?」
謙遜も何も事実なんだが……まぁいいや。
「ともかく! 今日はパーッと盛り上がってくれ! ノーマン! 音楽頼む!」
「ハイ!」
ノーマンさんが携帯から音楽を流し、祝賀会……という名のこじんまりとしたパーティが始まった。
「さぁ、食え食え! 遠慮すんな!」
「あ……はい」
剣さんは皿を取り、山盛りの食事を乗せていく。
いやいや、そんなに食えないって……
「昇! お前の好きなフライドポテトが沢山あるぞ!」
「いや好きだけどそんなに食えねぇよ……」
シェダルもシェダルで、山盛りのフライドポテトをこちらに差し出してくる。
果たして食いきれるだろうか……? 少し不安だ。
「よし! それでは乾杯と行こう!」
俺はオレンジジュース、他のみんなはお酒を紙コップに入れられた。
シェダルは一応成人だけど……なんか見た目的にアウト感があるな……ってこれは失礼か
「それじゃあ昇くん! 乾杯の音頭!」
「え!? 俺ですか!?」
春香さんが俺に乾杯の音頭を振る……いやいや俺そういうの自信ないんだけど!?
「ほら昇! 言え!」
シェダルが背中を叩いてそう言う。
あぁもう! 言うしかないか!
「えぇーっと……この度は祝賀会を開いていただき本当にありがとうございます、魔王討伐は自分一人では達成できませんでした、僕に協力して頂いた皆さま、支えていただいた皆様全てに感謝いたします……それでは、乾杯!」
全員で乾杯と言い、紙コップを合わせ、飲んだ。
……これが宴会の味か……なんというか、甘い、ジュースだから当たり前だけど。
てなわけで俺は、山の採掘作業を始めることにした……はぁ……。




