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第三百十五話 これで終わり!? 今すぐ解析!

「ふふふ……これで終わりだよ!」


 液状の塊からそんな声が発せられるや否や、俺たちはスライムの塊に埋もれてしまった。

 な、なんだこれ……まるで、水の中に沈められているような……。


「や、やばい……息が……このままじゃ……」


 このまま……死ぬのか? ……マジで?

 でもまぁ……このまま死ぬのも……。


『馬鹿! こんなところで絶望してどうする!』


 頭の中から、シェダルの声が流れる。

 絶望……。


『……それじゃあね』

『また会おう……カルデナ』

『……うん!』


 そうだ、俺たちは、彼女の希望になる……そう決めたんだ。

 こんなところで希望を失くしたら……カルデナちゃんに顔向けできない!

 何か……方法は……。

 先ほどの奴は、俺の放った炎では効果があまりなかったが、シェダルの炎では効果があったな……。


『全身じゃなくて杖から出すようにイメージしろ!』


 ……これだ!


『これだ! じゃない! お前の考えていることは分かるが、正気の沙汰じゃないぞ!』


 シェダルは心の声で反論する、だが……。


『今この場を切り抜けるにはこれしかない! ……俺に着いて来てくれ! シェダル!』


 俺はつい、シェダルが言ってくれたことを引用する。

 向こうが引っ張ってくれるのなら、俺だって!


『……あぁもう! わかった!』


 俺とシェダルは、互いに同じことを考える。

 そうだ……山火事のような、マグマのような獄炎を!


「おりゃああああああああ!!」


 俺たちの身体から、獄炎が湧き立つ。


「な、なんだ……なんなんだ……」


 奴は動揺しているようだ。

 このまま蒸発しやがれ!

 ……そんな思いが届いたのか、奴は俺らを解放し、奴は怯んでいる様子だった。


「あっつ! あっつ! 水水水!!」

「落ち着け! 昇!」


 俺たちはすぐさま、海岸へと走り、鎮火させた。


「よし! 今がチャンスだ昇! 解析するぞ!」

「あぁ!」


 俺はダイヤルを回し、鑑定スキルを呼び出す。

 右手に虫眼鏡が装備され、奴の照準を合わせた。

 奴の弱点は……。


「ちっちゃ! あんな小さいのが弱点!?」


 鑑定スキルの虫眼鏡で表示されたのは、米粒サイズの弱点だった。


「あれは言わば奴の核だ、あそこを重点的に攻撃するぞ!」

「お、おう! つーことは……」


 俺たちは陸に上がり、腕輪をぶん回す。

 スキルを読み上げる音声が鳴り響き、俺たちの周りに武器が浮かび上がる。

 そして……。


『オールスキル!』


 この音声と共に、無数の武器の出現が止まる。


「行くぞ! 昇! これが最後の……」

「必殺技!!」

「そうだ! 行くぞ! 昇!」


 俺たちは鍵を回し、必殺技を展開させた。


『超々!! 鍵スキル!! フューチャリング! オールスキル!! 超々!! オール凄すぎフィニッシュ!! 超々! スゲーイ!!』


 無数の武器が奴の核目掛けて発射され、俺たちは飛びあがった。


「そうだ……それでいい……それこそ僕が求めたもの……」


 奴は攻撃を受けながらそんな事を言っていた。

 俺たちはそんな声を聞きつつ、両足キックを核目掛けて放つ。

 目標にクリティカルヒットし……奴は、まるで真夏のアイスの如く、崩れ去った。

 俺たちは……勝ったのか?


「……あぁ、この戦いに勝利したぞ、昇」

「……」


 実感が湧かなかった。

 体感ではここまで来るのにかなり時間が掛かったように思えた、でも、終わってみると、あっという間だった。

 俺は粘り気のある雨をバックに、そう考えた。


「……ん?」

「どうした? シェダル」

「いや、アレを見ろ……」


 シェダルが指を差した先、そこに、かすかに光を放つ何かがあった。

 俺たちは徐にそれに近づいた。


「……これは?」


 俺たちは手を伸ばし、それを包み込んだ。


「最高に良い戦いだった……これで僕の命は天に行き、新たな魔王が産まれる……僕の使命は終わった……これも君たちのおかげだ、昇にシェダル……」


 その光から、そんな声が聞こえた。


「最後に頼みがある……僕の身体を回収したら、それを君たちだけの為に有効活用してほしい……君らの道具の素材にされるのなら本望だ……きっと役に立つはずだ……頼んだよ……」


 ……その声を最後に、光が収まり……米粒のような黒い塊になった。


「……これは奴の核だな、強力な魔力を感じる、武器の素材に使えばかなり強くなるだろうな」


 ……そんな凄い物なのか。

 ……大切にしよう。


「……大事に使うよ……キクス」


 俺たちはその場で合掌をし、キクスの身体の回収を始めた。

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