第三百十四話 本気出した、追い詰められた!?
「なかなかやるねぇ……じゃあこれならどう?」
突然、奴の周りから氷が張り巡らされた。
奴の姿はまるで氷の化身のように見えた。
「うお!? 滑る!?」
これじゃあまるでスケートリンクだ……ならば。
『スケートスキル! 滑りすぎ!』
俺がダイヤルを回すと、脚にブレードが生え、右手に斧が装備される。
これで氷の上でも……。
「甘いよ!」
奴はなんと、氷の化身の姿で炎を放ってきた! 何でもありかよ!
「ここはこれだ!」
『鎚スキル! 潰しすぎ!』
シェダルがダイヤルを回し、左手に鎚が装備される。
俺は両脚を動かし、奴の攻撃を避けつつ、近づく。
「その調子だ! 昇!」
シェダルが応援してくれている……行けるぞ! 俺!
「行くぞ!」
『超々!! スキル必殺!!』
シェダルは鍵を回し、必殺技を発動させた。
『超々!! 鍵スキル!! フューチャリング! スケートスキル!! 鎚スキル!! 超々!! 滑りすぎ潰しすぎフィニッシュ!!』
シェダルが鎚を振り、奴を粉々にし、俺はその流れで斧を高速で振り、ダイヤモンドダストのようにした。
よし、これで……。
「なかなかやるねぇ……そろそろ本気を出さなきゃダメかな?」
ダイヤモンドダストからそんな声が聞こえる……本気? まだ手加減してたっての!? マジ!?
俺が動揺する中、突如、地表から粘り気のある液体が、間欠泉の如く噴き出す。
「昇! 引くぞ!!」
「あぁ!!」
俺たちは咄嗟に、その場から離れる。
逃げる中、後ろを振り向くと、そこには驚愕の光景が広がっていた。
「な、なんだありゃ……」
あれは……スライムなのであろうか? スライムというよりも、ただの巨大なゼリーの塊にしか見えない。
その高さは……もはやこの世のものとは言えなかった。
「あれが……奴の真の姿か!?」
シェダルは驚愕の声を上げる。
と、とりあえず、何とかなりそうなこいつで!
『魔法スキル! 唱えすぎ!』
俺は再び魔法スキルを発動させる。
スケートスキルの装備が解除され、代わりに杖が右手に備わる。
よし、とりあえずこれで……。
「昇!」
……え? 何?
……ってうお!? いつの間にかスライムの塊に包囲されてる!?
「ふふふ……これで終わりだよ!」